クラヴィコ-ドやチェンバロ特有のえも言われぬ鼻音色や、様々な装飾による諧謔的効果や、恥じらいの風情などからすると、一見、抽象的で謹厳そのもののように思われているバッハの音楽は、実に豊かな彩りを持っていることが良く判る。
それは、例えば天才的なピアニスト、ブゾ-ニの編曲によるバッハの作品を聞く時、それが単なるオルガンの響きの模倣やヴァイオリン曲の編曲にとどまらず、バッハの音楽の宇宙的広がりを現代のピアノという楽器によって再現していることからも窺える。
バッハが生まれたのは1685年。ピアノが最初に作られたのは1709年でした。
そしてバッハが新作楽器のピアノを試奏したのは1730年代と言われています。50歳頃にようやくピアノにふれたわけです。上記がクラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ通称フォルテピアノと言ったらしい、しかし、バッハにはこの新しい楽器の音色やタッチはお気に召しませんでした。
そしてその後もバッハはほとんどピアノを弾かなかったといいます。
当然、ピアノのための曲も一切書いていないということなんです。
当時は完成度の高いチェンバロを選んだようでしたが、現在ピアノで演奏される事の多いバッハの作品。
当時はチェンバロやオルガンを想定して書かれたものだったんですね。
現在筆者の使用のハサミモノ(ハーモナイザー)のプリ管を最近ロシア製かチェコ製か不明だがMullard真空管 ECC82リイシュー Reissue [並行輸入品]に変更して使用しているが、多分20時間を過ぎ意外と落ち着いた音がするようになる、インチキMullard 真空管も意外と良い音がするようになる、
やはり鳴らし運転は必要である。ピアノの倍音も聴け微妙な音の違いも解り、鑑賞に耐えうる音になり安心して聴くことが出来るようになった。
筆者の虎の子、英国製BRIMAR(ブライマー)の13D5と比べると何か違うあの独特の甘味にかけるがインチキMullardもそこそこ聴こえるような気がする。弦楽器の演奏は断然BRIMARが勝るのだ、これが英国の音なのだ!
先日白水社の本を見てたら興味の唆られる文章があった「ゴットフリート・ジルバーマンはこの楽器〔注・ピアノのこと〕を手はじめに二台製作したのだった。その一台を、いまは亡きヨーハン・ゼバスティアン・バッハ氏が実見し、かつ、試奏した。
彼はその響きをほめた、というよりは激賞したといってよいが、しかし同時に、高音部が弱すぎるうえに、弾きづらいという指摘もつけ加えた。自分の製品に少しでもけちをつけられることに我慢のできないジルバーマンは、これを聞いてすっかりつむじを曲げてしまった。
彼はこれを根にもって長いあいだバッハ氏に腹を立てていた。」(シュルツェ編「原典資料でたどるバッハの生涯と作品」酒田健一訳 角倉一朗編『バッハ叢書10 バッハ資料集』(白水社、1983年)所収、128頁)この記述をもとに後世の音楽史家は、バッハはピアノに対して、製作者のジルバーマンを怒らせるほどの厳しい評価を下した、と考えたわけですが、よく読んでみれば、バッハはジルバーマンのピアノの欠点を指摘しただけではなく、その響きを「激賞した」とも書いてあるのです。バッハは将来鍵盤楽器がピアノに移行するのを予言してるようです。
ヨーハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750)がジルバーマンのピアノを試演したのは1736年頃です。
バッハの意見を踏まえて改良したピアノを最初に受け入れたのはポツダムの宮廷でした。フリードリヒ大王はこの新しい楽器をとても気に入り、数多くのピアノを宮廷に備え付けさせました。そして1747年、バッハはポツダムにある大王の宮廷を訪れ、改良されたピアノを演奏します。
バッハはこのピアノにとても満足したといわれています。大王の与えたテーマに基づいてバッハは即興演奏を命じられます。後にバッハは「音楽の捧げもの」という題でこの作品を大王に捧げました。
この演奏に際して、バッハは「3声のリチェルカーレ」をピアノを用いて演奏したと言われて
います。ピアノの発展においてとても重要な意味を持つのが、調律方法です。これまでの調律方法
ではすべての調を演奏することは不協和音が発生するなどの理由で、すべての調を用いた作品は作られませんでした。
18世紀前期にすべての調を用いることのできる調律法や理論が確立されました。
すべての長短調を用いる作品集を最初に作曲したのがバッハです。バッハの採用した調律方法は、現在の等分平均ではなく不等分平均律という調律方法でしたが、いずれにせよ、すべての長短調が演奏可能になったのです。これがピアノ音楽の発展に大いに貢献しました。
フォルテピアノは、現代のピアノの標準的な構造が確立される以前の、おおよそ1700年頃のイタリアのバルトロメオ・クリストフォリによる発明から、19世紀前半までのピアノを指す。
これに対して19世紀後半以降のピアノはモダンピアノと呼ばれる。
Bach, Busoni - Chaconne in D minor BWV 1004 - Helene Grimaud (piano)
そこで今回はマルチな才能を持つエレーヌ・グリモー。しかもバッハの演奏を聞いた見た。写真を見る限りかなりの美人系の顔立ちです。
あらゆる表現を可能にする技術を持った、詩的かつ情熱的で献身的な音楽家というだけでなく、ピアノという楽器をはるかに超えて拡がる才能を持ち、野生動物の保護活動、人権活動、文筆といった複数のフィールドでも活動している。
1969年フランス、エクサン・プロヴァンス生まれ。地元の音楽院で学んだ後マルセイユ音楽院でピエール・バルビゼに師事。13歳でパリ国立高等音楽院に入学、3年後に1等賞を得て卒業。
その後もジェルジ・シャンドールとレオン・フライシャーに師事した。セレクションと、バッハ作品のピアニスト=作曲家による敬意に満ちた編曲作品。
解説(内容)
美しきピアノの巫女、グリモーならではの個性的なコンセプトによるバッハ・アルバム。
鍵盤楽器の旧約聖書ともいわれる『平均律クラヴィーア曲集』を軸に、本作は"Pure" vs. "Transcribed"というコンセプトで「オリジナルの鍵盤作品(Pure)=平均律クラヴィーア曲集から」と「バッハ作品の<ピアニスト=作曲家>によるピアノへの編曲作品(Transcribed)」で一枚を構成しています。
チェンバロ協奏曲第1番はバッハの今は伝わらないヴァイオリン協奏曲の編曲という説もあり、バッハによるバッハ編曲とも見做せます。曲順の調性にも「こだわり」が。協奏曲ではドイツ・カンマーフィルを弾き振り!
Helene GRIMAUD plays J.S.Bach Piano Concerto No.1-1st mov
『グリモー/バッハ・トランスクライブド』
平均律クラヴィーア曲集第1巻から
1.プレリュードとフーガ第2番ハ短調 BWV847
2.プレリュードとフーガ第4番嬰ハ短調 BWV849
3.チェンバロ協奏曲第1番ニ短調 BWV1052(ピアノによる演奏)
平均律クラヴィーア曲集第2巻から
4.プレリュードとフーガ第6番ニ短調 BWV875
5.シャコンヌニ短調(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調 BWV1004 から編曲:ブゾーニ)
平均律クラヴィーア曲集第2巻から
6.プレリュードとフーガ第20番イ短調 BWV889
7.プレリュードとフーガイ短調 BWV543(ピアノ編曲:リスト)
平均律クラヴィーア曲集第2巻から
8.プレリュードとフーガ第9番ホ長調 BWV878
9.プレリュード(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調 BWV1006から編曲:ラフマニノフ)
エレーヌ・グリモー(ピアノ)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン(3)
録音:2008年
HELENE GRIMAUD - Bach
グリモーが究めるバッハ宇宙の本質。彼女ならではの個性的なコンセプト・アルバム。
グリモー初のバッハ録音!
グリモー初となるバッハ録音は、彼女の個性的なコンセプトのアルバムをお届けします。
「“Pure” vs.“Transformed”」というコンセプトで、「オリジナルの鍵盤作品(Pure)」と
「ピアニストとしても活躍した著名な作曲家たちがバッハ作品に捧げた編曲(Transformed)」
を収めたラインナップ。グリモーの神がかり的な閃きによって、現代の新しいバッハ像の提示に成功した新しい名盤の誕生です。
後日タイトルPerspectivesと言うアルバム2枚組を聴くが深い洞察力と哲学的な解釈、懐の深い感情の起伏、全ての瞬間が息づき、閃きに満ちた演奏を楽しみました。
我が家の庭にも秋を感じさせる、ホトトギス(不如帰)が咲き乱れています、ブラボー!