7月に入り、ジメジメとした蒸し暑い日も増えてきました。初夏から盛夏へと季節が移り変わろうとしています。梅雨の時季にかけて降る長雨は、数か月後に得られる豊かな実りへの呼び水となります。
大地への恵みの雨という反面、雨の日が続くと何となく憂鬱(ゆううつ)で外に出るのも億劫になりますね。そんな日は部屋にこもって、のんびりと本を読んでみてはいかがでしょうか。
シトシトと静かに降る雨の音を聞いていると、自分だけの時間がゆっくりと流れ、心が静まるような、安らぐような、どこか心地よい感覚を抱いたことはありませんか。誰にも邪魔されず、読書に集中できるのは雨の日の良さとも言えます。
昔から「晴耕雨読(せいこううどく)」という言葉があるように、雨の日の休日や空き時間などに気分転換も兼ねて本を読んでみると、新しい発見や感動と出会えるかもしれません。本の作者や登場人物の考え方に触れることで、さまざまな価値観があることを知ることができます。さらに、今まで感じたことのないような喜びや悲しみによって心が動き、他人に共感する思いやりや相手の気持ちに寄り添う優しさなどが培われ、精神的な成長にもつながります。
読書の合間には、好きな飲み物で一息つくと、リラックス効果も高まり、ストレス解消にもなります。また、ゆったりと読む環境を整えることで、より快適に読書を楽しむことができます。あまり堅苦しく考えず、気軽に興味があるジャンルの本から手に取ってみるのも本を好きになる近道となります。
忙しい日々の中でも、本を読むことは豊かな心や人間性を育み、生きる力になります。そういった積み重ねが、人とのコミュケーションの取り方や物事の前向きな捉え方に役立つのではないでしょうか。読書は、知識や教養を増やすだけでなく、心に栄養を蓄え、気持ちを整える自分への水やりになります。
【参考文献】
見坊豪紀ら編 (2022)『三省堂国語辞典 第8版』三省堂
齋藤 孝 (2002) 『読書力』岩波書店
福原 義春 (2018) 『教養読書-仕事も人生も読む本で大きく変わる』東洋経済新報社