Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(1/2)

2009年07月28日 07時53分44秒 | Weblog

『松下竜一 未刊行著作集3/草の根のあかり』、7月に読了。梶原得三郎新木安利編。海鳥社。2009年2月刊。

 扉の写真は、得さん御夫妻。随分若く見える佐高信さん。旧婚旅行中のセンセご夫妻。『草の根通信』360号記念パーティでのセンセ。

 本巻は3部構成。第一部は『草の根通信』の一九八八-一九八九年、第二部は同じく二〇〇二-二〇〇三年の「ずいひつ」から。第三部は「朝日新聞」(西部版)掲載の「ちょっと深呼吸」から。

 日本赤軍の「せんすいひろし」氏に関連した、めちゃめちゃなガサイレ(p.7、381、393)。「そうか、警視庁から烙印を押されると、こういうことになるのかと私は唖然としました。当の本人がびっくりする程の〈過激派〉像がゆきわたっていくのでしょうね」(p.104)。12年間にも及ぶ国家賠償請求訴訟に勝訴(p.383)。担当弁護士は福島瑞穂さん。

 ルイさん(p.16,28、61、114、341、364、413)。
 山田悦子さん(p.14、27)。
 カマタ・トシヒコ、鎌田俊彦さん(p.84、169)。
 緒形さん(p.318、358、411)。「・・・さんは一度も講演を引き受けたことがないそうなので、破格の友情出演ということになる」(p.319)。
 岡部伊都子さん、「「大泣き」の図(1989.6)」(p.137)。
 箕面忠魂碑訴訟原告の古川佳子さん(p.142)。
 須賀瑠美子さん(p.188)。地域通貨。
 横田耕一(憲法学)さん(p.205)。
 松下和亜さんの寸又峡「山湯館」(p.224)。
 孤独なOさん(p.232)。「きっと不審者というよりは、帰る先を見失って途方に暮れている老人と見られたのにちがいない。/「ちゃんと説明して、わたしの保証人は松下竜一さんですと言ったらですよ、おまわりさんが急に態度を改めて、あっ失礼しましたといって行きました」/その情景が見えるようで、松下センセと細君はふきだしてしまった」。
 筑豊文庫の上野英信さん(p.234、264、288、372)。晴子さん(p.288)。
 筑摩書房の松田哲夫さん(p.242、251)。
 「松下竜一を勝手に応援するページ」の山口県立大学の清原万里(まさと)さんの急死(p.260、386)。
 「石原慎太郎という人物を容赦なく(てつけつ)し、彼に期待を寄せる最近の世の風潮の危うさをも同時に撃つといった評論集」の『空疎な小皇帝』の著者、斎藤貴男さん(p.284)。「〝幻の作家〟の正体は(2003.4)」(p.284-297)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(2/2)

2009年07月28日 07時50分42秒 | Weblog

【梶原得三郎・新木安利編、『松下竜一 未刊行著作集3/草の根のあかり』
 「松下センセの『怒りていう、逃亡には非ず』に、マドンナという名で登場する人」(p.299)。
 「死刑囚の息子とひんぱんに面会するために、北海道の故郷を捨てて一人で東京郊外に移り住んでいるのだ」(pp.334-335、412)。「不自由な足で杖をついて久々に息子の面会に訪れた母を、拘置所は規則によって拒んだのだ」。
 「一歩も引かずに国家(建設省)とわたりあった人物」蜂ノ巣城主の室原知幸さん、その夫人ヨシさん(p.320)。
 広川隆一さん(p.361)。
 小田実さんと、瓢鰻亭の主の前田俊彦翁(p。363)。

 仁保事件(p.33)。

 「いのちき」(p.53、73、195、294、406)。「・・・三十余年をペン一本でいのちきできたのですから、よほどの好運に恵まれたのだと考えるしかありません。いい編集者とやさしい読者に恵まれて・・・・・・」(p.195)。
 「クーラーのない松下センセの家は、風通しも悪くて夏は蒸し風呂の有様なのだ。「暗闇の思想」の教祖としてはクーラーなどつけるわけにはいかない」(p.162)。

 「「読書絵日記」・・・「本との〝出会い〟は楽しい」、「背表紙が光る」とあって、棚の一カ所がキラッと光っている。・・・/「この本ともそーやって出会った」という説明の第二コマで、文庫本の棚から引き抜かれる本が松下センセの『潮風の町』なのだ。・・・/もっと嬉しくなるのは、本を買った男が書店を出てくるシーンである。彼の頬は紅潮し、ドキドキと胸の鼓動が昂まっているのが分かる。これから分け入ろうとする作品世界への期待をあらわにして、真の読書家はこのように一人ひそかにときめくものなのだ」(pp.55-56)。
 
「なにしろ、本の洪水である。そんな中から、読者はどうして私の本と最初の出会いをするのだろう。目立つほどに並んでいるわけではないし、公告されている本でもないのだから、不思議な気がする」(p.338)。

 「ジンジャーによせて(1988.9)」(pp.68-83、111)。〈表現〉に目覚めた梶原和嘉子さんとの深い〝師弟愛〟。

 「もう一人の例外的な存在が得さんで、勤勉なくせにもうけることを知らぬこの男もまた、恒常的な貧しさにその生き方を規定されているところが、傍で見ていてあわれというしかない。/松下センセと得さんがなぜかくも厚い友情で結ばれているかの秘密は、この共通項にある。・・・傷をなめ合うような共感が二人の間をつなぎとめているのだ。・・・こういう不安の共有こそが友情をつちかっていくのである」(p.110)。「ふっと思ったことだが、六十歳を過ぎて連れ立って万華鏡を買いにいそいそと行く友を持つことは、たぶんとてもしあわせなことではないだろうか。・・・/だがつまりは、このコンビが続いてきているのは、表層に現れているさまざまな相違点はともあれ、一番奥にひそむロマンティシズムがそっくり同じであるからに違いない。万華鏡を連れ立って買いに行く二人だもの」(pp.208-209)。
 「「小さなさかな屋」は梶原鮮魚店の物語であり、・・・小心なる和嘉子さんにいたっては、なんとなくおびえる気配でもあった。/「こんな不器用で損な生き方をしてはいけませんよという、反面教師やないかしら・・・・・・」」(p.168)。

 「洋子病」という奇病(p.127)。

 「文部省公認作家?(1989.5)」(pp.129-143)。無実の罪でガサイレを受けた作家の作品が娘の教科書に載るなんてとんでもない、というクレーマーとセンセの電話での問答。「・・・その著作権の及ばないのが教科書・・・教科書に限っては勝手に載せても構わないことになっているのである。「教科書に載せてやるんだ、ありがたく思え」という国定教科書時代のおカミ意識の名残なのだろう」。「なんと、小説の章で松下センセは志賀直哉と並んでいるではないか。・・・/少年の日に仰ぎ見た〈小説の神様〉と並んで自作が掲載されているのを見たときの、松下センセの胸の高鳴りは察していただけようではないか」。

 「編集者の命名センスに脱帽したのは、『五分の虫、一寸の魂』のとき。・・・/・・・という書名を示されたとき、私はアッと思った。・・・/なにしろ五分の虫、一寸の魂なのだから、容(うつわ)である身体よりも魂の方が倍も大きいときている。/電力という国の基幹政策に環境権の旗を掲げて挑んだ七原告は、法律知識もなければ裁判体験もないのに弁護士もつけずに無謀な裁判に邁進したのだった。ただただ環境権確立の心意気だけに燃え、身のほど知らずに魂が舞い上がっていたというしかない。〈七人の侍〉だとうそぶいていた」(p.378)。センセの著作から九年後の出版で、チョモランマ登山隊長であり、初代の南極越冬隊長でもあった西堀栄三郎さんにも同名の書があったとは!

 最後は、梶原得三郎さんの「松下さん、あなたが記憶される限りまだ希望はある、と思いたい」(pp.405-413)。「属国と化したこの国の現状」。「・・・ブッシュ大統領めがけて、イラク人記者が靴を片方ずつ投げつけたのです。・・・「イラク人からのさよならのキスだ、犬め」、「これは夫を亡くした女性や孤児、殺されたすべての人のためだ」といいながら投げた・・・一般にイスラム世界では「犬」と呼ぶのも靴を投げつけるのも「最大級の侮辱」だということです。/・・・訪問先の国でこれほどの怒りを直接にぶつけられたことは長く記憶されるべきだと思います。・・・イラクに攻め込んで十万人もの人々を殺したブッシュに対する抗議としては控えめに過ぎるといわねばなりません」。山田泉さんの死。大道寺将司・益永利明さんのTシャツ裁判の一部勝訴。伊藤ルイさんは「一国の人権レベルは獄中処遇にあらわれる」と。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする