よく,海外に行くと日本のことがよく見える,と聞きます。
いくら視野を広げて,なるべく相対的に自分たちの活動を見ようと思っていても,そのど真ん中にいる当事者には見えにくいこともあります。
今回も,たった一週間ちょっとの海外出張でしたが,非常に多くのことを感じました。自分の中に物の見方がある程度確立されているので,日常を離れて,いろんな人と話してみることで,普段見えないことが見えてきます。
今回感じて考えたことは,日本に戻ってからの研究室運営にフィードバックしますし, 私の自己研鑽の方向性にも何らかの影響を与えると思います。
日本の大学のあり方は,これでいいのでしょうかね。私の研究室も,技術職員もアシスタントもいない状況で,よく研究活動を回していけるものだと思っています。私の研究室は,企業との連携もそれなりにあるので,closedでやっているわけではなく,まだマシなのかもしれませんが,closedでやっている研究室などはとてもとても海外の強力な研究機関などに太刀打ちできないように思うのですが,間違っているでしょうか。理系と文系で違うかもしれないし,工学だから特にそう感じるのかもしれませんが。
私は土木工学の特にコンクリート工学の研究のやり方しかまだよく知りませんが,日本の研究者たちも組織的に連携してやってはいます。議論のレベルは,日本の方が高いかと思います。でも,個々人の研究者の組織があまりにも脆弱です。何でもかんでも研究室のリーダー(親方)にのしかかってくるシステムであり,あまりにも過酷です。
プレイングマネジャーとしての活躍を求められる我々研究者,教育者にとってもっと仕事のやりやすい大学になってほしいですね。
競争至上主義の方々は,そんな大学であればやめて,私学でも海外の大学でもどこでも行けばよい,と簡単に言いますが,私は日本が大事であり,自分の持ち場をしっかりと持って,地道に周囲に貢献していくことの方がはるかに大事であると確信しています。ですから,着実に努力を続けるし,大きな動きを創る必要があるときは,同志たちと連携して死力を尽くします。自分の身さえ良ければよい,というような輩の言うことには絶対になびきません。