森の中のティータイム

離婚を経験し子供達も独立 
暮らしの小さな発見をノートに。

歩く

2007-08-18 | 映画ドラマ
「時々一緒に散歩しませんか?」
しばらく会話した後にそう声をかけてきたその人に初めて会ったのは、
ここに引っ越してくる前に住んでいた、すぐ近くの二階建ての借家の庭。
肝臓の悪いご主人に煎じて飲ませたいと、はびこったドクダミを分けて
欲しいと声をかけられた時だった。

あれから20年以上の間、家の近くで会ってもたまに言葉を交わす程度だった。
たまたま先月末に役所へ向かうバスの中で、行きも帰りも偶然乗り合わせ、
その間、少しだけお互いの近況を話したその後でのお誘い。

穏やかだけどしっかりとした口調のその人と話すのは心地よく、
小柄だけど笑顔が綺麗で清々しくて、今年60歳になったと言われて驚いた。

聴けば、購入してすぐに崖崩れで倒壊した建て売りの、残されたローンだけを
病気になった夫の代わりに払い続けておられたのは知っていたけど、
その後ご主人とは離婚されたとのこと。
真面目で頑張りやさんの彼女でも、夫であった人への溜まりに溜まったであろう
不満や愚痴もあると思う。
けれどそれらは一切語らず、仕事で痛めた腰の治療に通う傍ら、無理のない散歩をしていると明るく話す。
いつの間にか、私は逆に励まされていた。

とても前向きで人の悪口を言わない彼女の、美しい微笑みの理由が
もっと知りたくて散歩の誘いにも乗りたかったけど、ぐうたらな私が
散歩とは言え、真面目につきあえるか不安だったので
「また夏以外の元気があるときに誘ってください」と、その日は
断り別れたけれど・・
彼女のように生きたいと思う、爽やかな気持ちだけが残った。

レンタルでやっと昨日「ホリデイ」を観た。
私はケイト・ウィンスレットの演技が好きだけど、男性に対する感情部分では
全く同感できなかった。ご老人との絡みはとても良かったけど(笑)
ジャック・ブラックを褒めてる人も多かったけど、やはり彼との結びつきも
希薄で、そこは今ひとつ(笑)
キャメロンの方は合った役どころだったし、映画としてはかなり楽しめた方かな。
少し前に借りた「幸せのちから」のウィル・スミスが、かなり良くて
ヒューマンドラマが好きな自分を再確認(笑)

文字通り、散歩などで「歩く」ことを楽しむ人も、
人生そのものの歩みを楽しむことは、殆ど意識していない。
身近に手本になる人が、なかなか居ないのも現実だ。
寝込む直前、先に書いたその彼女がバス停に立っていたのを見かけ
声をかけた。

用事など無いけど、街で本屋など一人ぶらぶら歩くのだという。
「私と似てる」思わずにんまり。
彼女のような女性に出会うと、ちょっと嬉しくなる。
前向きな気持ちが蘇ってくる。
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