今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

宇宙からの警告の日

2005-01-28 | 記念日
今日(1月28日)は「宇宙からの警告の日」
1986(昭和61)年、アメリカのスペースシャトル・チャレンジャーが打ち上げられ、発射73秒後に爆発し、乗組員7人全員が死亡した。
作家・大江健三郎は「治療塔」の中でこの事故を「宇宙意志からの警告」と表現したことによる。
1986年1月28日、アメリカ・フロリダ州ケープカナべラルのケネディー宇宙センターからNASAが開発した25機目のスペースシャトル・チャレンジャーが打ち上げから73秒後に爆発した。この事故で、乗組員7人全員の命が失われた。この乗組員の中には、初めて普通の市民から選ばれた高校教師クリスタ・マコーリフ飛行士や初のアジア系飛行士(ハワイ出身の日系人エリソン・オニズカ)も含まれていた。クリスタさんは、宇宙から初めて生中継の授業をすることになっていた。
事故から、3日後、時のレーガン大統領は、「未来は無償では得られない。人類の進歩の物語は、すべて困難に立ち向かう戦いの物語だ」と演説し、宇宙への挑戦を続行することに多くの国民の支持を得ようとした。
まもなく事故調査大統領委員会が設置され調査した結果、発射当日の異常な低温による固体ロケットの下部の2つの部分をつなぐ結合部がの破損が原因で、そこから漏れた燃焼ガスが外部燃料タンクに引火し水素の爆発を招いたとされている。
この米航空宇宙局(NASA)が開発した再使用型の有翼宇宙船スペースシャトルは、1981年4月の初飛行から順調に飛び続け、宇宙開発への定期便になりかけていたがこの事故は、初飛行に成功してから5年が経過してのものである。シャトルによる宇宙飛行もすっかり日常化し、初飛行以来国内はもとより海外の国の関心も薄らいでいた頃起こった惨事である。
この、結合部のシールに欠陥があることは内部の技術者から、事前に警告されていたらしいが、NASAも製造元も対応していなかったという。その上、発射当日の低温化では危険のため打ち上げを中止すべきと言う声があったにもかかわらず、悪天候の中、NASAがなぜ打ち上げを急いだのかについては、以下のようなことが言われているらしい。
この打ち上げは、当時の大統領(レーガン)が日常化して陰が薄くなってきたシャトルの関心を再び取り戻そうとした国民に対するひとつの政治的ショーであった。そして、毎年1月下旬に行われるアメリカ大統領の一般教書演説には、この演説の原稿に民間人の乗ったチャレンジャー号の打ち上げのことがすでに書かれていたというのである。その真偽のほどはわからないが、そうであれば、実に悲しい悲劇である。
兎に角、低温下での打ち上げの危険性を指摘していた現場技術者の声が、打ち上げ責任者に伝わらなかったなど米航空宇宙局(NASA)の安全管理の在り方が問題となり、2年8ケ月後の1988年9月までシャトルの飛行は中止された。そして、NASAの体制も立て直し、1988年10月ディスカバリーの飛行でスペースシャトルを復活させた。1995年にまとめたNASAの報告書では、シャトルを事故で失う確立は0.76%とされているが・・・・。
2003年2月2日、「米国東部時間 2月1日午前9時 (日本時間午後11時) 頃、スペースシャトルコロンビアが、地上に帰還する直前に、テキサス州上空で空中分解し、搭乗員 7人全員が亡くなった」との新聞での報道を見て驚いた人が多いだろう。この事故により、日本人飛行士としては毛利衛,向井千秋,若田光一,土井隆雄各氏に次いでこの 3月には野口聡一氏が 、アトランティスに乗る予定であったが、今回の事故の原因が究明されるまで、全ての飛行が中止された。なんと、1995年NASAが事故は0.76%の危険性と強気の発表をしてから8年目の惨事であった。
作家・大江健三郎は「治療塔」の中で1986(昭和61)年のスペースシャトル・チャレンジャーの事故を「宇宙意志からの警告」と表現したそうだが、私は、大江氏の「治療塔」は読んでいないからよく知らないが、岩波書店の解説書を見ると、”21世紀,核・自然破壊で荒廃する地球.人類は「選ばれた者」による宇宙移民計画を敢行する.物語はその10年後,彼らの不可解な帰還から始まる.テクノロジー文明の行方を問うた近未来SF.”ということである。   
あの1986(昭和61)年の事故は、人為的ミスと政治家の思惑が絡んで引き起こした厄災・悲劇と思われるが、大江氏のこの警告は人類の傲りに対して発せられたものであり、おそらく、宇宙でただ一つのこのすばらしい地球を、人間が核と自然破壊で荒廃させるだけ荒廃させ、そこから宇宙へ脱出し、新しい星に人間の住める世界を築こうとしても、結局は、この地球以上のものはなく、又、そこから自分たちが荒した地球へ帰ってきて、地球を再生させなければならなくなるよ・・・と、大江氏は言いたいのだろうと思う。
(参考:写真AP/WWP.朝日クロニカル・週間20世紀掲載分より)
参考:
宇宙開発史
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/5714/index.html
NIKKEI NET:特集 スペースシャトル「コロンビア」 ...
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt7/20030201MS3M0101E01022003.html