Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●『創(2009年6月号)』(1/2)

2009年07月21日 07時33分04秒 | Weblog

『創』(2009年6月号)、6月に読了。

 マッド・アマノさん「風刺天国 No.30」。〝完全無所属〟で見事当選した森田健作千葉県知事について、「元気モリモリタ 偽装無所属 自民党支部代表とは無関係?」(p.1)。

 魚住昭さん、「問題山積! されど大事な雑誌ジャーナリズム」(pp.46-51)。リード部は、「『月刊現代』休刊、『週刊新潮虚報など様々な問題が噴出する雑誌ジャーナリズムだが、検察批判などで新聞にはない役割を果たしてもいる。雑誌ジャーナリズムの意義を改めて考えてみたい」。「赤報隊虚報、『僕パパ』・・・編集者は基本的な作法を」。「編集部は、そういうのをおかしいと思わないのでしょうか。・・・基本的な裏取りが出来ていませんね。・・・/さらに驚いたのは、「こうして騙された」という検証記事の見出しです。「騙されたはないだろうと思うけれど。騙されることのすごく多い世界なんだから、引っかからないようにするのがプロの仕事。それをあたかも新潮社が被害者であるかのように書いている。/そしてまた驚いたのは、「疑惑の段階でも報道するのが週刊誌の役割だ」なんていうね。あれは・・・週刊誌文化の誤りだと思います。/僭越な言い方ですが、ものを書くときには、必ず書かれる側の人がいる。書かれた人は、誤った報道をされたら人生がメチャクチャになる恐れが十分にあるのです。疑惑の段階で報道するのが出版社の役割だ、なんてことは言ってはいけない。・・・やはり負けが多すぎます。少なくとも引き分けぐらいまで持っていけるような、あるいは負けるにしても完敗はしないような取材をして書くべきだろうと思います」。『僕パパ』事件ついても、「著者の草薙厚子さんはほとんど素人だから、・・・少なくとも編集者は、あんなに大量に調書を引用したら犯人探しが始まる、犯人探しが始まったらすぐ特定されるということに気付くべきですよ。・・・『週刊新潮』の場合も『僕パパ』の場合も、編集者の基本的な作法の欠落を見せつけられましたよね」。「小沢一郎秘書逮捕は検察の暴走」。「・・・それほど今度の捜査はひどかったということ・・・」。「検察が流す情報に従って記事を書いていくという、このシステムは変わるわけがありません。三井環さんの事件のときなど、本当にひどかったですよ。あんなに明々白々な口封じ逮捕を、きちんと批判できなかった」。

 元木昌彦さん、「『週刊新潮』虚報事件と週刊誌の弱体化」(pp.52-55)。「・・・編集部としては前代未聞のみっともないこと・・・」。「・・・という見出しではなく「島村と共謀してこうして読者を騙した」にしなくてはいけない」。いつものこの会社の体質だが、「取材が浅いなどという程度の問題ではなく、初めに「何が何でもこの記事をやる」というのがあったように思う」。「・・・この件に関しては何を言われてもしょうがない。この場合、あまりにも杜撰過ぎる・・・。/・・・部数を落としているところに、信頼性まで落とすような大きなミスを犯してしまった」。信頼性がそもそもこの雑誌にあったのであれば。だから、権力につけ込まれる。一連の相撲の八百長疑惑についての『週刊現代』の記事について、「私から言わせれば、あれはずさんな取材ではない。記者は相当取材している。・・・/・・・あまりにも一方的に、『週刊現代』に対してあのような判決を出すのは、いくらなんでもおかしいと思う。/・・・裁判員制度をにらんで雑誌に対して厳罰を課すという流れがあるような気がする。・・・/裁判員制度に批判的な論陣を張る雑誌ジャーナリズムに、司法の集中的攻撃がなされているような状態だ」。だから、言わんこちゃない!

 江川昭子さん、「保守系『諸君!』にも及んだ雑誌休刊ラッシュ」(pp.56-60)。「編集部員の数を減らせば、雑誌の質を落とすことにもなる」って、そもそも「質が高い」という前提? 「若い書き手や新進の学者」? 誰のことを指してんだろう? 「・・・その手の主張で充ち満ちている」のに、「・・・斎藤貴男さんも、しばしば同誌に寄稿した時期があった」からといって、免罪されるのかな? 「・・・冤罪事件を取り上げ、警察の無理な取り調べや、自白を安易に採用する裁判所の実態なども、具体的に報告してきた」そうだけれども、それが巻頭を飾り、この雑誌の主題的扱いで、主張となっていたのでしょうかね? あくまでも刺身のつま的、ごく僅かに残された良心的な編集者の罪滅ぼし的なもの?? 「ノンフィクションの若き書き手を発掘して育てる場として活用してきた」って、誰のことだろう? 「〝愛国的〟もの言いがやたらと受けるご時世では、『諸君!』のように、「まっとうな」保守系論檀誌・・・」、思わず噴き出す。まっとうには、一応、「 」がついてはいるが。「・・・秦郁彦氏と、田母神氏を擁護する評論家の西尾幹二氏の討論を掲載した。/・・・編集部が工夫した形跡が見て取れる」ね~、人選がすごく悪いと思いますが。両氏こそ、ネット世界と変わらず、「理屈や事実抜きで感情むき出しのナショナリスティックな発言」が多いのではないでしょうか?

 編集部、「『僕パパ』事件でついに判決! 奈良少年調書流出事件/判決と鑑定の証言」(pp.72-77)。「・・・内部資料の写真がカバーに使われていた・・・」のを見た時、医師は真っ青になったことでしょう。「講談社に対してジャーナリストとして主体的な立場を貫けなかった草薙さんの問題で、そういう人に渡したのが間違いだったということですね」。「ところが、できあがった本は、広汎性発達障害についての記述はほんの一部で、全体としては、調書をそのまま掲載したセンセーショナルな本になっていた。しかもそういう手法をとったために情報源が容易に特定されることになった」。

 香山リカさん、「「こころの時代」解体新書/「うつ病ビジネス」にご用心」(pp.88-91)。サプリメントによる詐欺的なビジネス。「「セロトニン不足がうつ病の原因」という部分は間違いではないだけに、完全なニセ科学と断定することは難しい。しかし現実的には、葉酸やアミノ酸をちょっと口から摂っただけで、それが脳内のセロトニンやその代謝経路に直接、何らかの影響を与え、うつ症状を改善されることはほぼ期待できない」。GABAが含まれたチョコレートについても、「いくら口から有効成分を摂ったとしても、そのほとんどは脳には送られずに排泄されてしまう」。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●『創(2009年6月号)』(2/2)

2009年07月21日 07時29分57秒 | Weblog

【『創』(2009年6月号)】
 篠田博之編集長、「意思表示のために真紅に身を包んで・・・/最高裁死刑判決直後に眞須美さんから届いた手紙」(pp.106-111)。「・・・安田好弘弁護士が主張していた「くず湯事件」の事例などは、ほとんど判決文では言及されていなかった」。「動機も解明されず、直接的な証拠は何もないなかで、状況証拠の積み重ねだけで死刑を宣告してしまってよいのか」。判決には、「カレー毒物混入事件の犯行動機が解明されていないことは、被告人が同事件の犯人であるとの認定を左右するものではない」なんて、酷過ぎないか? 弁護人、「・・・多くの疑問があり、この程度の証拠で有罪を認定し、しかも死刑にするのは、近代刑法の無罪推定の原則と証拠裁判主義の原則に反し、あまりにも酷いと言うほかありません」。林健治さん、「・・・くず湯事件は私が進んでヒ素を飲んだのに、どうして妻眞須美の私に対する殺人未遂になるのでしょうか。こんなに確実で明白な殺人未遂でないという証拠があるのに」。鈴木邦男さん(林眞須美さんを支援する会)、「もはや法治国家ではない。疑わしきは罰せずというのはどこへ行ったのか。/マスコミのあり方も問題だ・・・」。

 浅野健一教授、「「発表もの」しか書くなと言う「道警裏金追及」地裁判決」(pp.112-117)。リード部分、「かつて道警の裏金を果敢に告発し新聞協会賞に輝いた道新だが、その裏金追及のエースだった記者らが元道警幹部に訴えられたその裁判で、4月20日、とんでもない判決が出たのだった」。「・・・裏金になったと認め、・・・処分した。・・・組織的な裏金作りを一部認め、約9億6000万円を返還した」。それなのに、・・・。「報道被害者」と称する元道警幹部の記者会見では、「司法記者クラブの記者たちは、何も重要なことを訊かなかった。・・・仲間の記者が泥棒をした組織によって被告席に座らされているのに、怒りも憤りも感じないのかと、私は苛立った」。「仙波敏郎・愛媛県警巡査部長が3月末巡査部長のまま退職したが、全国でまだ警察に裏金があると言っている」。その仙波さんは、「裏金は『不適切経理』ではなく、犯罪行為だ」と言っている。道新の当時の道警キャップは、「この判決は、当局の発表ものを書くこと以外のことはやるなということだ」。

 日野原重明氏と鈴木邦男さんのの対談(pp.118-124)。日本初のハイジャック事件とされる「よど号事件」に乗客として遭遇したそう。ストックホルム症候群。「・・・全く新聞のニュースもいい加減なものだと僕は思いました・・・・僕はあれ以来、マスコミをあまり信用できなくなった。・・・歴史というのは外の人が書いているんです」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ対談 第2回/政治なんて知らない」(pp.126-134)。矢崎「・・・毎晩、バーでブランデーを飲んでる坊ちゃま相に聞かせたい(笑)」。永「・・・政治家って、世襲するたびにみんな小粒になっているじゃない。・・・政治というより、政治成り下がっている。「家」と「屋」の差って大きいと思わない? 本来なら「家(いえ)」としてどんと構えるべきとことろ、「屋根」しかないんだから」。矢崎「・・・麻生首相がいきり立って迎撃指令を出していたけど、なんか、鶏小屋の中にいるニワトリが、オリの向こうから近づいてくるネコを見て、コケコケ雄叫びを上げているような感じなんだよね。北朝鮮は、そんなから騒ぎをしている日本を見てせせら笑っているわけでしょう」。矢崎「・・・中川昭一の核武装論は酔っ払いのタワ言だとしても、絶対に許せないよ」。

 雨宮処凛さん、「ドキュメント雨宮革命/第19回 ホームレスの定義を巡って」(pp.138-141)。ヨーロッパの路上生活者はホームレス3万人の1割以下らしい。「健康で働ける人がホームレスをしている」ことに大きな違いがあり、薬物やアルコールなどに何の依存症も抱えていないのにホームレス化していることに海外の人々は驚くそうだ。欧米ではアディクション問題で、日本では小さな政府の無策といった「失業問題」。日本が〝見習っている〟アメリカでは、「社会保障の弱い部分を支えてきたのはNPOと教会・・・そこに行けば餓死しないようになっています」と湯浅誠さん。さらに、「アメリカで訪れたスープキッチン(と呼ばれる無料給食所)が料理が30品目も並ぶ「バイキング形式」だったことに驚」いたそうで、支援の規模の違いに愕然。「ホームレスになりやすい国となりにくい国、或いは餓死しやすい国としにくい国があるということだ。失業して家賃を滞納しても家賃補助があったり、安い公営住宅がたくさんあったりする国と、家賃を滞納してホームレス、というのが「仕方のないことと容認されてしまっている国。ちなみにフランスでは「冬の間はどんなに家賃を滞納しても大家さんは入居者を追い出してはいけない」という法律があるという。・・・日本の場合・・・大企業が従業員を・・・寒空の下に放り出したわけだが、国が違えば大バッシングが巻き起こり、不買運動どころではすまないのではないだろうか」。北九州方式の酷い例が想起される。「「命」を基準に考えるか、大企業の利益や市場原理を基準に考えるか・・・」。
 (都議会議員選について12日18時現在で40%弱、最終的には50%を超えるとニュースが伝えるが、前回よりは良いとはいえ、それで本当に良いの?)

 「今月の編集室から」(p.152)。「▼今月の連載 斎藤貴男さんの・・・毎月の定期連載は一応終了です」。何か後味悪い終わり方だな・・・。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする