10月11日新国立劇場小劇場で、ヘンリク・イプセン作「ヘッダ・ガーブレル」を観た(演出:宮田慶子)。
舞台は額縁のような金の枠の奥に上辺が少し傾いたやはり金の枠。そのまた奥にまたまた金の額縁の大きな絵が掛かっている。黒いズボン姿の男性の脚の部分のみ見えている(美術:池田ともゆき)。
ヘッダ(大地真央)はガーブレル将軍の娘。上流階級の出で誇り高く、贅沢な暮らししかできない。その彼女がどういう訳か真面目なだけの学者テスマンと結婚し、半年近い新婚旅行から新居に帰ってきた。夫は研究の虫で、彼女は早くも退屈している。そこへかつての恋人レーヴボルクが現れる。彼は夫と同じ分野の学者だが天才肌で、最近出した本が評判になっている。次に出す本の執筆を協力してきたのは、ヘッダの学生時代の後輩テーヤ・エルヴステード夫人だった。その本は二人にとって子供のようなものだと聞かされたヘッダは、嫉妬のあまり・・・。
退屈しのぎに拳銃をもてあそび、ついには自滅してゆく女性ヘッダ。
彼女は家柄が飛び抜けてよく、健康な体を与えられていながら、特にやりたいことがない。(やらなければならないこともないが。)働く必要がなかったので、これまでもダンスぐらいしかやったことがない。どういう教育を受けてきたのだろうか。
驚くのは、全く境遇の違うテーヤと同じ学校に通っていたということだ。上流階級の子女は学校には通わず住み込みの家庭教師に習うというイメージがあったが・・・?
ヘッダは一種の奇形。人を愛したことがないし、愛するとはどういうことかも知らない。彼女の嫉妬にしたってただの所有欲だ。しかしそんな彼女も、誰からも必要とされないことの寂しさは身に沁みて感じたのだった。
役者ではとにかく大地真央。姿ももちろんだが声がいい。何より華がある。そして意外なことにコメディーのセンスが抜群なので、今回の珍しい「笑えるヘッダ」が誕生したと言える。
ノルウェイでは、女性が「妊娠する」とか「子供を生む」とかいう言葉を直接口にするのが失礼に当たるのか、皆遠回しに長たらしく持って回った言い方をするのが興味深い。
今風で生き生きした翻訳(アンネ・ランデ・ペータス、長島確)が素晴らしい。
舞台は額縁のような金の枠の奥に上辺が少し傾いたやはり金の枠。そのまた奥にまたまた金の額縁の大きな絵が掛かっている。黒いズボン姿の男性の脚の部分のみ見えている(美術:池田ともゆき)。
ヘッダ(大地真央)はガーブレル将軍の娘。上流階級の出で誇り高く、贅沢な暮らししかできない。その彼女がどういう訳か真面目なだけの学者テスマンと結婚し、半年近い新婚旅行から新居に帰ってきた。夫は研究の虫で、彼女は早くも退屈している。そこへかつての恋人レーヴボルクが現れる。彼は夫と同じ分野の学者だが天才肌で、最近出した本が評判になっている。次に出す本の執筆を協力してきたのは、ヘッダの学生時代の後輩テーヤ・エルヴステード夫人だった。その本は二人にとって子供のようなものだと聞かされたヘッダは、嫉妬のあまり・・・。
退屈しのぎに拳銃をもてあそび、ついには自滅してゆく女性ヘッダ。
彼女は家柄が飛び抜けてよく、健康な体を与えられていながら、特にやりたいことがない。(やらなければならないこともないが。)働く必要がなかったので、これまでもダンスぐらいしかやったことがない。どういう教育を受けてきたのだろうか。
驚くのは、全く境遇の違うテーヤと同じ学校に通っていたということだ。上流階級の子女は学校には通わず住み込みの家庭教師に習うというイメージがあったが・・・?
ヘッダは一種の奇形。人を愛したことがないし、愛するとはどういうことかも知らない。彼女の嫉妬にしたってただの所有欲だ。しかしそんな彼女も、誰からも必要とされないことの寂しさは身に沁みて感じたのだった。
役者ではとにかく大地真央。姿ももちろんだが声がいい。何より華がある。そして意外なことにコメディーのセンスが抜群なので、今回の珍しい「笑えるヘッダ」が誕生したと言える。
ノルウェイでは、女性が「妊娠する」とか「子供を生む」とかいう言葉を直接口にするのが失礼に当たるのか、皆遠回しに長たらしく持って回った言い方をするのが興味深い。
今風で生き生きした翻訳(アンネ・ランデ・ペータス、長島確)が素晴らしい。