令和2年4月14日(火)
田鼠化して鴽となる(晩春の季題)
田鼠(でんそ)とは、もぐらの別称である。
鴽(じょ)は、鶉(ウズラ)に似たフナシウズラで
ウズラの様な斑紋がない。
これはウズラ(鴽は画像がない)
晩春の陽気に影響されて、モグラがウズラになると
いう意である。
中国の「呂氏春秋」「礼記」にある。
実際には在り得ない現象だが、この季節の伸び伸び
とした生き物の様子を幻象的に表している。
七十二候の一つで、二十四節気の「清明」の第二候
で、4月10日から14日頃にあたる。
俳人の名句
やはらかきもぐら鴽とならず死す 辻田 克己
(新日本大歳時記、春 より引用)
俳人、夏井いつきさんの「絶滅寸前季語辞典」に
「田鼠化して鴽になる」(晩春)が紹介されていた。
七十二候の一つ、陽暦4月10日から14日に頃。
「田鼠」はモグラのことらしい。「鴽」はウズラに
似た鳥らしい。
モグラがウズラになってしまいそうな春のうららか
な陽気であるヨと、中国の某(なにがし)という人
が言っていたらしい。
七十二候には、この手の〇〇〇が△△△になると
いう発想のものが沢山あるが、それにしてもモグラ
がウズラになるとは、、、、と、私は立ち往生して
しまう。ウズラのあの地味なくせに小太りしている
小さな体を思うと、その羽をもぎ取って地中に放て
ば、確かにモグラになって血みどろにガムシャラに
土を掘り出すかもしれぬ。が、それを想像しただけ
で「オエッ」となってしまう。
とてもじゃないが麗かな気分にはなれない。
と、ここまで書いて自分の大きな間違いに気付いた。
ウズラがモグラになると思うから羽をちぎって、、、
何て血なまぐさい想像が始まったのじゃ。
順序が逆ではないか。 おお、ソウジャ、ソウジャ。
モグラを地中から掘り出し、もぎ取った羽をもう一度
くっ付け、、、、ほーら自由に飛んでいくんだよと、
空へ放てばきっと、、、、、ドスンと落ちてくるに
決まっている。 ナムアミダブツ、ナムアミダブツ。
(絶滅寸前季語辞典 夏井いつき著 より)
晩春のこの頃になるとのんびりとした温かさを詠んだ
面白い季語(知らない季語)が多い。
昨日の「蛙の目借時)の様に、、、
コロナ騒動を早く終へてノンビリしたいものだ、、、
今日の1句(俳人の名句)
田鼠化して鴽となれていない尻尾 夏井いつき