日本、南アフリカに歴史的勝利

ラグビーファンは、サッカーファンとは違い、がっかりすることに慣れている。ワールドカップのたびに「今度こそ」と前評判は高いが……の繰り返しだった。
だから今回も２勝できれば最高、１勝だってうれしいと思ってた。それが、過去優勝２回の南アフリカに勝つなんて(^○^)。相撲で言えば、平幕の冴えない力士が横綱を破るようなものである。
３点ビハインドの残り１分、南アフリカはゴール前で反則。PGを選べば引き分けは確実だったが、南アフリカに一時退場者が出たこともあり日本は勝ちを狙って攻めた。右に左に揺さぶり、ラストパスがマフィーからウィングの異才ヘスケスに通ったとき、日本のラグビーファンは勝利を確信した。
ヘスケスは左隅にトライ！(ピーターセン(パナソニック)のハードタックルで危うくタッチに押し出されそうだったが)　あとは皆が抱き合ってお祭り騒ぎ。現地の日本の応援団はほとんど涙を流しているように見えた。
主導権は南アフリカが握っていたように思える。後半の立ち上がりとなかばに、それまで必死に南アフリカの猛攻に食らいついていた日本のディフェンスに綻びが生じ、中央付近にトライされ、それぞれ６点差、７点差になったときは善戦もここまでかと思われた。
しかしそのたびにPGやトライで追いついた。残り10分を切ってゴール前に攻め込まれ反則。だがしつこいディフェンスでトライは許さずPGの３点にとどめたのが最後の大逆転につながった。
日本の勝因は全員がなすべきことをやって堅い防御で失点を最小限に抑え、数少ないチャンスにきちんと得点したこと。反則が少なくミスもほとんどなかった。
ラグビーファンには空前の快事となった。私も何十年もラグビーファンを続けてきて心底良かったと思う。日本のすべてのラグビー関係者に敬意と感謝を表する。

追記　ラグビーは番狂わせが少ないスポーツである。これほどの「事件」はワールドカップ史上初めてと思う。たとえば前回大会では、トンガがフランスを、アイルランドがオーストラリアを破って話題になったが、日本はトンガに負けていたしアイルランドよりランクは下、南アフリカはフランスより上である。
世界中で日本が勝つと思っていた人は一人もいないだろう。ユーチューブには、地元イギリスの人々もありえないくらい盛り上がっている様子がアップされている。試合後、現地の日本応援団に南アフリカ応援団も祝福してくれたという話は、さすが世界のラグビーファンは素晴らしいとうれしくなる。