新しい年が明けました。初詣に行かれた方は、ご家族のご多幸や受験祈願、そして何よりもコロナ禍の終息を願われたのではないでしょうか。
このコロナ禍が私たちの社会に何をもたらすのか、様々なことが述べられていますが、コロナ後の世界の大きな変容については多くの識者が述べています。
今、私たちの周りでは、人と人とのつながりに「自粛」を迫られ、そしてまず「自助」が優先されています。政府がそれを求めることが当然とされる社会、それは違う視点で捉えるとき、いわゆる監視型社会の始まりと見られています。更に、世界的にはグローバリズムの社会における自国主義の台頭が見受けられ、こうした息苦しさを覚える世界が始まるという予測があります。
一方、別な視点からの議論もあります。コロナ禍の背景には、急速に進む開発(自然破壊)や気候変動(温暖化)の影響があるとの指摘があります。つまり、今回の危機は人間自身が引き起こしたものであり、そのため、人間と地球環境が共存・共生する新たな世界を再構築することが求められているというのです。
その視点から国連のSDGsの取組が重要な意義をもってくると言われています。持続可能な開発目標(SDGs)は、共存・共生を理念に、国家を超えて行動し、地球環境を含めて、誰一人取り残さず持続可能であり、多様で差別のない世界を目指すものです。
正に前述の新たな世界です。そこにはお互いの存在を思いやる心があります。その実現の道は困難でも、私たちはそこに希望と期待を寄せるべきであることが説かれています。
コロナ禍が終息した後の世界がどの方向を向いているのか、それは誰にも分りません。
ただできれば、国の統制の下、自助を求められ、弱者が排除される、そして国と国とが自国主義を掲げてぶつかりあう世界より、お互いを思いやり、自然と人間が共存・共生する新たな世界に生きることに希望を見出したいものです。
特にコロナ後の世界に生きる子ども達や若い方々がそう望まれることを強く期待します。
参考図書:総合人間学15「コロナ禍を生き抜く、問いあい・思いやる社会を創造できるか」ほか