題 ノーベル賞と「ボブ・ディラン」
秋もすっかり深まりました。
さて、先月、今年のノーベル賞各賞の発表がありました。
世界的に権威ある賞の筆頭と言っても過言ではないノーベル賞。
生理学・医学賞に大隈良典さんが受賞された、というニュースも、日本人としては誇り高いことでしたが、画期的ともいうべき出来事は、何といっても文学賞でした。
アメリカのボブ・ディランさんの受賞。シンガーソングライターの受賞ということで、文学賞の概念が大きく変わったと、世界では驚きの声と共に賛否の声が渦巻いています。
ボブ・ディランさんという名前を聞いても、若い皆さんにはなじみが少ないかもしれませんね。
受賞代表作という「風に吹かれて」について、部分抜粋ですが紹介します。
いったい、いくつの道を歩けば 人は人として認められるんだろうか
いったい、いくつの海を渡れば 白い鳩は砂浜に眠ることができるのか
いったい、いくつの砲弾が空を飛び交えば 人はそれを永遠に葬り去るんだろうか
友よ、その答えは風に吹かれている
答えは風に吹かれているのさ
この曲の発表は、彼がまだ21歳の時、1961年ですから、半世紀以上も前の詩なのですね。
三連に分かれ、抽象的な問いかけが交互に繰り返されたあと、「答えは風に吹かれている。」というリフレインで締めくくられています。
この頃のアメリカは、まさにベトナム戦争に揺れる時代だったのですが、全編の歌詞にちりばめられたことばは、必ずしも反戦・平和を発信するばかりではなく、人としての生き方を問いかけたものでした。
時代の代弁者として、その時代はもとより、現代においても、その強いメッセージは生き生きと伝わってくるようです。
皆さんも、ぜひその詩に触れてみてはいかがですか。
12月だという授賞式では、どんな形で、どんなメッセージが発せられるのか興味あるところですね。
今回の出来事で、ノーベル賞が少しだけ親しみを増して感じられるようになっているのは、私だけでしょうか。