<当意即妙の才がないから。さらには、失言しないように>挨拶の原稿を書くという著者。いろいろな集まりでの挨拶をまとめた本。作家だけに文学賞の授賞式での祝辞や自身の受賞者挨拶をはじめ、友人の告別式での挨拶・弔辞、お別れ会・偲ぶ会での挨拶。さらに親戚の結婚披露宴の挨拶・葬儀での親族代表挨拶など身内の分まで50近い数。面白いことに、この本のために前書き・説明があり、題名が付いていることである。そして後段の挨拶にまつわる井上ひさしとの対談もよい。<一般論、抽象論は言わない。ゴシップ、エピソードなど具体的なものを使う。(中略)題名が付けられないようだと、散漫になっている。前置きをやめる>など、「挨拶の実用書」より使えそうだ。でも文章を味わいながら、読みものとして楽しむのが一番よいのだろう。
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