毎日認知症の夫を介護していると、いくら心理のプロの私でも、時には
どうしようもない感情に襲われる。穏やかな夫なので、決して大声を出
したり、乱暴をしたりする訳ではないが・・・ちょっとしたしぐさや
ほんの些細な一言が、私の心がえぐられるような思いをする。
そんな時私は「怒りは自分で毒を生産しているのと同じこと」と、自分を
なだめる言葉を、心の中でくり返す。すると「こんなになって可哀そう」
と思える、何とも言えないやさしい気持ちでいっぱいになる。
初めてカウンセリングを学んだ時に「人は今まで100万人位の人のお
世話になっている」と、知って本当に驚いたことは今でも忘れない。
また、生後7か月で私から母を奪った継母に、私の常識では考えられ
ないような育て方をされた。でも異母兄の兄より子供心に(私は兄より
両親から愛されている)と絶えず感じていた。私の生育時を知った心理学の
友人は「あなたそれでもよく曲がらずに育ったわね」と驚かれたが
「生きていることは誰かのお世話になっていること」「両親からかけられ
た愛」が、私は素直なのだと思うし、高齢になった今でも全く変わらない。
と自分では思っているが、他人はどう思うか分からない。
でも私の心の中の大きな愛は、それらが元だと昨日ある事で、強く感じた。