ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

噛み合わない会話

2017-08-25 06:28:04 | 雑感
 53歳時と61歳直前の2回、不安定狭心症となってその都度経皮的冠動脈形成術(PCI)を受け、ステント留置で生き長らえている私です。それ以来、半年に1回は循環器内科の診察を受けています。そんな予約診療日でのことです。

 主治医の T 先生は私よりやや年下です。最初の内は前回の診察以降何か変わったことはないかという普通の問診から始まったのですが、そのうち話が妙な方向に展開しました。

「PCIが恰好の例だけど、医学と医療の進歩で(老人の)寿命がどんどん延びています。寿命の延びと共に病人も増え続けているんです。このままでは健康保険が破綻するのも時間の問題でしょうね」と T 先生。
「健康寿命の方を延ばせば良い、という話じゃないですか? 廃用性萎縮と同じで、皆さん便利に慣れすぎて身体を動かさなくなったから病人が増えたのでは・・・? 社会参加して身体を動かすようにすれば事態は好転するのでは・・・?」と私。以降の会話はこんな発言が交互しました。

「健康寿命? それじゃ却って健康保険は持たないですよ。高額の抗がん剤でわかるように、“がん” は治る時代になります。益々、医療費がかさむだけですよ!」
これを聞いて毛穴が逆立つような違和感がしました。どうして健康寿命の延びが健康保険の赤字を増すと T 先生が考えたのか、その真意を確かめもせず少し向きになって私は次のように続けました。
「??? ・・・、自分の命なんだから患者自身に自分の始末のつけ方を選ばせれば・・・?」
「始末をつけるって、自殺するっていうこと? そういう覚悟、あなたしてるの? それとも医者が自殺を幇助するって・・・・?」と話がとんでもなく可笑しな方向へ。

「自殺幇助をお医者さんに望むなんてとんでもない。そんなの無理でしょう。自殺というわけではないですが、自分で始末をつける覚悟はありますよ。
ただ、痛みさえ和らげてもらえたら十分だろうと私は考えています。・・・お医者さんには、まず延命ではなく緩和医療という手を考えてもらえたら・・・?」
「“がん” の末期というのは、それはヒドイものですよ。緩和医療といっても、口で言うほど簡単なものじゃない。なかなか難しいんですよ。」
こうなったらもう私も引けません。益々、意地になって続けました。

「それは患者が “どう生きたいか” の問題で、患者側の覚悟如何ではないですか?・・・私などは退職後、自分ではどうにもならない連続飲酒発作となって、医者の技で断酒に持ち込んでもらえのですが、そのお陰で色々なことを考えさせられました。」
「うん、それで・・・?」
「“認知のゆがみ” と言うそうですが、酒を飲んでいた頃の考え方が歪(いびつ)であったことに気づかされました。思い通りにうまくいかないのは周りの所為と、自分のことは棚に上げ不運を嘆いてばかりで・・・、出来ることから始めようという地道な気持ちをなくしていました。
 考え方に問題があるのなら、それは取りも直さず生き方の問題だろうと気づいたのです。毎日通院で規則正しい生活リズムの大切さに気づき、手始めに毎日の行動を規則正しいものに変えてみました。
 今では散歩がてら毎日ゴミ拾いもやっています。毎日必ず2時間以上歩きますから、活動的になった分体調が頗るよくなり、ヘモグロビンA1cが6.2%前後と糖尿病の方も安定しています。お陰で生きる意欲が益々増し、精神的にも落ち着いて来ています。
 できれば定年退職を期に自分の人生を振り返り、“自分の始末のつけ方は元気な内に自分で決める” 内観してこう腹を括れればいいと思うのです。これが私の言う覚悟です。」
「・・・それはもう宗教だね!」という T 先生の一言を聞いて、「???」再び毛穴が逆立つような違和感がした私でした。

 こんなに整然と話せたわけではなかったのですが、会話の次第はざっとこんなものでした。

 どう生きるかは人生哲学です。ところが、医療の主役である医者の立場にしてみれば、どう生きるかは宗教(の領域)としか映らなかったようなのです。守備範囲としている病気の治療とは異なる領域と映ったのでしょうか? 宗教の本質が何かを考えれば、宗教と見做した T 先生にも一理ありますが・・・。

 結局、健康寿命のところで最初のボタンの掛け違いがあって、そこから会話が噛み合わなくなったようです。相手かまわず自説を言い張るだけでは対話になりません。思い込みに囚われるとこうなるという恰好の例となりました。相手の真意を質すべき時はちゃんと質さないとダメ。まだまだ平常心にはほど遠いと反省しきりでした。

 「おもしろい! 次回も議論しましょう」と言ってくれた T 先生の言葉がせめてもの救いでした。それにしても健康寿命の延びが健康保険制度を破綻させるとしたのは何故か、T 先生の考えが気になって仕方ありません。



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