「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

「福徳寺」(ふくとくじ)

2007年08月23日 00時39分55秒 | 古都逍遥「京都篇」
 京都市街地国道162号線を北上し、清滝川沿いの周山街道を車で走らせ、いくつかの峠とトンネルを抜けると周山地区に入る。更に北へ約10分ほど走ったところ、京北町(旧北桑田郡)集落「弓削下中」に、山を背にした静かな山間に「福徳寺」がある。まさに童謡にあるような山寺という佇まいである。

 福徳寺は、和銅4年(711)に行基が現在地から北数百メートルの大谷山の口に法相宗として開創し、聖武天皇の勅願により薬師七重塔が建立され、弓削寺と称した。応永3年(1396)焼失し、再建されたが、天正7年(1579)明智光秀が周山城を築くにあたって、本寺を破却して城の用材に充てたという。その後、元和元年(1615)京北町字塩田にある曹洞宗永林寺開山居山桂宅大和尚が富春庵と称する小さな禅庵を建てたことに始まる。亨保7年(1722)恵音禅智大和尚が堂宇を整備したが、安永8年(1779)焼失、翌九年現堂宇が再建された。福徳寺という寺名は明治15年(1882)から
のこと。昭和50年(1975)保存庫を建立、そこに安置の7体の仏像は平安末期の作で、うち3体は、昭和25年(1950)重要文化財に指定された。また、黒塗りに銀の面取りした障子と九重の守の版木も貴重な文化財である。

 寺宝は、薬師如来像(国重文)、持国天像(同)、増長天像(同)、如来形坐像2体、版本大般若経600巻と釈迦十六善神画像、桃山時代の障子四枚、道鏡の供養塔、九重の守の版木。事前に連絡すれば見学できる。また境内には、弓削道鏡塚と伝えられる五輪塔がある。

 花の寺としても楽しめる所で、季節により、桜、紫陽花、蓮、紅葉が美しい。何と言っても本堂の前庭にある、京都市の天然記念物に指定された樹齢約370年と言われる枝垂れ桜は、地元では「かすみ桜」の愛称で親しまれ、京都の桜の穴場的名所といえる。胸高幹周は2.72㍍、樹高10㍍の古木で、一重のヒガンシダレ。慶長19年(1614)に移植され、古くから福徳寺のシンボル的な存在となっている。また、門に至る参道は梅雨時にはアジサイで彩られる。

 所在地:京都市右京区京北下中字寺ノ下15。
 交通:京都駅からJRバスで「周山」下車。京北ふるさとバスに乗り換えて10分ほどの「下中」で下車、徒歩約5分。京都駅からバス路線で合計約2時間。

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