遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

生真面目俳優の死

2021-04-03 16:34:58 | 日記

令和3年4月3日(土)

田中邦衛さん、死す

テレビドラマ「北の国、から」の父親(黒板五郎)役で

名を馳せた俳優の田中邦衛さんが3月24日に老衰

のため亡くなられた。

岐阜県土岐市出身の88歳(1932年11月生まれ)

地元岐阜県で代用教員を経て、1955年に俳優座の

養成所に入り3年間の養成を終え、俳優座座員となる。

この時(第7期生)、同期の仲間は井川久佐志、露口茂

山本学等が居る。

1957年、今井正監督の「純愛物語」で映画初出演。

その後、チンピラ役等の端役が続く。

1961年、東宝映画「大学の若大将」で、主演の若大

将(加山雄三)のライバル?青大将役で出演、コミカル

でオーバーな演技が当り役となり一躍名を知られる。

この映画は後にシリーズ化され(1961~81年)

計17本を数える人気映画となった。

1965年に東映映画「網走番外地」に出演し、主人公

(高倉健)を慕う舎弟の役を好演、その後計10本の人

気シリーズとなり、後の東映の人気シリーズ(ヤクザ映

画)の先駆けとなった。

 

その後も「椿三十郎」「居酒屋兆二」「冬の華」など

居酒屋兆二

冬の華

 

多くの作品に出演、独特のキャラクターでバイプレーヤー

として活躍する。  TVドラマにも数多くの作品があり、

1966年に放映された「若者たち」は、千葉県を舞台に

沿岸に暮らす五人兄弟が、友情・恋愛・確執を繰り返しな

がら成長していく青春ドラマで人気シリーズとなり、全3

4本を制作。後にリメーク版が映画化された。

このドラマは俳優座が協力、多くの座員が出演している。

五人兄弟の長男に(田中邦衛)、次男(橋本功)、三男

(山本圭)、長女(佐藤オリエ)、四男役は前進座の

松山省二が演じた。

1981年に始まった、テレビドラマ「北の国から」は

二人の子供(息子:吉岡秀隆、妹:中島朋子)を持ち、

離婚をし、北海道(富良野)へ移住、、、幼少期から

子等の結婚するまでの波乱万丈の生涯を描いたドラマ

は、役者の実年齢に合せて展開、反響を呼んだ。

田中邦衛の生真面目な性格が演技の共感を得た作品。

倉本聰さんの脚本が素晴らしかった。 田中邦衛の

自然体な演技が評判を呼んだ。

1993年、映画「学校」(山田洋二監督)では、苦

労しながら夜間中学へ通う労働者を好演し、第17回

日本アカデミー賞助演男優賞を受賞した。

 

2011年、「最後の忠臣蔵」で赤穂家旧家臣役で出

演したが、これを最後に俳優の表舞台から去った。

独特の語り口、表情、コミカルな演技をする中にも、

生真面目さが漂う、素晴らしい役者がまた一人去った。

後に、彼の作品を2,3紹介したいと思います。

 

今日の1句

春憂ひ名優独り旅立てり   ヤギ爺