秋の夜長にTVドラマを観ていたら、画面からこんな言葉が目に飛び込んできました。
「神は最後に一番よい仕事を残してくださる。それは祈りだ。」
(「最上のわざ」ヘルマン・ホイヴェルス、『人生の秋に』より)
この言葉は、上智大学元学長でもあるホイヴェルス神父が、故郷の南ドイツに帰った時、友人から贈られた詩の一文だそうです。
年老い、何もできないような人生の最期にあっても、人間には「祈る」という大事な仕事が残されている。素晴らしいことだなあ、と考えさせられました。
私たちは、どんなに頑張っても報われず、「やってられない」と落胆する時があります。「自分は何もできない」「無力だ」と絶望することもあります。でも、そんな限界に思える時にでも、ひとつだけ「誰にでも、必ずできることがある」(=「祈り」 )というのは、驚きですね。
「祈る」なんて、バカバカしいと思うかもしれませんが、「祈る」ということは「心に願いがある」ということ、つまり「あきらめていない」ということです。かすかにでも「希望」を持っていることだと思います。希望は生きるエネルギー。「祈り」は、人間に生きる力を与えてくれるようです。
自分のために、誰かのために、何ひとつできることがなかったとしても、願い、祈ることはできる。
不安に満ちた社会の中で、心が暗くなりがちですが、自分の宗教がある人ない人も、
秋の星座を見上げて、静かに星に願いを届けてみませんか。
秋の夜空には、ぺガサス座、アンドロメダ座、ペルセウス座、たくさんの星座が輝いています。
『人生の秋に』ヘルマン・ホルヴェルス著、春秋社、2008