今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

京都・奈良などの古都を空襲から守った東洋美術学者ウォーナーがGHQ顧問として来日

2007-04-11 | 歴史
今日(4月11日)について、「今日は何の日~毎日が記念日」を見ると、「1946(昭和21)年 京都・奈良などの古都を空襲から守った東洋美術学者ウォーナーがGHQ顧問として来日 」・・とあった。
ウォーナーとは、アメリカの美術史家ラングドン・ウォーナー(Langdon Warner)のことである。ウォーナーは、1881年8月1日マサチューセッツ州生まれ。1903年ハーバード大学を卒業した。その後、ウォーナーは、第二次 世界大戦以前に2回来日している。1度目は1907年から1909年の2年間滞在し、日本美術院を創設した岡倉天心に師事して日本美術を学び、その後、ボストン美術館、クリーブランド美術館を経てフィラデルフィア美術館長となる。そして、1923年からは母校ハーバード大学で教壇に立ち、東洋美術史を講義、その後ハーバード 大学附属フォッグ美術館東洋部長を務めたという。2度目の来日は、1931年で、この時は奈良で仏教彫刻を学んでいるようだ。
太平洋戦争時、日本の多くの都市・地域にアメリカ軍の空爆があったが、京都は、爆撃されなかった。その理由として、ウォーナーが、空爆すべきでない地名のリスト(ウォーナーリスト)を作成して米政府に進言したから、という説がある。
第二次大戦中アメリカは「歴史的文化を守るため京都や奈良などは爆撃を控えていた。」と言う話は、私なども親などから聞かされていた。それを聞いて、子供ながらに”アメリカってええ国やな~”と感心したものである。
このような話が、日本の国民の常識のようなものになったのは、1945(昭和20)年11月11日付けの朝日新聞の報道で、ウォ ーナーについての業績が大きく取上げられ、それが、広く一般に広まったからのようである。この報道は、ウォーナーの友人でもあった美術評論家矢代幸雄の談話を添えてウォーナーの功績をたたえたものである。このことで、矢代氏はいわゆる日本の「ウォーナー伝説」を作り出した人物として有名になった。
以下参考に記載の「姫路城不死鳥伝説」の中に詳細が記されているのでみられると良い。↓
京都・奈良無傷の裏 作戦国境も越えて「人類の宝」を守る米軍の陰に日本美術通 (昭和二十年十一月十一日付朝日新聞 東京版)
http://www.himeji-castle.gr.jp/JAPANESE/np.html
そして、1955(昭和30)年6月9日、ウォーナーは73歳で亡くなったが、日本政府は外国人に与えられる最高の栄誉である勲二等瑞宝章を授与したという。このようにウォーナーの業績が日本政府によって公認されたことから、その後、「日本文化の恩人」として、それら京都・奈良・鎌倉の古都など6カ所に記念碑が建てられ追悼式や法要が各地で行われていたそうだ。
中国では、敦煌壁画を剥がして持ち去るなど、文化財の略奪者として見られてもいる人物が、どうして日本の文化財の保護に努力したのか・・・?。
私も、今回このブログを書くために、蔵書の毎日ムックの「戦後50年」や「朝日クロニクル週間20世紀」、週間朝日百貨「日本の歴史」などを調べても、何故かウォーナーのことなどに触れたものは何もない。・・・不思議である。日本政府が勲章まで与え、その功績を讃えて各地に記念碑が建立され、供養までされているというのに、全く記事がないはおかしい。それで、ネット上で、色々調べてみた。本当に、今は便利な時代である。結論だけ書こう。
確かに太平洋戦争中、日本中の都市が米軍の爆撃を被り灰燼に帰していく中で、京都・奈良・鎌倉が爆撃によって大きな被害を被ることもなく終戦を迎えたのは事実である。そして、米国が日本における貴重な文化財のリストを作成していたことも事実のようである。しかし、それはなにも日本の文化財を保護するためのものではなく、戦後、日本が中国などの諸外国から略奪した文化財の返還に際し、それらが戦禍で損害を受けていた場合に等価値の文化財で弁償させるための資料として作成されたものだったのである。日本は「トラトラトラ」と言って、真珠湾に奇襲を仕掛け多くの米国人を殺害した国であって、当時の アメリカ国民にとっては、この上なくニックキ国だったのである。京都を守るというよりは、むしろ、京都は原爆投下の最も理想的な候補都市(AA級目標。原爆投下目標の都市はいくつかあるがAA級は京都と広島のみ)として指定されていた。そのために、原爆投下後に原爆の影響を正確に把握するため通常の爆撃が一切禁止されていただけなのである。京都が最後まで爆撃されなかったのは、原爆投下の前に日本が降伏したからにすぎなかったからだけなのである。これは、奈良や鎌倉が戦禍を免れたのも、小都市であり単に爆撃の優先順位が低く、爆撃するまでに終戦を迎えただけなのである。 「ウォーナーが古都を護った」・・・などという美談は、戦後、GHQが、ウォーナーリストをネタに定説へと仕立て上げた作り話だったのである。
戦後の1946(昭和21)年 に、ウォーナーが来日した時、彼は日本国中から大歓迎を受けたという。マスコミは競って彼 を取材し、マスコミの、彼がルーズベルトに京都の爆撃回避を進言し たのかという質問に対して、当の本人は否定し続けていたという。そして、皮肉なことに彼が否定すればするほど、日本人は彼の言動を「謙譲の美徳」として受け止め、ますますウォーナーを英雄視するようになったという。
このような「ウォーナー伝説」に疑問を感じた吉田守男氏(以下参考のReaD 研究者(詳細情報)吉田 守男参照)がその真実を明らかにしたものが、『日本の古都はなぜ空襲を免れたか 』(朝日新聞社出版)という本である。吉田氏は、国史学が専門の学者であり公文書を一次資料とする膨大な史料をもとに著されたこの本の内容は核心に触れているのではないだろうか。
もし、戦争が2,3日長引けば京都に3個目の原爆が投下されていたかもしれないと思うと、考えただけぞっとする。それにしても、敦煌の壁画を剥がして持ち去ったウォーナーを中国では悪人・盗人として語り伝えられているというのに、GHGの仕立て上げた作り話を信じてウォーナーに勲章を与え、英雄視してくれる日本人。原爆を落とした国に対して、何の恨みを持つこともなく、GHGの作ってくれた有難い憲法を、「ダメッたらダメ」といって、改憲することもなく後生大事に守ってくれている日本の国はアメリカにとって本当に、扱いやすい便利で、都合の良いパートナーなのだろうね~。イラク問題だけでなく、これから、ひょとしたら起こるかもしれないイラン問題などにも日本は献身的にパートナーとしてお付き合いしてくれる良い国なんだろうね~。
(画像は、朝日文庫 「日本の古都はなぜ空襲を免れたか 」吉田 守男【著】朝日新聞社出版)
参考:
ラングドン・ウォーナー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC
エッセイの森目次
http://members2.jcom.home.ne.jp/mta5-8hg3yd7/essay-b.html
[PDF] 朝河貫一の日記に表われた 国際化時代の日本
http://www.u-keiai.ac.jp/issn/menu/ronbun/no17/0607masui.pdf
朝河貫一 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E6%B2%B3%E8%B2%AB%E4%B8%80
岡倉天心 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E5%80%89%E5%A4%A9%E5%BF%83
1945年[ザ・20世紀]
http://www001.upp.so-net.ne.jp/fukushi/year/1945.html
姫 路 城 不 死 鳥 伝 説(17. 幻の文化財保護 他)
http://www.himeji-castle.gr.jp/JAPANESE/phoenixs.html
安倍文殊院ウォーナー博士の碑
http://www.sakurai-ch.ed.jp/iware/4_siseki/2_nisi_6_waner.html
定説の危うさ
http://www.ctt.ne.jp/~kuriym/teisetu.html
原爆投下、市民殺りくが目的/米学者、極秘文書で確認
http://homepage.mac.com/ehara_gen1/jealous_gay/atomic_bomb.html
矢吹晋/朝河貫一の言葉
http://www25.big.or.jp/~yabuki/doc/syo9511.html
ウォーナー伝説と敦煌
http://members2.jcom.home.ne.jp/mta5-8hg3yd7/warner.html
鎌倉駅前(ウォーナー記念碑)
http://www.burari2161.fc2.com/uxo-na-.htm#kamakura
瑞宝章- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%91%9E%E5%AE%9D%E7%AB%A0
矢代幸雄 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%A2%E4%BB%A3%E5%B9%B8%E9%9B%84
ReaD 研究者(詳細情報)吉田 守男
http://read.jst.go.jp/public/cs_ksh_012EventAction.do?action4=event&lang_act4=J&judge_act4=2&code_act4=1000136176
大阪市内で戦争と平和を考える・模擬原爆投下跡地 碑
http://www.geocities.jp/jouhoku21/heiwa/hs-mogi.html
日本空襲と原爆
http://www1.ocn.ne.jp/~susuma/bombing/bomb.htm
獣の国、アメリカの残虐、原爆関連記事:
http://www.geocities.co.jp/Outdoors-River/7540/b55.html
[PDF] 朝河貫一の日記に表われた 国際化時代の日本ファイルタイプ: PDF/Adobe Acrobat - HTMLバージョン
http://www.u-keiai.ac.jp/issn/menu/ronbun/no17/0607masui.pdf