学校や職場で何かにチャレンジしようとするとき、緊張したりプレッシャーを感じたりすることってありますよね。というかそれが普通ですよね。
それは進化の過程で生まれた「命を守るための反応」、狩りをしていた私たちの祖先が、突然、ライオンに出くわしたときの「ストレス反応」です。心拍数に血圧、血糖値が上昇することで、逃げる準備や戦う準備が整います。逆にそれがないほうが危険なのです。
でも、そういう命の危険がない今は、いくらかでも緊張を和らげたいですよね。その方法をいくつかご紹介します。
➊ 深呼吸をする
緊張には「自律神経」が大きく関係しています。自律神経は緊張状態をつくる「交感神経」と、リラックス状態をつくる「副交感神経」で構成されていますが、基本的に自分の意志でコントロールできません。心拍数や血圧などが代表的ですが、緊張時の冷や汗、あぶら汗、手足や声のふるえも、自律神経の働きによって生まれているのです。
ただ、自律神経の働きにも例外があります、それは呼吸。普段は意識しませんが、呼吸だけは自分の意志で速めたりゆるめたりできます。緊張時は呼吸が乱れがち。その時はため息をつくように、ゆっくり長~く息を吐きだしましょう。その後、鼻からやさしく息を吸います。これだけで副交感神経がしっかり働くようになり、リラックスできるのです。
➋ 気持ちをそらす
緊張している時って、一つのことに意識が集中していることが多いのです。集中することは大事ですが、集中のしすぎはかえってマイナス。よくスポーツ選手が試合前にヘッドホンで音楽を聞いたり、ガムをかんだりしている姿を見ますが、これも脳の意識を分散させることで、緊張を和らげているのです。例えば、この1週間で一番楽しかったことを考るなど、自分に合った気持ちのそらし方を見つけてみましょう。
➌「見える化」する
緊張するのは、これから何が起こるかが見えないから。電灯のない暗い道を歩くのと、見晴らしのよい草原を歩くのでは気分がまったく違いますよね。緊張の原因は見えないことへの不安や恐怖。そこで「見える化」です。鉛筆と紙を準備して、今どんな不安や恐怖を感じているのかを、できるだけ具体的に書き出してみるのです。この「見える化」に緊張をほぐす効果があることは、科学的にも証明されています。
ほかにも緊張を和らげる方法はいろいろありますが、緊張を感じることは生物学的にとても自然な現象です。すぐには効果が現れないかもしれませんが、そういう体験を重ねることで、徐々に緊張とうまく付き合っていくことができるようになります。まずはお試しあれ!
※参考図書:池谷裕二×ヨシタケシンスケ『モヤモヤそうだんクリニック』(NHK出版)