今は就航されていない青函連絡船を舞台にしたドラマが昨日、NHKのBSで放送された。北海道新幹線が開業した節目の年に、忘れ去られようとしている記憶を呼び戻すものとして企画されたらしい。青森と函館をつないだその航路の想い出は、若かりし頃に何度も利用した道産子として決して色あせていない。最初は京都・奈良まで足を伸ばした10日間を超える修学旅行の往復で、その後の上京した際に、以降の帰郷も20代半ばころまでは連絡船にお世話になった。夏はそうでもないが冬の津軽海峡はよく荒れ、船酔いに苦しんだ。青森までの夜行列車、降りたホームから桟橋までの人の流れ、乗船名簿、海峡半ば通過を体感する船の揺れ、函館に着いてからも続く列車の車窓風景など懐かしい。でも一番の記憶は、船が岸壁から離れる際に打ち鳴らされるドラの音、そして「蛍の光」のメロディ。それまでのことを断ち切るかのように心に響いた。青函トンネル開通に合わせて1988年3月運航終了。その直前に乗船した時も同じように聞いた。うっかりして見落としてしまったドラマの再放送は逃すまい。
JR北海道発足の翌年に運航終了