オリンピックが始まる前に読んでおきたかった。
短距離走者の心の動き、リレーのテクニック。それが想像できたり分かったりすると、競技が一層面白くなる。
スピード感、躍動感、そして後半の盛り上がりも素晴らしく一気読みした。
神奈川のあまり強くない陸上部の話。
400m(100×4)リレーのメンバーが魅力的だ。
主人公は陸上競技の経験がなく、ひたすら練習して体を鍛える。挫折を知っているから優しくて面倒見がいい。
その親友は肉体的には脆いが、淡々と走ることに集中する短距離の天才。
後輩が二人。一人は仲間の輪を乱すような問題児で生意気。でも精神的には超繊細。
もう一人はその問題児と仲が悪く、こちらも大阪弁で言いたいことをずけずけというタイプ。
個性的なメンバーが次第に心を通じ合わせ、バトンをつないで成長していく。
生徒に的確な指示を出し、共に喜んだり悲しんだりする先生、そして谷口若葉という魅力的なヒロインとの淡い恋も良かった。
こういう青春時代を送りたかったなぁと思う。
走る小説といえば「風が強く吹いている」と「800」も面白い。
前者は長距離で、箱根駅伝が近づくと読みたくなる。
後者は中距離。オリンピック競技前に再読しておこうかな。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます