1月27日東京文化会館で、グノー作曲のオペラ「ファウスト」を見た(演出:D.G.ライモンディ、指揮:阿部加奈子、オケ:東京フィル)。
舞台はドイツ。老博士ファウストは孤独を悲しみ、「悪魔よ来たれ!」と叫ぶ。すると悪魔メフィストフェレスが出現。
「現世での願いは叶えるから、あの世では私に仕えろ」と持ちかける。若返った博士は、悪魔と共に祭りの場に繰り出し、出征するヴァランタンと
その妹マルグリート、マルグリ―トを慕う少年シーベルと出会う。いまや美青年のファウストは乙女の心を掴むが、
未婚の身で子を宿した彼女を世間は冷笑。ヴァランタンは妹の不始末を恥じてファウストと決闘し落命。
マルグリ―トは赤子を死なせた罪で牢に入る。救いに来たファウストと悪魔の前で、マルグリートは神に慈悲を乞い、男たちを拒む。
天界からの合唱が彼女の罪を赦して幕となる(チラシより)。
藤原歌劇団創立90周年の公演。
ゲーテの劇詩を題材に、1859年に作曲されたグランドオペラ。
全5幕。字幕付きフランス語上演。
このオペラは、2005年にレニングラード国立歌劇場の来日公演を見たことがある(武蔵野市民文化会館大ホール)。
幕が開くと、ファウストが長めの机の前に、こちらを向いて座っている。
机は布で覆われており、中に黒子が数人いてうごめいている。実に気持ち悪い。
しばらくして黒子たちが出て来て部屋の中を動き回る。
メフィストフェレスが背後に現れ、ファウストの様子をうかがう。彼には赤い照明が当たっている。
ファウストが「悪魔よ、来い」と言った途端、メフィストは彼の肩に手をかけ「来ましたよ」。
ビビるファウスト。
契約を持ちかけられてファウストが迷うと、メフィストは若い娘マルグリートの幻影を見せる。
そそのかされたファウストは、ついに契約書にサインする。
暗転(場面転換)の後、酒場。
驚いたことに、大勢の男女がいるのに全員が真っ黒な衣装。
よくよく見ないと男か女かも分からない。
こんなつまらない舞台ってあるだろうか。ここは衣装担当者の腕の見せ所なのに。
マルグリートの兄ヴァランタンは出征前に、マルグリートを慕う少年シーベルに彼女のことを頼む。
マルグリートら兄妹の母親は、すでに亡くなっているという。
メフィストとファウストが入って来る。
メフィストはヴァランタンの手を見て「私の知っている人に殺される」と不吉な予言をする。
さらにシーベルの手を見ると「触った花がしおれる」と嫌な予言をする。
メフィストが「金の仔牛の歌」を歌い、奇怪なことばかりするので、人々は彼が悪魔だと気づき、男たちは剣を逆さに持って十字の形にし、メフィストに向ける。
<2幕>
シーベル登場。
ここはマルグリートが毎日来て祈るところだと言う。
彼が花に触れると、花はみるみるうちに枯れる。
昨夜メフィストが不吉な予言をしたからだ、とショックを受ける。
そばに聖水があり、彼は思いついて、手をその聖水に浸す。
すると悪魔の呪いは消えて、花に触れても枯れない。
喜んだ彼は、白い花束をマルグリートに捧げようと、テーブルの上に置いて去る。
メフィストとファウストが来る。
メフィストはシーベルの置いた花束を床に投げ捨て、宝石箱を取って来てテーブルの上に置く。
二人が去ると、マルグリートが登場。
宝石箱を見て驚き、迷いながらも開けて、早速イヤリングやネックレスをつけてみる。
鏡も入っていたので、自分の姿を見てうっとり。「これはマルグリートじゃない、お姫様よ」
マルトが来て「それはあなたに騎士からのプレゼントよ」「私の亭主とは大違い」
メフィストとファウストが戻って来る。
メフィストは邪魔なマルトを引き離そうと話しかける。
「ご主人が亡くなりました」
ショックを受けるマルト。
だがメフィストと話をするうちに、すぐに気を取り直す。
「いつも旅してばかり」「若いうちはいいけど、年取ったら寂しいでしょう」とか話が進む。
マルトは何と、メフィストと再婚する気になる!
メフィストの方は「この人、ちょっと熟れ過ぎだな」と独り言を言い、逃げ腰なのが可笑しい。
一方、二人きりになったファウストはマルグリートに愛を告白。
いったんは盛り上がるが、マルグリートが「怖いわ」と尻込みし、ファウストは「あなたの清らかさに負けた」
「また明日」と言って別れる。
メフィストが来て「先生は勉強し直さないといけませんな」(笑)と言って、マルグリートが一人、星を見ながら祈っているところを見せる。
マルグリート「あの人は私を愛している!・・生きてるって素晴らしいわ・・」
これを見て勇気を得たファウストは彼女に近づき、二人は抱き合う。
メフィストは高笑い。
<3幕>
マルグリートが一人、白い長い衣に身を包み、赤い布にくるんだ赤子を抱いている。
子供たちが彼女をからかう声。みんなが私を侮辱する、と嘆くマルグリート。
立ち上がって赤い布をパッと広げると、中から白い紙片が散らばる!
何と!?赤子じゃなかったのか?
「あなたはどこにいるの?私、待ちくたびれた」「あなたに会いたい」と切々と歌うマルグリート。
シーベルが来て優しく話しかける。
「あなただけは優しいのね」
「あいつに復讐してやる」「君をだました男・・」
だが「まだ彼を愛してるの?」と聞かれると、彼女は「ええ」と答えるのだった。
兵隊たちが町に帰って来る。迎える女たち。
マルグリートの兄も戻って来て、シーベルを見て妹は?と聞く。
シーベルは「マルグリートを責めないで」と言いつつ、家に入ろうとする兄を止める。
メフィストとファウストが来て、ファウストはマルグリートに会おうとするが、メフィストは適当に歌いながら邪魔する。
兄は事情を知り、ファウストに向かって剣を抜く。
ファウストはマルグリートの兄と知って戸惑うが、メフィストが「私の力で守ってあげる、大丈夫」と言う。
兄は、妹にもらってずっと身につけていたメダルを地面に投げ捨てる。
メフィスト「後悔するぞ」
二人は戦い、兄は刺されて倒れる。
ファウストとメフィストは逃げる。
倒れた兄にマルグリートが駆け寄ると、兄「来るな、お前は悪の道を選んだ。神はお前を赦すだろうが、この世では
お前は呪われる」と言い残して死ぬ。
人々「最後にこんな不幸な言葉を・・神を冒涜する・・」
<バレー>
ここでバレーが挿入される。しかも長い!
前回見た時も感じたが、未婚の少女がたった一人の肉親である兄を殺され、恋人にも捨てられたと思って赤子を自ら殺すという大変な時なのに、
ここで延々とダンサーたちのバレーを見せられるって一体・・・。
こちらはもう、続きが気になって気になって落ち着かないんですけど。
フランスのオペラだから仕方ないけど、我々とはやっぱりちょっと違うと思った。
でも音楽がいいし、ダンサーたちもうまいので、結局は見とれてしまったけど(笑)
ちなみに、このオペラで一番有名なのは、ここのバレー音楽。
バレーが終わると、マルグリートは子殺しの後らしく、牢獄の中。
ファウストが話しかけると、マルグリートは嬉しそうに答え、彼と初めて会った時のことを懐かしそうに思い出す。
メフィストが現れると、マルグリートは「悪魔が!」と驚く。
メフィストはファウストに言う、「牢番は眠っている。これが鍵だ。早く連れ出して一緒に逃げよう」
庭に処刑台が作られている、とか言う。マルグリートはすぐにでも処刑されるようだ。
ファウストがしきりに誘うが、マルグリートは「いや」「ここにいる」「神様・・・」と祈り続ける。
彼女の白衣にさらに白い照明が当たり、神々しい。
するとなぜか黒衣の女性たちが現れて彼女を取り巻く。
しまいに一人が彼女を抱きしめる。
赤い照明がメフィストに当たり、メフィストとファウストは出口の方に退く。幕。
今回の演出は、赤子の布の一件を始め、いろいろと納得のいかない点が多かった。
衣裳も手抜きでつまらない。予算の関係もあるのだろうか。
歌手は、メフィストフェレス役のカッチャマーニ、シーベル役の向野由美子、マルグリート役の砂川涼子が好演。
題名役の人は、この日、調子がよくなくて残念だった。
ダンサーの方々は、素晴らしかった。
いろいろ不満はあったが、めったに上演されない作品を久し振りに見ることができてよかった。
舞台はドイツ。老博士ファウストは孤独を悲しみ、「悪魔よ来たれ!」と叫ぶ。すると悪魔メフィストフェレスが出現。
「現世での願いは叶えるから、あの世では私に仕えろ」と持ちかける。若返った博士は、悪魔と共に祭りの場に繰り出し、出征するヴァランタンと
その妹マルグリート、マルグリ―トを慕う少年シーベルと出会う。いまや美青年のファウストは乙女の心を掴むが、
未婚の身で子を宿した彼女を世間は冷笑。ヴァランタンは妹の不始末を恥じてファウストと決闘し落命。
マルグリ―トは赤子を死なせた罪で牢に入る。救いに来たファウストと悪魔の前で、マルグリートは神に慈悲を乞い、男たちを拒む。
天界からの合唱が彼女の罪を赦して幕となる(チラシより)。
藤原歌劇団創立90周年の公演。
ゲーテの劇詩を題材に、1859年に作曲されたグランドオペラ。
全5幕。字幕付きフランス語上演。
このオペラは、2005年にレニングラード国立歌劇場の来日公演を見たことがある(武蔵野市民文化会館大ホール)。
幕が開くと、ファウストが長めの机の前に、こちらを向いて座っている。
机は布で覆われており、中に黒子が数人いてうごめいている。実に気持ち悪い。
しばらくして黒子たちが出て来て部屋の中を動き回る。
メフィストフェレスが背後に現れ、ファウストの様子をうかがう。彼には赤い照明が当たっている。
ファウストが「悪魔よ、来い」と言った途端、メフィストは彼の肩に手をかけ「来ましたよ」。
ビビるファウスト。
契約を持ちかけられてファウストが迷うと、メフィストは若い娘マルグリートの幻影を見せる。
そそのかされたファウストは、ついに契約書にサインする。
暗転(場面転換)の後、酒場。
驚いたことに、大勢の男女がいるのに全員が真っ黒な衣装。
よくよく見ないと男か女かも分からない。
こんなつまらない舞台ってあるだろうか。ここは衣装担当者の腕の見せ所なのに。
マルグリートの兄ヴァランタンは出征前に、マルグリートを慕う少年シーベルに彼女のことを頼む。
マルグリートら兄妹の母親は、すでに亡くなっているという。
メフィストとファウストが入って来る。
メフィストはヴァランタンの手を見て「私の知っている人に殺される」と不吉な予言をする。
さらにシーベルの手を見ると「触った花がしおれる」と嫌な予言をする。
メフィストが「金の仔牛の歌」を歌い、奇怪なことばかりするので、人々は彼が悪魔だと気づき、男たちは剣を逆さに持って十字の形にし、メフィストに向ける。
<2幕>
シーベル登場。
ここはマルグリートが毎日来て祈るところだと言う。
彼が花に触れると、花はみるみるうちに枯れる。
昨夜メフィストが不吉な予言をしたからだ、とショックを受ける。
そばに聖水があり、彼は思いついて、手をその聖水に浸す。
すると悪魔の呪いは消えて、花に触れても枯れない。
喜んだ彼は、白い花束をマルグリートに捧げようと、テーブルの上に置いて去る。
メフィストとファウストが来る。
メフィストはシーベルの置いた花束を床に投げ捨て、宝石箱を取って来てテーブルの上に置く。
二人が去ると、マルグリートが登場。
宝石箱を見て驚き、迷いながらも開けて、早速イヤリングやネックレスをつけてみる。
鏡も入っていたので、自分の姿を見てうっとり。「これはマルグリートじゃない、お姫様よ」
マルトが来て「それはあなたに騎士からのプレゼントよ」「私の亭主とは大違い」
メフィストとファウストが戻って来る。
メフィストは邪魔なマルトを引き離そうと話しかける。
「ご主人が亡くなりました」
ショックを受けるマルト。
だがメフィストと話をするうちに、すぐに気を取り直す。
「いつも旅してばかり」「若いうちはいいけど、年取ったら寂しいでしょう」とか話が進む。
マルトは何と、メフィストと再婚する気になる!
メフィストの方は「この人、ちょっと熟れ過ぎだな」と独り言を言い、逃げ腰なのが可笑しい。
一方、二人きりになったファウストはマルグリートに愛を告白。
いったんは盛り上がるが、マルグリートが「怖いわ」と尻込みし、ファウストは「あなたの清らかさに負けた」
「また明日」と言って別れる。
メフィストが来て「先生は勉強し直さないといけませんな」(笑)と言って、マルグリートが一人、星を見ながら祈っているところを見せる。
マルグリート「あの人は私を愛している!・・生きてるって素晴らしいわ・・」
これを見て勇気を得たファウストは彼女に近づき、二人は抱き合う。
メフィストは高笑い。
<3幕>
マルグリートが一人、白い長い衣に身を包み、赤い布にくるんだ赤子を抱いている。
子供たちが彼女をからかう声。みんなが私を侮辱する、と嘆くマルグリート。
立ち上がって赤い布をパッと広げると、中から白い紙片が散らばる!
何と!?赤子じゃなかったのか?
「あなたはどこにいるの?私、待ちくたびれた」「あなたに会いたい」と切々と歌うマルグリート。
シーベルが来て優しく話しかける。
「あなただけは優しいのね」
「あいつに復讐してやる」「君をだました男・・」
だが「まだ彼を愛してるの?」と聞かれると、彼女は「ええ」と答えるのだった。
兵隊たちが町に帰って来る。迎える女たち。
マルグリートの兄も戻って来て、シーベルを見て妹は?と聞く。
シーベルは「マルグリートを責めないで」と言いつつ、家に入ろうとする兄を止める。
メフィストとファウストが来て、ファウストはマルグリートに会おうとするが、メフィストは適当に歌いながら邪魔する。
兄は事情を知り、ファウストに向かって剣を抜く。
ファウストはマルグリートの兄と知って戸惑うが、メフィストが「私の力で守ってあげる、大丈夫」と言う。
兄は、妹にもらってずっと身につけていたメダルを地面に投げ捨てる。
メフィスト「後悔するぞ」
二人は戦い、兄は刺されて倒れる。
ファウストとメフィストは逃げる。
倒れた兄にマルグリートが駆け寄ると、兄「来るな、お前は悪の道を選んだ。神はお前を赦すだろうが、この世では
お前は呪われる」と言い残して死ぬ。
人々「最後にこんな不幸な言葉を・・神を冒涜する・・」
<バレー>
ここでバレーが挿入される。しかも長い!
前回見た時も感じたが、未婚の少女がたった一人の肉親である兄を殺され、恋人にも捨てられたと思って赤子を自ら殺すという大変な時なのに、
ここで延々とダンサーたちのバレーを見せられるって一体・・・。
こちらはもう、続きが気になって気になって落ち着かないんですけど。
フランスのオペラだから仕方ないけど、我々とはやっぱりちょっと違うと思った。
でも音楽がいいし、ダンサーたちもうまいので、結局は見とれてしまったけど(笑)
ちなみに、このオペラで一番有名なのは、ここのバレー音楽。
バレーが終わると、マルグリートは子殺しの後らしく、牢獄の中。
ファウストが話しかけると、マルグリートは嬉しそうに答え、彼と初めて会った時のことを懐かしそうに思い出す。
メフィストが現れると、マルグリートは「悪魔が!」と驚く。
メフィストはファウストに言う、「牢番は眠っている。これが鍵だ。早く連れ出して一緒に逃げよう」
庭に処刑台が作られている、とか言う。マルグリートはすぐにでも処刑されるようだ。
ファウストがしきりに誘うが、マルグリートは「いや」「ここにいる」「神様・・・」と祈り続ける。
彼女の白衣にさらに白い照明が当たり、神々しい。
するとなぜか黒衣の女性たちが現れて彼女を取り巻く。
しまいに一人が彼女を抱きしめる。
赤い照明がメフィストに当たり、メフィストとファウストは出口の方に退く。幕。
今回の演出は、赤子の布の一件を始め、いろいろと納得のいかない点が多かった。
衣裳も手抜きでつまらない。予算の関係もあるのだろうか。
歌手は、メフィストフェレス役のカッチャマーニ、シーベル役の向野由美子、マルグリート役の砂川涼子が好演。
題名役の人は、この日、調子がよくなくて残念だった。
ダンサーの方々は、素晴らしかった。
いろいろ不満はあったが、めったに上演されない作品を久し振りに見ることができてよかった。
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