ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

酪農業が今、大変なことに

2023-02-01 07:08:43 | 世相

 NHK クローズアップ現代『“牛乳ショック” 値上げの舞台裏で何が』(一月23日放送)で、国内の酪農業が大変なことになっていると知りました。(是非々々、こちら記事もご参照ください。
   “牛乳ショック”値上げの舞台裏で何が - NHK クローズアップ現代 全記録

 問題となっているのはズバリ、エサ代の高騰です。

 生乳生産量を増やすため、牧草の他に与えている飼料穀物、特に輸入トウモロコシがこの2年で1 . 5倍以上に高騰しているそうなのです。

 そのため、乳牛を約3900頭も抱える大規模牧場では、月4億円の生乳の売り上げがエサ代だけで消え、他の支払いができない危機的状況にあるとか。まさに、廃業の瀬戸際まで追い詰められているそうです。

 トウモロコシ高騰の背景にあるのは世界的需給状況の激変と言います。

 トウモロコシ需要拡大の背景には、食肉需要が増加している中国によるトウモロコシの輸入拡大に加え、バイオエタノールの原料としての需要拡大も影響しているようです。

 トウモロコシ需要拡大に追い打ちを掛けたのが供給サイドの縮小、即ち主要輪出国ウクライナでの戦争による生産縮小です。これが決定的だったようです。

 一方、国内での新型コロナ感染拡大も大きく影響しているようです。

 学校給食用の牛乳需要が減ったほか、外食や観光需要が減った影響で生乳の供給が過剰となっているそうなのです。

 そのため酪農家の中には、生乳の自主的廃棄を泣く泣く始めている所も既にあるとか。また、緊急のアンケート調査を行ったところ、107戸の酪農家のうち、98 %が赤字に陥っているそうなのです。

 国内の酪農は、2014年のバター不足が契機となって設備投資に国の補助金がつくなどして生産増加に舵を切ったと言いますが、皮肉なことに今や反転して生産抑制に舵を切り直すハメに。

 農水省が、この事態に対して打ち出した対策は、実に場当たり的です。

 緊急支援事業と銘打ったその中身は、乳牛を減らした場合、1頭あたり15万円交付(令和5年三月~九月)というもの。これじゃ謂わば、稲作における “減反政策” ならぬ酪農における “減牛政策” では?

 生き物を増やすには何年もかかります。多くの乳牛を、こんな二束三文の金で減らすことは容易いでしょうが、再び生乳を増産しようとしたらその何倍もの投資が必要でしょうに!?

 農水省は、“減反政策” で耕作放棄地が拡大した愚を再び繰り返すのでしょうか?

 私的には、国がエサ代の高騰分を一定期間補填するのもアリと思いますが、ここは食の安全保障の面からもっと大胆な支援策を打ち出すべきではないでしょうか。

 番組の終わりは、こんな言葉で締めくくられていました。

 “子どもの成長に不可欠な牛乳を供給する産業が、丸ごと赤字になっている。これは社会的にも許容できない大きな問題です。”

【参考:NHK取材後記】
 30人を超える酪農家に話を聞いてきたが、その誰もが口をそろえて “過去に経験のない事態” だと語った。去年、北海道だけで、経営を諦め離農したケースは200戸近くにのぼるとみられ、意欲ある若い酪農家までも退場を迫られる事態に陥っている。
 しわ寄せの多くが生産者にのしかかる状況が続けば、次に続く者はいなくなると感じた。

 

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