Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●『創(2009年4月号)』(1/2)

2009年07月15日 07時25分57秒 | Weblog

『創』(2009年4月号)、6月に読了。

 巻頭カラー頁「最高裁判決間近! 和歌山カレー事件の寒々とした風景」(篠田博之編集長、pp.18-19)。バカ騒ぎ・張り込み・覗き見を煽るマスコミ、壁に落書きし続ける不届き者、2階まで落書きがびっしりとされた家・・・。自宅は、その後、放火。結局、安田好弘弁護士の主張に耳を貸すことなしに、最高裁は死刑判決を支持するという誤判。証拠や自白無し、伝聞・噂のみによる死刑判決。動機無き被告にも関わらず。
 news eye、今西憲之さん「この3月に定年退職はするけれど/愛媛県警「裏金告発」仙波敏郎氏の闘いは続く」(pp.28-29)。

 佐高さんの「筆頭両断!/「三百代言」「三百面(づら)竹中平蔵」(pp.82-83)。「・・・竹中が「日本のリーダーとして、最も信頼している」小泉純一郎の庇護の下、郵政民営化ならぬ会社化は強行され、いま、「かんぽの宿」の売却疑惑が暴露されて、私物化が明らかになっている」。耳障り良い『民営化』は、所詮、『私企業化』・『私物化』である。「・・・竹中の行くところ、疑惑が渦巻くのである」。

 香山リカさんの「「こころの時代」解体新書/中川財務相は「心の病」なのか」(pp.84-87)。「・・・「辞任の理由は体調不良」の線で切り抜けようとした。政策がブレることで知られる麻生首相としては、目を見張るほどの一貫性である」。「・・・ひとえに、自分でアルコール摂取をコントロールできないことに、その原因がある。・・・摂取量は増える一方で、・・・いわゆる病的酩酊のレベルに達していたにもかかわらず、飲酒を続けるというのは、これはどう考えてもアルコール依存症と言わざるをえない」。「・・・〝病気の人を責めるな〟式の意見も目につく。/2004年にイラクで人質になった若者たちが、その壮絶な体験がトラウマとなりPTSDに苦しんでいると報じられたときは、自己責任大合唱であったのに、それから5年のうちに日本社会も体調不良や心の病気にずいぶん寛大になったものだ。/ただ、その〝寛大さ〟は今のところ、なぜか権力の担い手やセレブにばかり向けられているようである」とシニカルに。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/報隊の悪夢」(pp.88-89)。『週刊新潮』による、トンデモナイ大誤報・ガセネタによる赤っ恥。阪神支局記者の遺族への侮辱的行為。映画『ポチの告白』についても。
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●『創(2009年4月号)』(2/2)

2009年07月15日 07時24分05秒 | Weblog
【『創』(2009年4月号)】
 森達也さん「極私的メディア論 第41回/セキュリティ意識と刑事司法」(pp.92-93)。犯罪統計と我々の犯罪の認知件数。水増しされているであろうにもかかわらず、統計上は刑法犯は減少。小説『東京スタンピード』で、「・・・オオカミが来たと言い続ければ、そしてオオカミが来たと多くの人が思い続ければ、実際にオオカミは来るのです」。マスコミの過剰な喧伝、街中にあふれる防犯カメラと云う監視カメラ、道路にはNシステム。「安全を保障するはずのセキュリティが、逆に治安を悪化させる。皮肉といえばこれ以上の皮肉はない」。和歌山カレー事件について、「・・・被告人は、これまでずっと事件への関与を否定し続けている。物的証拠は何一つない。動機すら解明されていない。・・・死刑。「疑わしきは罰せず」ではなくて「疑わしきはとりあえず有罪で、国民感情が収まらないなら死刑」ということになる。この国の刑事司法は完全に窒息した」。「とにかく無茶苦茶な裁判だ。まるで最初から死刑ありき」。「・・・などの証言も、・・・相当に怪しい。冤罪の可能性はとても高い。でもほとんどの人はこれを知らない。かつて被告人を毒婦などと形容したメディアが、新しい展開を報じないからだ」。

 浅野健一さん「中川昭一議員の酒乱を書かなかった政治記者の怠慢」(pp.114-121)。因縁の、「APの配信から約3日遅れたNHK」。「会食した社名を「実名報道」しない欺瞞」。「・・・中川氏は安倍晋三議員とともに、NHKの従軍慰安婦を取り上げた番組の放送前日に・・・NHK幹部を呼び、番組を「偏った内容だ」と指摘し」、番組を改悪するように政治的圧力をかけ、NHKはそれに屈した訳だ。「朝日のある記者は・・・「中川氏は、電話でNHK幹部と会ったことを認めたと聞いている。その時・・・酔っており、〝べらんめー〟調で『お前、なんだ』などと、記者を罵った。あの時、中川氏の酒癖の悪さは一般には知られておらず、・・・。酒癖が悪く品格もないを当時きちんと報じておれば、こういう辞任劇はなかったかもしれない」」。「中川氏には前々から「アルコール依存症疑惑」があった。今回、海外で批判されてから前から知っていたかのような報道が展開されたのだが、中川氏が自滅する前に調査報道があるべきだった」。

 篠田博之編集長「重大局面! 和歌山カレー事件 最高裁で弁護団が訴えたこと」(pp.122-127)。三浦さんを介して、最高裁から安田好弘弁護士が参画。「1審で・・・判決には、動機が不明だと書かれているのだ。動機とは犯罪の骨格をなす事柄で、それが不明なまま死刑判決をくだしてよいものか。その指摘は1審当時からなされていた」。「くず湯」事件では〝被害者〟(夫の健治氏)自らが、「自分で保険金目的で飲んだのだ」とはっきり言明している。そうすると、「カレー事件の構造そのものが崩れてしまう。つまり殺意であるとかヒ素をもって人を殺そうとか、そういう構造そのものが崩れてしまう」はずだったのに・・・、最高裁は、結局、事実を見つめることをせず、森さん云うところの「国民感情が収まらないなら死刑」と誤判。

 三井環さん「検察「裏金」告発の闘いはこれからだ! 第6回/有罪偏重」(pp.134-137)。「捜査した記録一式は・・・引き継がれ、担当検事はその記録の中から公判記録と残記録に選別してゆく。・・・一綴りにして公判提出記録は裁判所に証拠として提出し、他方残記録は検事の部屋のロッカーに保管するのである。/弁護人は・・・しかし残記録を閲覧することは不可能であるので、どういう証拠があるのかさっぱり分からないカラクリだ」。「・・・誤判決であるが、その最大の原因は・・・検事が弁護人の開示請求した残記録・・・目撃者の供述調書を開示せず、いわゆる証拠隠しをしたことにあるのだ。次の要因は裁判官が開示勧告も命令もしなかったことである。/被疑者および弁護人の言い分はあまり信用しないが、検事の言い分は全面的に信用するというのが日本の裁判官の姿勢を如実に示したものだ。検事が証拠隠しなどすることはハナから思ってもいないのである」。「証拠隠しで有名な事件として「財田川事件」・・・/・・・四大死刑冤罪事件の一つ・・・/・・・捜査側は被告人にとって極めて重要な捜査記録を隠したのだ。死刑が執行されていれば、誰が責任をとるのであろうか」。
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