子どもが発達する過程で、最初に獲得されるのが“ほほ笑み”です。
生まれて間もなく、すべての赤ちゃんが“にこ~”とします。
生後3~4ヵ月までには、多くの子どもが可愛らしい声を出して笑うようになります。
子どもの笑顔が例外なく私たちの心に染み込んでくるのは、
子どもが「生まれてきてよかった」という「自己肯定感」に満ちあふれているからです。
現代の子どもや若者は、諸外国と比べて「自己肯定感が低い」とよく言われます。
でも、はじめから「自己肯定感」のない子どもはいません。
「自己肯定感」は生まれつき遺伝子に組み込まれ、遺伝子がすべての子どもたちに与える、天性の力です。
たいせつな子どもたちの「自己肯定感」をいかに守り、高めていくのか。
そのためには、次の3つのことをお勧めします。
■ 子どもの好きや夢を否定しないこと
子どもが自分の好みや夢を親に話したとき、決してそれを否定してはいけません。
子どもの心はやわらかく素直なので、いちばん身近にいる親に否定されたら、
そこにあった「自己肯定感」を一時的にせよ見失ってしまいます。
そのような日常が積み重なれば、「自己肯定感」はうすれ、自分を粗末に扱い、
「どうせ自分なんて・・・」となります。
■ 子どもをこまめにほめること
小さな子どもは、自分のまわりで何か悪いことがあると、
例えそれが親からの虐待でも、すべて自分のせいと感じてしまいます。
そして「自己肯定感」は徐々に失われていきます。
では、どうすれば良いのでしょう。
それは小さいうちから「やればできる」という経験をたくさん積ませてあげること。
勉強でも、スポーツでも、習い事でも何でも良いのです。
ささやかな成功体験をたくさん積ませて「すごいね」「よくできたね」とほめる。
思いっきりほめることです。それが子どもにとって大きな力になります。
■ 子どもを他人と比べないこと
子育ての本にはよく「人と比べない」と書いてあります。
様々なことで比較され、競わされ、叱咤される。親は子どもを励ましているつもりでも、
逆に戸惑わせ、自信を失わせ、「自己肯定感」を奪っているかもしれません。
それぞれマイペースで育っている子どもを、ほかの誰かと比べることは避けるべきです。
他人と比べられることで頑張れる子どももいると思いますが、
そうではない子どももたくさんいるのです。
もう一つ大事なことは、親自身が子育ての中で自己肯定感を失わないこと。
赤ちゃんの初めての“にこ~”を思い出して、
「生まれてきてくれてありがとう」という感謝の気持ちで接することで、
子どもも「生まれてきてよかった」と返してくれるはずです。
※参考図書:高橋孝雄(慶應義塾大学医学部教授)「小児科医のぼくが考える 最高の子育て」(マガジンハウス)