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どう、つなぐ『戦後歴程 平和憲法を持つ国の経済人として』

2014年03月16日 | 読書

大手損保の社長・会長を務め、日銀総裁顧問や経済同友会の専務理事を歴任するなど経済界の本流を歩んだ著者。戦後の高度成長を経由して今に続く資本主義の世の中を肯定的に捉えていると誰しもが思うのが普通だろう。悲惨な戦争体験や組合運動の経験があったにしてもだ。しかし、著者はその<「資本主義」の本質と変貌と将来>と<資本主義に支えられてきた「民主主義」の歪んだ姿>を問い続けてきたと書く。復員船で出会った憲法9条<陸海空軍は持たない。国の交戦権は認めない>の感動を持ち続け、今の<強硬な政治が歓迎され、ファシズムを指向する動き・・・憲法9条を骨抜きにしようとする動き>を厳しく、声静かに批判するのである。書き終えて間もなくの死去、遺言ともいえるこの書に何度も出てくる「もう一つの日本」への歩み、後退させてはいけないのだ。