ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

アルコールと “うつ” 症状

2016-02-05 07:59:39 | 病状
 アルコールと “うつ” について、私なりに整理してみようと思います。 “鶏が先か? 卵が先か?” という類の話になりそうです。飲酒習慣がその底流にあり、両者は切っても切れない仲、というのが私なりの仮説なのですが・・・。

 “うつ” とはどんな症状なのでしょうか? 厚生労働省の “みんなのメンタルヘルス” では、次のような症状のうち、いくつかが2週間以上ずっと続くと黄信号だと警告しています。

 ○ 抑うつ気分(憂うつ、気分が重い)
 ○ 何をしても楽しくない、何にも興味がわかない
 ○ 疲れているのに眠れない、一日中ねむい、いつもよりかなり早く目覚める
 ○ イライラして、何かにせき立てられているようで落ち着かない
 ○ 悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる
 ○ 思考力が落ちる
 ○ 死にたくなる


 これらを参考までに医学用語で順に列挙してみますと、
抑鬱[感](気分が落ち込んで活動を嫌っている状態、ふさぎ込んだ状態)、興味減退(仕事や趣味をやりたがらない)、不眠、焦燥感、罪責感・自責感、思考抑制 / 思考制止(集中力や判断力が低下 / 考えが前に進まない)、希死念慮 / 自殺企図 (具体的な理由はないが漠然と死を願う状態 / 自殺を企てる)となります。

 この他に、食欲低下、全身倦怠感、頭重感、肩こり、胸部圧迫感、手足のしびれや冷感、発汗、口渇や便秘、易疲労[感]などの自律神経失調や、さらに気力減退、気分の日内変動、不安、悲哀感、対人接触回避などもあるとされています。いかにも気分が落ち込んだ場合に自覚しそうな症状のオンパレードです。

 また、周囲からみてわかる次のような変化もあるそうです。他覚(的)所見にあたるものです。

 ○ 表情が暗い
 ○ 涙もろくなった
 ○ 反応が遅い
 ○ 落ち着かない
 ○ 飲酒量が増える


 “うつ” に陥りやすい気質(性格)があるそうです。生真面目、完璧主義、自分に厳しい、凝り性、気を遣うなどが挙げられていて、そのような性格のためにストレスを受けやすいと考えられているようです。幼い頃から日本で教育を受けた人なら、大抵の人が当てはまるのではないでしょうか?

 これらの気質は、秩序や規律を大切に考える国民性を象徴した気質とも言え、幼い頃から育まれたものと考えられます。“自分に厳しい” の代わりに、他人から良い子に思われたくて自制心が強い傾向と言い換え、他人に “気を遣う” の代わりに、単に他人の目を気にしやすいと言い換えるのであれば、私にもピッタリ当てはまります。

 単なる “抑うつ状態” と本物の “うつ病” との違いは、キッカケと思しき出来事と症状発現との間に時間的隔たりがあったか否かだと言います。別離や失敗、喪失などの心理的ストレスをキッカケに、その直後から落ち込んだ気分となったのは単なる “抑うつ状態” で、本物の “うつ病” では両者の間に因果関係を問えないほどの時間的隔たりがあるのだそうです。ということは、本物では何の予兆もなく気分の落ち込みと体調不良が突然襲って来るようなもの・・・でしょうか。

 上述した項目の中に、傍から見える行動の変化として “飲酒量が増える” とあります。直前にこれと言ったキッカケが見当たらないことと考え合わせると、私はそこにアルコールが介在していると思えて仕方ありません。私が飲酒していた頃を振り返ってみます。

 会社勤めの現役時代、翌日に医者との約束や会社の御前会議など重要な予定がないときに限って深酒になりました。心に隙が出来たのだと思います。よく思い出すのは深酒した翌朝の症状です。

 まず、身体全体が気怠く感じ、頭痛はないのですが、頭が朦朧として重く、何もやる気が湧いて来ませんでした。決まって背中の肩甲骨下辺りに鈍痛ともいえる重苦しさがあり、まるで背中に根が生えたかのようでどうしても起き上がれませんでした。9時ぐらいまでに目が覚めた場合は、仕方なしに出勤しましたが、10時を過ぎた場合は微妙でした。そんな微妙な日には「今日一日ぐらい休んでもいいや・・・」が口癖となり、ズル休みのお決まりコースとなりました。今日一日 “ぐらい” ・・・です。

 会社に電話した後で二度寝し、実際に起き上がるのは午後1~3時頃でした。ヒドイときには午後4~5時のときもありました。大抵は、人目につかないようにそのまま家の中で引き籠りですが、外に出てみるといつも同じ奇妙な感覚に襲われました。目に映る風景が、パサパサに乾燥して灰色っぽい印象で、ユトリロや佐伯祐三の描いた街角の風景画によく似た景色に見えました。

 同じくこんな感覚もありました。家の中では気づかないのですが、外では決まってフワフワした感覚で歩いていました。酒は醒めているのですが、長い時間寝ていたせいなのかいつも同じような感じがしていました。夕方にはシャキッとしますから、すぐにお酒に手が出ます。そして同じような翌朝を迎え、気分は益々落ち込むわけです。

 こんなことの繰り返しで欠勤を続けたこともありました。家族と別居し一人暮らしをしていた頃の話です。成就するだろうと期待していた仕事が不首尾に終わって、そのストレスから深く落ち込んでしまい、酒浸りになったのです。喪失感でもはや出勤に耐えられず、医者の診断書の提出義務を免れる5日間ギリギリまで連続欠勤してしまいました。

 そんなときは生活のリズムが崩れ、決まってカゼのような症状が追い打ちをかけてきました。怠くて悪寒がし、口が渇いて喉までイガラッぽいなど、カゼによく似た症状でした。生活のリズムが崩れ、気力がどんどん萎えて、何をするにも億劫になっていきました。明らかに “抑うつ気分” です。期待感が強かっただけに心に隙が出来ていたのでしょう。それが反転したときに決まって嵌りやすい落とし穴だと思います。

 そのカゼのような症状がアルコールの切れて来たときの症状だと最近知りました。カゼのひきやすい体質が何故なのか、当時は分かりませんでした。ズル休みの後ろめたさから罪責感にも苛まれました。それで人目につかないよう愈々引き籠りになってしまいました。こんな状況を立て直そうという気持ちは起こらず、落ち込む一方でした。まさに悪循環です。これもアルコールの怖さだと思います。

 こんな悪循環を繰り返していたら、上に掲げた症状が複数になるのは目に見えています。傍から見ると、単になまけているとしか見えないでしょう。世間で “なまけ病” と言われている大半は、こんな悪循環に嵌っている状態というのが実態だろうと考えています。私はてっきり、“うつ病” の始まりはアルコール絡みのこんな悪循環に嵌ったことが原因だろうと思い込んでいました。

 ところが、酒を飲まない人でも本物の “うつ病” の例はあるのだそうです。主治医に聞いてみたところ、統計がないので正確なデータはないものの、酒を飲む習慣のない人でも本物の “うつ病” となった例を経験したことがあると答えてくれました。これで私の仮説はアッケナク反故になってしまいました。

 最後に、“うつ” の人にどう向き合うべきかについてです。「がんばれ!」などと決して言ってはいけない、と戒められました。本人は精一杯頑張っている状態といいます。下手に励ますことは、一層追い詰めてしまうことになるのだそうです。十分に心しておきたいのですが、うっかり言いそうで、実に難しい課題です。

 アルコールが “うつ” の症状を悪化させるということには誰も異論がありません。ですから、せいぜい酒を断つように励まし、ゆっくり休むよう勧めるぐらいに留めるべきだそうです。耳寄りなのは、もしも患者に退屈そうな気配が見えてきたようなら、気持ちに余裕が出て来た兆しなのだそうです(ご参考までに)。

 今から思えば、深酒後の背中の鈍痛は膵臓が悲鳴を上げていたせいだったのかもしれません。当時は肝臓を酷使し続けていたこともあり、てっきりそのせいで疲れているのだからと長い時間寝ていました。12時間以上もの長い時間寝るには体力が要ります。55歳を過ぎた辺りから寝坊などできなくなり、早起きになりました。寝坊が出来なくなったことで体力の衰えを実感するとは皮肉なものです。


厚生労働省の “みんなのメンタルヘルス” は、こちらです。


ランキングに参加中。クリックして順位アップに応援お願いします!
クリックしますと、その日の順位が表示されます。
にほんブログ村 アルコール依存症
    ↓    ↓
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする