青少年なやみ相談室

相談室だより

相談室だより12月 子どもはみな自己肯定感を持って生まれてきます

2019年12月01日 00時00分00秒 | vol121~130

 子どもが発達する過程で、最初に獲得されるのが“ほほ笑み”です。

生まれて間もなく、すべての赤ちゃんが“にこ~”とします。

生後3~4ヵ月までには、多くの子どもが可愛らしい声を出して笑うようになります。

子どもの笑顔が例外なく私たちの心に染み込んでくるのは、

子どもが「生まれてきてよかった」という「自己肯定感」に満ちあふれているからです。


 現代の子どもや若者は、諸外国と比べて「自己肯定感が低い」とよく言われます。

でも、はじめから「自己肯定感」のない子どもはいません。

「自己肯定感」は生まれつき遺伝子に組み込まれ、遺伝子がすべての子どもたちに与える、天性の力です。


 たいせつな子どもたちの「自己肯定感」をいかに守り、高めていくのか。

そのためには、次の3つのことをお勧めします。


■ 子どもの好きや夢を否定しないこと

 子どもが自分の好みや夢を親に話したとき、決してそれを否定してはいけません。

子どもの心はやわらかく素直なので、いちばん身近にいる親に否定されたら、

そこにあった「自己肯定感」を一時的にせよ見失ってしまいます。

そのような日常が積み重なれば、「自己肯定感」はうすれ、自分を粗末に扱い、

「どうせ自分なんて・・・」となります。


■ 子どもをこまめにほめること

 小さな子どもは、自分のまわりで何か悪いことがあると、

例えそれが親からの虐待でも、すべて自分のせいと感じてしまいます。

そして「自己肯定感」は徐々に失われていきます。

では、どうすれば良いのでしょう。

それは小さいうちから「やればできる」という経験をたくさん積ませてあげること。

勉強でも、スポーツでも、習い事でも何でも良いのです。

ささやかな成功体験をたくさん積ませて「すごいね」「よくできたね」とほめる。

思いっきりほめることです。それが子どもにとって大きな力になります。


■ 子どもを他人と比べないこと

 子育ての本にはよく「人と比べない」と書いてあります。

様々なことで比較され、競わされ、叱咤される。親は子どもを励ましているつもりでも、

逆に戸惑わせ、自信を失わせ、「自己肯定感」を奪っているかもしれません。

それぞれマイペースで育っている子どもを、ほかの誰かと比べることは避けるべきです。

他人と比べられることで頑張れる子どももいると思いますが、

そうではない子どももたくさんいるのです。

 

 もう一つ大事なことは、親自身が子育ての中で自己肯定感を失わないこと。

赤ちゃんの初めての“にこ~”を思い出して、

「生まれてきてくれてありがとう」という感謝の気持ちで接することで、

子どもも「生まれてきてよかった」と返してくれるはずです。

 

※参考図書:高橋孝雄(慶應義塾大学医学部教授)「小児科医のぼくが考える 最高の子育て」(マガジンハウス)



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