お薦めの1冊「中学生になったら」(著者:宮下聡 岩波ジュニア新書)
著者の宮下聡さんは1952年東京都に生まれました。大学卒業後、1970年代後半の「校内暴力の嵐」の時代に中学校教員となって「熱血青年教師」時代を過ごしました。定年後の今は都留文科大学教職支援センター特任教授として教員志望の大学生とゆったり向き合いながら中学生のステキを伝えています。
宮下さんは「この本に込めた思い」の中で、「中学生はもちろん、これから中学生になる人、中学生の親、中学校の先生、そして中学校の先生になろうとしている人、いろいろなことで中学生にかかわっている人すべてに語りたい。」とお書きになっています。
この本はそんな宮下さんの思いが、「中学生時代は人生の土台」「中学校の生活」「中学生の勉強方法」「学ぶことの意味を考える」「進路を拓く、人生をデザインする」「一緒に考えましょう、こんなときどうする」「子どもの権利条約に出会いましたか」の7つの章に分類され、綴られています。
1つ紹介すると「進路を拓く、人生をデザインする」の章の中で「この地球の歴史の中でオンリーワンのいのち(自分)が歩んでいく人生は、世界で一つだけのドラマでそのドラマの主人公は自分で、そしてさらにその人生ドラマのシナリオを書くのも主人公の自分だということを忘れないでほしい。」と語っています。そのことこそ「自分の人生をデザインすることなのだ。」と。さらに「残念ながら私たちは時間を遡ることも、ゲームのようにリセットしてやり直すこともできません。けれども、そう思った今から新しくやり直すことならできます。何を大切にしてどんな新しい可能性に向かって進むのかを真剣に考えるんです。そんなとき、それまでに経験したこと、成功ばかりでなく失敗の体験も、すべてが未来に向かう歩みの土台になるのです。」と語っています。
「たった一度の中学三年間だから」ではじまるこの一冊。中学三年間もたった一度なら、人生もそして生きているこの瞬間もたった一度です。宮下さんが伝えたい中学生のステキを感じながら、「なりたい自分」を大切にして、あきらめずに進んでいくためにもぜひ読んでみてください。
「大丈夫だよ!キミは一人じゃないからね。」