みなさんは、中学生や高校生の女子生徒がズボン(スラックス)をはいて登校しているのを見たことがありますか?今、東北地方でも、女子生徒がズボンをはいて登校できる学校が増えてきました。
もともとは、生まれた時の性別と性自認が異なる(こころとからだの性が一致しない)トランスジェンダーへの配慮として普及してきたズボンでしたが、現在は「自由でよい」「動きやすそう」「かっこいい」「暖かそう」など、防寒対策や自分らしい装いを自由に選択できると、女子生徒に好意的に受け入れられているようです。今後、男子生徒のスカート着用を含め、選択の自由を広げていく学校もあります。
学校の校則でスカート(ズボン)をはかなくてはいけない…トランスジェンダーの方の抱えている問題はそれだけではありません。身近な例として、トイレがあります。多くの学校では、トイレは「男性用」「女性用」に分けられていますよね。「自分はどちらのトイレに入ったらいい?」トランスジェンダーの方は、そんな悩みを持っているのです。今後は、性別を問わず誰もが使うことのできる「みんなのトイレ」の設置が求められるでしょう。そのほかにも、体育や部活など、男女が分かれて活動を行う場面や、健康診断、身体測定、修学旅行にも、トランスジェンダーの方の困りごとはかくれています。学校で性の多様性に関する教育がなされていないと、そんな悩みをわかることは難しいですよね。「男・女らしくない」という理由でいじめが始まってしまう可能性もあります。トランスジェンダーの方を守るには、みなさんの気づきや理解が必要です。
岩手県立住田高校では、紺色のブレザーに校章入りのワッペンを付けたなら、それを制服として認めるというおもしろい取組がなされています。どこで買っても「紺色」の「ブレザー」ならば型は自由。もちろんズボンやスカート、どちらをはくかも自由です。ジェンダーに配慮しただけでなく、制服を買う金銭的な負担を減らす目的もあるといいます。住田高校では、先生だけでなく、生徒会が中心となってこの取組を進めてきました。みなさんには、自分の学校の決まりを考え、変えていく権利があります。困っている人のために声をあげる勇気が、学校全体を変えることだってあるのです。
一方で、岩手県は女子生徒がズボンを着用できる学校の数は全国最下位です。今後、みなさんの着る制服がどんなふうに変わっていくのか、注目したいですね。
引用・参考
JobRainbow LGBTを取り巻く課題って? 2019.11.16
JobRainbow トランスジェンダーとは? 2022.4.30
朝日新聞 紺のブレザー、あとは「自由」住田高の制服、新ルール 2022.4.23
河北新報 宮城県の中高制服 広がる女子スラックス 2022.5.7
PRTIME 調査レポート「カンコ―ホームルームVol.192女子高校生のスラックス制服に関する意識」