第２章 ～完～

いつもより早く起きて東大和に向かった。いつものように、パン屋シュガーにはいるとオープン直後なのか、アンパンマンパンは並んでいなかった。ちょっと残念と思いきや、バタコさんが真っ先にアンパンマンパンを持ってきてくれた。
いつものように、歩きながらチョコの甘さで幸せに浸しジムに迎う。
いつもより早く行き、『キネシス』というマシンをきれいに掃除する。半年間お世話になったお礼だ。カーペットにコロコロをかけ、水をきつく絞った雑巾でフレームを研いた。掃除が終わり、キネシスルームから出ようとするとありがとうと聞こえた気がした。

パーソナル始まって以来ずっとついてくれたお客様に最後のキネシスをした。辞めることに対して、文句を言う方、落ち込む方、感謝してくれる方、全てが自分の心に突き刺さっていく。まるで、金貨三枚でシータをやむなくムスカに引き渡したパズーのような気持ちだ。もっというならば、ドナドナで売られていく子牛のように無力だった。


築いては、いなくなり、築いては、いなくなる。

この一年で同じことを繰り返している。これからが仕事として楽しいときなのに。

でもこれは『修行』であり、『いいこともあれば悪いこともある』。派遣されて来なければ、こんなにたくさんの人と会うことはなかったと思う。そんな機会を与えてくれた会社に感謝。
そして、外から来た私を仲間としてみて、一緒に働いてきたロンドフィットネスクラブのみなさん、本当にありがとうございました。
最後に、次はどこですか？とよく聞かれるが決まっていない。予定は未定だ。
一寸先は何が起こるか分からない。だから、面白い！
帰り道、別れに涙を流してくれたチーフの姿が脳裏をよぎり、目頭が熱くなった…

フィットネスクラブ東大和編 おしまい。