台湾を代表する巨匠、ホウ・シャウシェンが1984年に作った名作がデジタルリマスターバージョンで鮮明に蘇った作品です。
台北の小学校を卒業したトントンは、母親が入院したため、夏休みの間、幼い妹を連れて田舎の祖父の家で過ごすことになる。トントンは近所の子供達と
すぐに仲良くなるが、妹のティンティンはなかなか馴染めない・・・この妹の描き方が本当に素晴らしい。我が子たちの成長過程を思い出すようでした。
夏休みは精々一ヶ月ほどであろうが、子供たちの世界との境界線で起こる出来事の数々。子供たちの罪なき無邪気さと、大人たちそれぞれの事情。
そして、過ぎ去りし夏は、もう二度と戻らない。
一見厳しいが心優しい祖父とのひととき、近所の子どもたちとの川遊び、村で起きた強盗事件など、トントンとティンティンにとっては、とても刺激的なひと夏
が、美しい田舎の自然の中で繰り広げられる。山と田園と古い民家が醸す雰囲気は、私の子供の頃の原風景にとてもよく似ていた。
本作の中で流れる「仰げば尊し」や
「赤とんぼ」のメロディを知る日本人の私たちにとって風景を懐かしみ、もう二度と戻らない時間の美しさに胸を痛めそうです・・・ ☆☆☆☆