北原白秋「雑木」より
半紙
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詩集「海豹と雲」に収録されている詩「雑木」より。
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白秋は、今ではあまり読まれなくなったような気がしますが
巨大な存在です。
多作な人で、歌集や詩集も多くあるのですが
亡くなったのは、57歳。
やっぱり、昔の人はスゴイなあ。
北原白秋「雑木」より
半紙
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詩集「海豹と雲」に収録されている詩「雑木」より。
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白秋は、今ではあまり読まれなくなったような気がしますが
巨大な存在です。
多作な人で、歌集や詩集も多くあるのですが
亡くなったのは、57歳。
やっぱり、昔の人はスゴイなあ。
加舎白雄
夕風や野川を蝶の越(こえ)しより
40×30cm
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野原の川を蝶が一匹ひらひらと越えていった、
そしたら、気持ちのいい夕風が吹いてきた。
というような意味でしょうか。
平明な句ですが、
肌に実際にちょっと冷たい春の夕風が感じられるような気がします。
加舎白雄の句は、どこか近代的ですね。
三好達治「菊」より
半紙
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10行ほどの詩の冒頭です。
花だけが美しい、というのは、それなりに心理的背景があるわけですが、
それはそれとして、花は、やっぱり美しいですね。
萩原朔太郎「竹」全文
25×36cm
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小学生の音読教材にもなっている詩です。
「タケ」とか「ハエ」とか言った音が何度もくり返して出てくるので
リズムがあり、音読にはいいのかもしれませんが、
詩の内容は、あまり「健康的」ではありません。
青空に向かってまっしぐらに生える竹だけをイメージすれば
「前向き」な、若々しい詩のように見えますが
「根の先より繊毛が生え/かすかにけぶる繊毛がはえ/かすかにふるえ」
あたりには、朔太郎の病的に繊細な感性のありようが表現されています。
まあ、どっちみち小学生には、そんなことは分かりませんから
「タケタケタケタケガハエ」と唱えるのは、けっこう楽しいことでしょう。
そう考えれば、「いい教材」なのかもしれません。
ぼくは、それでもやっぱり
これを小学生の教材にするのには、賛成できませんけどね。
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「両面アート紙」という
表面がツルツルで、まったく水を吸い込まない紙を
デカルコマニー用にたくさん買って余っていたので
これに書いてみました。
水上瀧太郎(みなかみ・たきたろう)「大阪の宿」より、冒頭。
夥(おびただ)しい煤煙の為めに、
年中どんよりした感じの大阪の空も、
初夏(はつなつ)の頃は藍の色を濃くして
浮雲も白く光り始めた。
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水上瀧太郎(1887~1940)の小説は、実は、まだ読んだことがありません。
今では、ほとんど忘れられている作家かもしれませんが、
ここらあたりで、読んでみようか、などと考えています。
「忘れられた作家」シリーズというわけでもありませんが、
小説の冒頭を書いてみるのも、一興かと思っています。
この冒頭部分は、素直な文章ですが、どこか暗示的で、
これからこの空の下で、どんな物語が展開するのだろうという
期待を抱かせます。