秩父高原牧場のソフトクリームの甘い余韻。しかし、次に向かった原爆の図・丸木美術館の展示室に入ったとたん吹き飛んだ。新聞・テレビで多少の予備知識はあったものの絵を見た瞬間、圧倒されて息をのむ。原爆投下数日後の広島で目にした惨状や被爆体験者の証言をもとに描いたという「原爆の図」連作の「幽霊」「水」「少年少女」「竹やぶ」など。壁一面のどの絵もまさに地獄絵図、苦しみ・絶望・悲しみの極みにある人々が目の前にいる。<画面の奥からうめき声が聞こえる気がする。熱や臭いまでも伝わってくるようだ(チラシ裏面の「中國新聞」記事)>のとおりだ。宙をさまよう視線、射るような眼差し、その何百倍もの累々と重なる屍、正視することが苦しく、言葉もない。被爆から75年、あの戦争も含めて記憶が遠ざかり、継承も難しくなっているという声を聞く。でも、それらを呼び覚まし、”決して忘れないでほしい”というメッセージを確かに受け止めた。孫を連れての再訪を考えながら帰宅して知った「(核兵器の開発・保有・使用を禁じる)核兵器禁止条約を新たに1か国が批准、発効に必要な批准国はあと5か国」というニュース。唯一の被爆国である日本は何故に賛成しないのか、あらためて強い怒りを覚えた。
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(以下は「原爆の図 丸木美術館」のパンフレット・チラシより)
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