周囲の人は,私のことを「行動力が高い」と評することが多いです。バイタリティーはあると思いますが,行動力があるかどうかは自分ではまだ疑問です。
行動力のある人はたくさんいると思いますが,その中にもいろいろとタイプがあろうかと思います。
私の場合は,7つの習慣にもある通り,少しずつ少しずつ「影響の輪」を広げていくタイプです。少しずつ人脈も広がっていくし,人のネットワークが広がるということが,仕事の舞台が増えるということです。
そうすると,行動したくなくても,自分がやるべきと思う最優先事項を行っているだけで,あちこちを飛び回っていることになります。
本当に根っからの行動家であるかというとそうではないように思うのです。行動力というよりは,実行力がある,という方が適切に思います。
私の置かれている状況の中で,当たり前の選択を重ねているだけ。
ですから,かねてから少しコンプレックスだったのが,国際的な活動が乏しいこと。国内でのパワフルな活動に比べて,国際的な活動は明らかに見劣りします。ややめんどくさいので国際会議にも最近はあまり顔を出していませんでした。 国際会議でない海外出張にはそれなりに行っていますが。
そういう意味で,今回の海外出張は,私に国際的に活動するポテンシャルがあるのかどうか,自分なりに試す機会でもありました。
幸いにも,3ヶ所で非常に歓待していただき,非常に有意義な研究のディスカッションができました。これはとても勇気づけられることで,自分たちのやってきた研究が海外の人たちから見ても面白い,ということですので,信念を強く持って研究活動を進めて行きたいと改めて思いました。
そして,今回も影響の輪を少し広げることができました。
国内でも少しずつ少しずつ行動力を向上させていったように,国際的にも一歩ずつ実績と行動力を高めていこうと思いました。
パリに移動して,IFSTTAR(イフスター)を初めて訪問。実は,今回の出張の最重要訪問箇所はここでした。
以前はLCPCという組織で,フランス中央土木研究所です。交通系の研究組織と合併して名称も変更になったようです。
ポンデショセーという土木の名門大学と連携して実務的な研究を行っている組織で,ヴェロニクという女性研究者がコンクリートの耐久性などの研究チームのリーダーです。このチームとのディスカッションが今回の出張の一番の目的でした。
ヴェロニクはあいにく海外出張中でしたが,彼女のチームのミカエルが出迎えてくれて,彼を含む3人の研究者と研究のプレゼンテーションをし合い,ディスカッションを行いました。
10月から共同研究を開始することを念頭に置いて,クリエイティブに議論をしましたが,いくらでも連携できることがありそうで,特に我々のSWATには強い興味を示していました。
私も海外経験が豊富なわけでは全くありませんが,研究の濃厚なディスカッションは,日常的に日本で行っていますし,私の議論している研究者たちはトップレベルの研究者ばかりですので,研究の思考としてはかなり鍛えられていると思っています。
今回も,カイロ大学教授,デルフト工科大学の研究者たち,IFSTTARの研究者たちと議論を重ねましたが,こちらが回答に困ることは一回もありませんでした。また,IFSTTARの研究は実務的ということもあって非常に興味深く,研究所が移転中ということで研究者たちはかなり複雑な心境のようでしたが,彼らを盛り上げる,という意味でも私がここを本命に選んだことは間違いではない,と思います。
一か所に拠点を置いてそこにずっと居座るつもりはさらさらなく,デルフトとも連携できそうだし,カイロに行けば津波の橋梁被害のシミュレーションを自分でもできるし,非常にワクワクします。
未熟だ未熟だと思いつつ精進を重ねてきましたが,いつの間にか一定レベルの研究者になっていたんだな,とこれまでの人生を振り返ってやや感慨深くなっています。
ようやく本格的な研究,社会貢献をできるスタートラインに立ったと思っていますので,これまで通り,同志たちとチャレンジを真摯に重ねていきたいと思います。
今日の日中は,パリを観光します。