青少年なやみ相談室

相談室だより

時の流れの不思議

2024年01月01日 09時00分00秒 | vol.181~190

 明けましておめでとうございます。

  新年を迎える準備のために慌ただしく過ごした12月が過ぎ、新たな一年が始まりましたね。年齢を重ねるごとに、時間の流れが早く感じると思ったことはありませんか?

 「時間の進み方は一定のはずなのに、なぜ年々、時間の流れが早くなったように感じるのか」これは、長年に渡り心理学者や哲学者が研究や議論を重ねてきたテーマでもあります。
 代表的なもののひとつに「ジャネーの法則」があります。これは19世紀にフランスの哲学者のポール・ジャネーが考案し、後に甥[おい]で心理学者のピエール・ジャネーが自身の著書で紹介したことで世に知られるようになりました。「ジャネーの法則」は、心で感じる時間の長さ(心理的時間)は、年齢に反比例するという法則です。つまり、年齢が3倍になると、時間の長さは3分の1になり、年齢が6倍になると時間の長さは6分の1になります。この法則に当てはめると、10歳のときの1年間は、30歳の人にとっては4か月間、60歳の人には2か月間に感じられることになります。
 また、時間の感じ方について研究している千葉大学の一川誠[いちかわ まこと]先生は、著書『すごい!「仕事の時間」術』の中で、大人になると、子どもの頃よりも新鮮な経験が少なくなるため、時間が早く進むように感じると述べています。これは、子どもの頃は初めて体験することがたくさんあるため、その一つ一つが印象深い出来事として感じられますが、大人になると、起床、出勤、仕事、帰宅、就寝といったように日々の生活がルーティン化されることも多くなり、子どもの頃のようにゆったりとした時間の感覚が失われるため、時間の流れが早く感じられるという考えです。 
 この他にも多くの研究者が、年齢を重ねると時間の感じ方が早くなるのはなぜか研究していますが、まだまだはっきりとわかっていないこともあります。それでも、一年、また一年と年齢を重ねるごとに、時間の流れが早く感じることに変わりはありません。今年よりも来年はもっと時間の流れが早く感じるかもしれない…そう考えると、一日一日を大切に過ごしていきたいものですね。


参考文献
村上勝典(2016)「時間評価に関する心理学的研究 —青年期における男女差の検討—」 2015年度 博士学位論文 吉備国際大学大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻
一川誠(2011) 『すごい!「仕事の時間」術』 三笠書房
弁護士法人 栄光 栄光綜合法律事務所 「老いと時間」
https://www.eiko.gr.jp/essay_a/%E8%80%81%E3%81%84%E3%81%A8%E6%99%82%E9%96%93/ (アクセス日時 2023/12/21 14:30頃)
心理カウンセラーならTERADA医療福祉カレッジ 「時間の心理学」
https://www.terada-medical.com/column/psychology_of_time/ (アクセス日時 2023/12/21 14:30頃)

 

 


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