青少年なやみ相談室

相談室だより

まぶたのうらにいる人

2019年02月28日 16時38分08秒 | vol121~130

🎵瞳を閉じれば あなたが

 まぶたのうらに いることで

 どれほど 強くなれたでしょう

 あなたにとって私も そうでありたい

 

 これは、レミオロメンの「3月9日」の歌詞です。卒業ソングの定番になっているおなじみの曲ですね。

これまでの生活や人への別れ、そして新しい生活への旅立ちが歌われている曲です。この曲を聞くとい

つも、自分にとって「まぶたのうら」にいるその人は、一体誰だろう、と考えます。

 親や兄弟、仲間…。

 大切なペットや大好きなアーティスト…。

 亡くなったおばあちゃん、若くして天国へ旅立った友達…。

 

  過去を振り返ると、つらい時くるしい時に自分の心の支えになった人やものが、誰にでもあるものです。

あなたの人生の中にも「まぶたのうらにいる誰か」が存在しませんか。たとえもう2度と会えない人であった

としても、まぶたのうらにいるその人は、ずっと自分の心を見つめている。その人に恥ずかしくない自分、

認めてもらえる自分、ほめてもらえる自分でありたい。そんな風に考えることがありませんか。

 

 今は相手に誇れるような自分じゃない、と思う人もいるでしょう。でも、その人を思い浮かべる時、自分は

本当はこうありたいんだ、これからこうなりたい、こう頑張る、という素直な願いに気づかされたりします。

「まぶたのうらにいる人」は、今の本当の自分の姿や望みを映し出す「鏡」でもあるわけです。

 

 春の訪れとともに、自分のこれまでの歩みをふりかえる季節でもある3月。自分を支えてくれた人や、その

人がくれたものを思い返し、心の中でその人に語りかけてみてはいかがでしょうか。

 新しいスタートにむけて、自分が本当に大切にしたいことが、きっと確認できると思います。

 

*レミオロメン「3月9日」作詞:藤巻亮太 (2004.3月発売)


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相談室だより 2月 「『一日一生』と思って生きるということ」

2019年02月01日 00時00分00秒 | vol121~130

 あるテレビ番組で、心に残る1冊として「一日一生」(作/酒井雄哉 ※哉の字ははらい「ノ」の字がないのが正確な字)という新書本が紹介されていました。この本の作者は天台宗大阿闍梨で千日回峰行(約7年かけて比叡山中を千日間、回峰巡拝するなどの天台宗の荒行)を続けて2度満行した方(記録の残るこの400年間で二千日回峰行者は3人のみ)、興味を引かれ早速読んでみました。読み終えて考えさせられたお話をいくつかご紹介します。

★ うまくいかないことが連続の人生でも

  大阿闍梨とのことで優秀で品行方正な人柄を想像していたのですが、小学校はさぼってばかり、中学校は落第生、軍隊に入れば中学を卒業できると言われ、入隊して鹿児島の鹿屋飛行場に配属、優秀な人間から特攻隊員として出陣し、落ちこぼれているうちに終戦。その後の仕事もいい加減で職場を転々、30代半ばも過ぎたある日、伯母さんのお供で比叡山に行ったのが縁でお寺の世界へ、そんな人が千日回峰行を2度満行して大阿闍梨。その大阿闍梨は「人生はいったい、何なんだろうな、と時々思う」そうです。

★ ゆっくりと時間をかけて分かっていくことがある

  天台宗には「常行三昧」という、90日間お堂に籠って2時間の仮眠のみでひたすらお経を唱えて阿弥陀仏の周りをぐるぐる回る行があるそうです。そうした行を終えて体が元に戻るには、行の時間の3倍かかる。心もやはり同じで、90日間いろいろ感じたことが「なるほど」と腑に落ちるには1年はかかる。「1年くらいゆっくり時間をかけて振り返ると、あまり偏った考え方でなく、なめらかに考えられるようになる」とのことです。今の慌ただしい世の中、ときどきじっくりと時間をかけて考えてみることが必要ですね。

★ 習慣というのはとらわれると人の感覚を狂わせてしまう

  同じ「常行三昧」の話。仮眠も木の棒にもたれて休むだけなので、90日間立ったまま。行が終わったらただひたすら横になって休みたいと思っていて、行が終わって、まっさきに畳の上に寝ころんだそうです。そして目が覚めて起きると、目の前に一面の大きな木の壁があってどこにも行けない。ところがじっと見ていると壁と思ったのは天井。立ち続けだったので目の前にあるのは真正面にあるものと思い込んでしまった。「習慣というのはそれくらい感覚を狂わせる。自分から見てどんなに正しいと思うことでも、いろいろなことにとらわれそう見えるのかもしれないということを学んだ」と書かれてます。

★「一日が一生」という気持ちで生きると明日は新しい自分が生まれる

  題名の「一日一生」について、「一日が一生。今日失敗しても落ち込む必要はない。明日はまた新しい人生が生まれる。それには今日を大切にしないといけない。今自分がやっていることを一生懸命にやることが一番」と述べています。でも「一日一生」という心境に達するのは難しい。私達もそこに近づくため今日という一日を大切にしましょう。

 何か失敗したときや辛いことがあったとき、ここに書いたことを思い出してみて下さい。少しは参考になるかもしれません。そして、難しいかもしれませんが、今日は今日、明日は新しい今日と思って、一度心を穏やかにし、勉強でも仕事でも、今、目の前にあることを一生懸命やってみるのはいかがでしょうか。


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