28.07.03 勘 当 NO.1121
親(師匠・主)などが、目下のものの失敗や悪事をとがめて、その罰として今までの関係を
ないものにすること・・・と書いてある。
江戸時代まであった制度で、親が息子や娘の非行をとがめて、親子関係を法的に切断する
という方法として、この「勘当」がありました。 具体的には人別帳(戸籍)から親子関係を
抹消し、無宿人にすることでした。 当時は子が非行に及んだ場合には、その親・兄弟・
一定の範囲内の親族にまでその累がおよび、また、凶悪な犯罪お犯した場合にはそのもの
が属していた村落も、逮捕・押送(江戸までの)費用の負担を負わされるなど、連帯社会だっ
たために、勘当は当の親だけの問題ではなく非行者が属する地域社会全体の問題でした。
幕府としてはそこに間接強制(力)が働くことを期待していたのでしょう。
「勘当」されて無宿人となれば、住居移動の制限もあり(無宿人足寄場等)ほかに就職する
にも、保証人もなく、したがって日雇い労働等の身分の安定しない仕事に就くしかなく、犯罪
に走らざるを得ない環境に置かれたに違いありません。
それでも、勘当されたものが犯罪を犯しても、元の親元・その親戚・その地域社会が連帯責
任を問われなかったために、この制度はかなり多用されたようです。
現行法上この概念に該当する者はありませんが「廃除」と言って、相続権をはく奪する方法
があります。 でも、「廃除」の宣告を得るためには「親の言うことを聞かない」という程度
の「非行」では、裁判所は「廃除」を認めないでしょう。