「鬼はーそと―!」「福はーうち―!」
鬼のお面と豆菓子を見ると、どこからか子供達の元気な声が聞こえてくるような気がします。「いい子にならないと怖い鬼が来る」「心の中の悪い鬼を追い出そう」と、子供達は小さい手で豆をまき、良い子、強い子になろうと頑張ります。節分※の豆まきは、人々の心身が健やかであることを願う行事であり、子供にも大人にとっても、大切にしたい日本の風習のひとつですね。
さて、誰の心の中にも「鬼」がいる、といいます。自分の醜い部分、弱い部分、悪い部分(=鬼)は誰でも見たくはないものです。アニメのように刀で滅することが出来たらどんなにいいでしょうか。
現実には、心の中の鬼を退治したり、追い出したりすることは、なかなかできるものではありません。光があるから影もある。天使と悪魔、両方の性質を併せ持つのが人の心といえます。悪い性質を持っていても、我慢して悪さをしない鬼なら「良い鬼」。そのような鬼は、自分の一部としてポジティブに認めてあげることも大切なのではないでしょうか。昔話には、鬼でありながら人助けをする良い鬼も、たくさん登場します。鬼の性質を持っていること自体が問題ではなく、それを認め戒めながらよりよく生きていくことが大事なのですね。
では、「福」とは何でしょうか。福とは、お金だけではないはずです。人それぞれに思い描く「福(幸福)」があり、それはその人の人生のテーマや夢と深く結びついています。自分や自分の家族、周りの人々にどんな「福」が舞い込んで欲しいか。大きな願いでも、ほんの小さな願いでも、自分の願いを明確に思い浮かべることは、前向きな希望や、生きるエネルギーにつながります。今のあなたの願いは何ですか?どんな幸せを望んでいますか?
豆まきの豆と一緒に、「良くなりたい」「変わりたい」といった内なる願いを放出し、スカッとできるのも豆まきの醍醐味と言えます。季節の節目にあたる2月に、自分の心の中の「鬼」や、「福(願い)」を見つめることで、新しい春の季節に向けて気持ちを整理することができそうです。
※節分は、立春の前日の指す場合が多い。節分は、「季節を分ける」という意味で、季節の変わり目や区切りを表わす。季節の変わり目には鬼(邪気)が出るとされており、古くから悪霊払いの行事が行われてきた。「邪気」には、人に害を与えようとする心や性質、悪意という意味がある。
※コロナ感染予防のため、マスク着用し、密を避けて、掛け声は控えめに。
参考 :フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』https://ja.wikipedia.org/wiki/節分