Dancing in the dark

2016-11-26 00:15:39 | 雑感

今からちょうど30年前の1986年11月。まだ洋楽に詳しくなかったので、同級生に「アメリカで一番人気のあるアルバムって何?」と聞くと、「じゃぁ、これだね」とカセットテープを貸してくれた。それが「ブルース・スプリングスティーン&The E STREET BAND LIVE/1975-85」だった。

1986年11月10日に発売されたこのアルバムは、おそらく今後破られることはないであろう、とてつもない記録を残した。レコードとCDとカセットが同じ割合で売れていた時代において、CDへの移行を加速させたアルバムと言われているが、凄さはそこではない。

LP5枚組、CD3枚組と言う大型ライブアルバムは発売初日で100万セットを売り上げた。ニューヨークのタワーレコードでは初日にトラック2台分のアルバムが運び込まれたが、トラックから降ろした瞬間に完売してしまった。...
最終的には全米セールスは1200万セットを超えた。これは文字通り「記録破りの新記録」だった。当時、3枚組以上のアルバムで最も売れた記録は「20万セット」だったのだ。つまり、従来の記録を60倍のスケールでぶち破ったわけである。しかもライブ・アルバムで。

記録はそれだけではない。ビルボード・チャートで驚天動地の初登場1位を記録したのだ。当時のチャートでは、初登場1位はそれまで僅かに3枚しかなかったのだ。書き間違いではない。3枚だ。エルビスもビートルズもイーグルスも記録していない、音楽史上の偉業である。

30年前、何気ない一言で聞くことになったブルースの曲だが、高校生だった吉野の魂を激しく震わせることになる。ブルースの曲はメロディも素晴らしいが、彼の真骨頂はやはその「詩」にある。現代アメリカ最大の詩人とも呼ばれることのあるブルースの詩は、心の琴線に触れ、自分では言語化できない心のひだの1枚1枚を表現してくれる。以来、ブルースの曲は家で机に座ってじっくり聞く癖がつくことになる。何故なら常に歌詞カードを読みながら曲を聴いていたからだ。

30年たった今、ブルースの自伝を読んでいるが、表現が本当に豊かだ。ブルースが紡ぎ出す言葉には不思議な魔法がある。67歳になった御大は、「自分に残された活動時間」を意識するようになったそうだ。来年にはニューアルバムの発売も予定しているようで、待望の来日公演の期待も高まる。1988年に東京ドームでブルースのライブを見て以来、生で彼の演奏は見ていない(と言うか来日していない)。当時は高校生だったけど、30年が経った今、どう感じるかも楽しみだ。何て言いながら、Born in the USAのイントロが流れてきたら、まぁ、当時に逆戻りだろうけどね!

大統領自由勲章受章、おめでとうブルース!

Comments (2)
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