山小屋で会った男から聞いた雪山での怖い話です。
その人が若い頃、
体力に自信があり、無鉄砲だった性格もあったからか、時々1人で山に入ってました。
登る山の地図を買い、
コースルートを頭に叩き込むと、ルートの二分の一の時間で色々な山に登ったそうです。
ある冬、いつものように山へ行き、いつものように通常の2分の1の時間でコースを設定。
最初の3時間は、とても順調で、登山者とも何度かすれ違っていました。
しかし、一つ目の山の頂を通り越すと、人と出会うことはなくなりました。
雪が前を阻みました。
アイゼンをつけ、足が雪に埋もれながらも、前へ前へと突き進んだそうです。
「時間的には、日没まで一時間の余裕はあった。だから、自分の体力なら大丈夫だと思った。」
本当は、途中で引き返すのが安全に登山するためには必要なのですが、性格的に引き返すという選択肢を選ばなかったようです。
先に進むにつれ、雪も深くなり、たまに足跡があったとすれば動物のものでした。
天候も悪化して、雪が横からなぐりつけてきます。
ズボっと太ももまで雪に埋もれながらも、前に上にと進んだそうです。
「時計を見ると2時間以上も予定より遅れていた。引き返そうにも引き返せない場所に来てしまった。食事をするために手袋を外した一分程度でカチンコチンに凍った。残りの体力と地図を見て、すぐに前に進み下山しよう。」
と判断して、その方は急いで降り始めました。
登りはじめてから既に6時間が経過。
体力もなくなりつつあるのに、不思議と身体は元気だったようです。
「夕暮れ時、何故か記憶がどんどん回想され、過去の記憶が蘇ってきた。日没まで時間がないのに、色々な木や人達が話し掛けてきた。俺はちょっとイカれたかと思った。」
順調に下山し、もう大丈夫と思った矢先に道を見失ったそうです。
「辺りが暗くなりはじめたので、ヘッドランプをつけた。水の音が聞こえたから、沢に沿って下山しようと思ったんだ。しかし、沢に沿って進むとそこはダムみたくなっていて降りるのは困難だった。パニック状態になり、自分の来た道を辿っても堂々巡りしていた。」
「助けを呼ばなかったんですか?」
私は思わず、口を挟んでしまいました。
「助けを呼ぶという選択肢はなかったよ。自分の好きで山に来ているのだからね。何とかしようと考えたよ。パニックにならないと思っても、人は暗闇と極寒の中では怖くなったよ。」
「そのあとどうしたのですか?」
「何故かダムをくだろうと思った。端にロープがあったんだ。しかも途中で切れていて、老化してたんだ。降りる直前に気付きやめたよ。」
「誰もいないはずなのに、誰かの声が聞こえてきたんだ。
そして、ああ向こうの世界が呼んでるなって気がしたよ。そこで、やっと冷静になったんだ。
地図とコンパスで、現在地を把握した。そしたら、南に進んでたんだ。本当は、西に行かなきゃいけないのに。
ただ西は急斜面だったけど、意を決して木につかまりながら登ったよ。最初の2回は途中で落ちたよ。
3回目の途中で本当にいいのか?悩んで上を見たら、黒いところが光って見えたんだ。とにかくそこまで登ろうと。
そしたら、そこが木道になっていて、何とかルートを見つけたんだ。誰かの足跡があり、最後は暗闇の中
ヘッドランプのライトを頼りにその足跡と道を辿ったよ。それで何とかアスファルトの道に出たときは助かったと思ったよ。」
「本当に良かったですね。。。」
「山はなめちゃいけない。そして、自分の体力も過信しちゃいけないし、技術を学び、経験を積まなきゃいけないと
猛省したよ・・・」
聞きながら、私も色々とわが身を振り返ることの多い山のお話でした。
山に登る方はくれぐれも気を付けてください!!
私も気を付けます!!
その人が若い頃、
体力に自信があり、無鉄砲だった性格もあったからか、時々1人で山に入ってました。
登る山の地図を買い、
コースルートを頭に叩き込むと、ルートの二分の一の時間で色々な山に登ったそうです。
ある冬、いつものように山へ行き、いつものように通常の2分の1の時間でコースを設定。
最初の3時間は、とても順調で、登山者とも何度かすれ違っていました。
しかし、一つ目の山の頂を通り越すと、人と出会うことはなくなりました。
雪が前を阻みました。
アイゼンをつけ、足が雪に埋もれながらも、前へ前へと突き進んだそうです。
「時間的には、日没まで一時間の余裕はあった。だから、自分の体力なら大丈夫だと思った。」
本当は、途中で引き返すのが安全に登山するためには必要なのですが、性格的に引き返すという選択肢を選ばなかったようです。
先に進むにつれ、雪も深くなり、たまに足跡があったとすれば動物のものでした。
天候も悪化して、雪が横からなぐりつけてきます。
ズボっと太ももまで雪に埋もれながらも、前に上にと進んだそうです。
「時計を見ると2時間以上も予定より遅れていた。引き返そうにも引き返せない場所に来てしまった。食事をするために手袋を外した一分程度でカチンコチンに凍った。残りの体力と地図を見て、すぐに前に進み下山しよう。」
と判断して、その方は急いで降り始めました。
登りはじめてから既に6時間が経過。
体力もなくなりつつあるのに、不思議と身体は元気だったようです。
「夕暮れ時、何故か記憶がどんどん回想され、過去の記憶が蘇ってきた。日没まで時間がないのに、色々な木や人達が話し掛けてきた。俺はちょっとイカれたかと思った。」
順調に下山し、もう大丈夫と思った矢先に道を見失ったそうです。
「辺りが暗くなりはじめたので、ヘッドランプをつけた。水の音が聞こえたから、沢に沿って下山しようと思ったんだ。しかし、沢に沿って進むとそこはダムみたくなっていて降りるのは困難だった。パニック状態になり、自分の来た道を辿っても堂々巡りしていた。」
「助けを呼ばなかったんですか?」
私は思わず、口を挟んでしまいました。
「助けを呼ぶという選択肢はなかったよ。自分の好きで山に来ているのだからね。何とかしようと考えたよ。パニックにならないと思っても、人は暗闇と極寒の中では怖くなったよ。」
「そのあとどうしたのですか?」
「何故かダムをくだろうと思った。端にロープがあったんだ。しかも途中で切れていて、老化してたんだ。降りる直前に気付きやめたよ。」
「誰もいないはずなのに、誰かの声が聞こえてきたんだ。
そして、ああ向こうの世界が呼んでるなって気がしたよ。そこで、やっと冷静になったんだ。
地図とコンパスで、現在地を把握した。そしたら、南に進んでたんだ。本当は、西に行かなきゃいけないのに。
ただ西は急斜面だったけど、意を決して木につかまりながら登ったよ。最初の2回は途中で落ちたよ。
3回目の途中で本当にいいのか?悩んで上を見たら、黒いところが光って見えたんだ。とにかくそこまで登ろうと。
そしたら、そこが木道になっていて、何とかルートを見つけたんだ。誰かの足跡があり、最後は暗闇の中
ヘッドランプのライトを頼りにその足跡と道を辿ったよ。それで何とかアスファルトの道に出たときは助かったと思ったよ。」
「本当に良かったですね。。。」
「山はなめちゃいけない。そして、自分の体力も過信しちゃいけないし、技術を学び、経験を積まなきゃいけないと
猛省したよ・・・」
聞きながら、私も色々とわが身を振り返ることの多い山のお話でした。
山に登る方はくれぐれも気を付けてください!!
私も気を付けます!!