晴耕雨読、山

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―そんなに削るな。「徒然草をよむⅡ」から

2013年10月06日 | 雑記

受講中の「徒然草をよむⅡ~無常をこえる知恵~」。前期の「無常をこえる意思」と同様、講師の川上先生が用意される豊富な参考資料のおかげで毎回、兼好の生きた時代やその思考の深みに入り込んでいる。「第七十四段」(蟻のごとく集まりて)は、徒然草の核心部分で無常への心がまえを記しているという。そして解説で<「老い」への視線が丁寧さに欠ける>として紹介されたのが天野忠(1909~1993)の詩。新聞やテレビの「終活」に自然と目がいってしまう最近、この詩が描く心情はよく分かるなあ。それにしても、いろいろな作家や作品に出会う、もうひとつの楽しみがある講座だ。

 

       「新年の声」(天野忠詩集より)

       これでまあ

       七十年生きてきたわけやけど

       ほんまに

       生きたちゅう正身のとこは

       十年ぐらいなもんやろか

       いやあ

       とてもそんだけはないやろなあ

       七年ぐらいなもんやろか

       七年もないやろなあ

       五年ぐらいとちがうか

       五年の正身……

       ふん

       それも心細いなあ

       ぎりぎりしぼって

       正身のとこ

       三年……

       底の底の方で

       正身が呻いた。

       

       ―そんなに削るな。