朝日新聞によると堀越事件は、東京高裁の無罪判決が最高裁でも維持されるようですね。堀越事件は社会保険庁(現・日本年金機構)の職員が休日に共産党の機関紙・赤旗をマンションに配布したことが国家公務員法の政治活動禁止に違反するとして起訴されたものです。
国家公務員は政治活動をしてはいけないんですね、こんな下っ端公務員の取るに足らない活動でも。業界では有名な判例ですが、最高裁は1974年、こうした下級公務員についても選挙権の行使以外あらゆる政治活動について刑事罰をもって禁止することを合憲と判断しました(猿払事件)。
確立した最高裁判決がある以上、普通は下級審は逆らえません。東京地裁は、有罪判決を下しましたが、罰金10万円執行猶予2年。罰金刑の執行猶予なんてめったにありません。ほとんど無罪判決と言っても差し支えないでしょう。
さらに東京高裁はこれを破棄して無罪としました。さすがに東京高裁も最高裁に正面からは逆らっていません。最高裁が国家公務員の政治活動禁止の目的とした公務の中立性とそれに対する国民の信頼の確保は、現在では下級公務員の休日のビラ配布によっては害されないという理由でしました。
しかし猿払事件判決にはこうした例外はなかったので、最高裁がどう判断するか注目されていました。最高裁は猿払事件判決を見直さないそうなので、どういう理屈なのか来月の判決が興味津々です。
一般に少数者に冷たく、政府に逆らうことが少ないと見られてきた最高裁ですが、たしかに変わりつつあるようです。今から15年くらい前のリベラルな判決(エホバの証人剣道実技拒否事件、南九州税理士会事件、愛媛玉串料訴訟など)は細川政権誕生(覚えてます?、笑)の結果とも評されました。
今回の変化は2005年の在外選挙制度違憲判決から始まったと見られます。2008年の国籍法違憲判決、2010年の砂川政教分離訴訟(違憲判決)と続きます。そして昨今の議員定数不均衡問題に対する厳しい判決、政権交代の影響もあるのでしょうか。
最近の政治情勢は民主党・自民党・第3極中心で、その他の少数政党はほとんど蔑ろにされているように感じます。人権に関してはそうした国政の場で無視されている声を最高裁が積極的に取り上げることを期待します。
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