4月24日新国立劇場オペラハウスで、モーツアルト作曲のオペラ「ドン・ジョヴァンニ」をみた(演出:グリシャ・アサガロフ、
オケ:東京フィル)。
舞台が美しい。背景にヴェニスの港の風景(美術:ルイジ・ペーレゴ)。序曲の途中から小舟がすべるように下手からやって
来る。そこに悪党とその召使いが乗っている。ここで早くも胸が高鳴る。こんな風に優雅に登場したドン・ジョヴァンニは
これまでいなかった。中央で舟が止まると彼は降りて、上手にある屋敷への階段を登ってゆく。そこがドンナ・アンナの邸。
彼女の父(騎士長)が死ぬ時のドン・ジョヴァンニと騎士長の動きなどは美しく様式化されている。
上方に眼鏡橋のような美しい形の橋が現れ、主従2人が話していると、その下を、彼がかつて捨てた女エルヴィーラが通り
かかる。赤に白と黒の縁取りのドレス。少女に荷物を持たせている。
村の娘ツェルリーナは白い花嫁衣裳。村の人々は陽気な感じの服。男たちのジャケットまで花柄。
主人公は自邸に戻ると派手な紫のベストとズボンで現れ、いかにも悪党っぽい。
歌手は、何と言っても主役(マリウシュ・クヴィエチェン)の張りのあるビロードのような声が素晴らしい。
騎士長役の妻屋秀和も、特に最後の石像のシーンは聴きごたえがあり見事だった。この二人は、評者が今まで見た中で
それぞれの役のベストと言える出来。
レポレッロ役の平野和もうまい。この主従は二人共、演技も素晴らしかった。
森は何やらなまめかしい形の巨大な木々。
エルヴィーラが最後にドン・ジョヴァンニに改心を迫ると、彼は長いテーブルに彼女を押し付けてドレスの裾をめくり、暴行
しかける。これは珍しい。彼は一度ものにした女には決して手を出さないと言われているが。
最後のシーンで彼は黒シャツ黒ズボンに白いベスト姿で、何やら赤いワインっぽい液体を飲んでみせる。
石像は上方に現れ、手を差し伸べる。男はテーブルの上に飛び乗り、手を伸ばすが届かない。それでも霊力で?石像の手が
触れたらしく「何て冷たいんだ・・・」というセリフへと続いてゆき、石像はカーテンで隠され、長テーブルが男を乗せた
ままゆっくり沈んでゆく。するとそこに、何本もの白い手が現われ、彼を引き降ろそうとする。彼は叫びつつ硝煙とともに
地獄に落ちてゆく。
何度見ても(聴いても)このシーンはたまらないが、今回の演出は説得的で感銘深かった。
衣装(美術と同じくルイジ・ペーレゴ)は良い意味でオーソドックス。奇をてらうところがないのが嬉しい。この点でも
今までみた中で一番かも知れない。
オケ:東京フィル)。
舞台が美しい。背景にヴェニスの港の風景(美術:ルイジ・ペーレゴ)。序曲の途中から小舟がすべるように下手からやって
来る。そこに悪党とその召使いが乗っている。ここで早くも胸が高鳴る。こんな風に優雅に登場したドン・ジョヴァンニは
これまでいなかった。中央で舟が止まると彼は降りて、上手にある屋敷への階段を登ってゆく。そこがドンナ・アンナの邸。
彼女の父(騎士長)が死ぬ時のドン・ジョヴァンニと騎士長の動きなどは美しく様式化されている。
上方に眼鏡橋のような美しい形の橋が現れ、主従2人が話していると、その下を、彼がかつて捨てた女エルヴィーラが通り
かかる。赤に白と黒の縁取りのドレス。少女に荷物を持たせている。
村の娘ツェルリーナは白い花嫁衣裳。村の人々は陽気な感じの服。男たちのジャケットまで花柄。
主人公は自邸に戻ると派手な紫のベストとズボンで現れ、いかにも悪党っぽい。
歌手は、何と言っても主役(マリウシュ・クヴィエチェン)の張りのあるビロードのような声が素晴らしい。
騎士長役の妻屋秀和も、特に最後の石像のシーンは聴きごたえがあり見事だった。この二人は、評者が今まで見た中で
それぞれの役のベストと言える出来。
レポレッロ役の平野和もうまい。この主従は二人共、演技も素晴らしかった。
森は何やらなまめかしい形の巨大な木々。
エルヴィーラが最後にドン・ジョヴァンニに改心を迫ると、彼は長いテーブルに彼女を押し付けてドレスの裾をめくり、暴行
しかける。これは珍しい。彼は一度ものにした女には決して手を出さないと言われているが。
最後のシーンで彼は黒シャツ黒ズボンに白いベスト姿で、何やら赤いワインっぽい液体を飲んでみせる。
石像は上方に現れ、手を差し伸べる。男はテーブルの上に飛び乗り、手を伸ばすが届かない。それでも霊力で?石像の手が
触れたらしく「何て冷たいんだ・・・」というセリフへと続いてゆき、石像はカーテンで隠され、長テーブルが男を乗せた
ままゆっくり沈んでゆく。するとそこに、何本もの白い手が現われ、彼を引き降ろそうとする。彼は叫びつつ硝煙とともに
地獄に落ちてゆく。
何度見ても(聴いても)このシーンはたまらないが、今回の演出は説得的で感銘深かった。
衣装(美術と同じくルイジ・ペーレゴ)は良い意味でオーソドックス。奇をてらうところがないのが嬉しい。この点でも
今までみた中で一番かも知れない。