新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

リンパ節腫脹について(患者さん用):悪性リンパ腫か良性疾患か?

2017-04-24 05:33:44 | 医学系

おはようございます

 

昨日に続きまして、患者さん用に症状と疾患についてです。

 

このblogで患者さんから相談が多い疾患として「悪性リンパ腫」があります。

悪性リンパ腫の説明(僕の説明の仕方)

ホジキンリンパ腫の説明(患者さん向け)

 

悪性リンパ腫かそうでないのか・・・というご相談も多くいただきます。

 

はっきり書くと「調べなければわからない」というのは実際ですが、リンパ節が腫れました・・・というところから、どのような病気を考えていくのかを書いていきたいと思います。

 

リンパ節腫脹・・・専門用語ですが、要するにリンパ節が腫れました・・・ということです。

 

患者さんの多く、そして非専門医の半分くらい(紹介されてくる印象)は「リンパ節が目立つ」ようになったら、リンパ節腫脹として対応している印象はあります。

 

さて、悪性リンパ腫の診断にはリンパ節生検が必須ですが、一般にどういったリンパ節に対してリンパ節生検を行うかというのは、論文などで示されています。

 

そう行ったこともこの本には書いております(笑。

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一般には

1、リンパ節の大きさが1.5 cm × 1.5cm以上

2、鎖骨上リンパ節(肩の内側あたりです。反応性の可能性が低い)

3、弾性硬(スーパーボールくらいの硬さ)で丸い(一般のリンパ節は楕円形、リンパ腫は丸くなっていく)

4、圧痛なし(炎症によるものならば痛みがある)

5、年齢が40歳以上(リンパ腫の頻度が上昇、ちなみに20歳前後だとホジキンリンパ腫が多いのですが、ホジキンリンパ腫は頸部+鎖骨上リンパ節が多い)

6、全身性(1.5cm以上があって、全身性ならば反応性の可能性は低く、リンパ腫の可能性が高い)

7、B症状(発熱、盗汗:ひどい寝汗、体重減少)があるかないか

をまず考えます。

 

このblogでも患者さんの経過や大きさなどを聞いて、リンパ腫の可能性などを考えています。

 

あとは、年齢により好発部位が異なっていたり、色々あるのですが、それは専門家の判断になります。

 

他に良性疾患でリンパ節がよく腫れるものはなんでしょうか?

一番多いのは「感染症」です。

 

例えば「虫歯」や「歯周病」を放置しすぎて、感染し・・・その炎症が顎の下や頸部のリンパ節に広がる・・・。よくある話です。僕もたまに起こしたりしました(僕のは虫歯ではなくて、口内炎からなんですけど・・・最近はないです)。

他に足の切り傷から細菌が入って、足の付け根(鼠径リンパ節)が腫れるなどですね。

 

他にはウイルス感染だと小さなリンパ節が痛くなったりします。腫れてはいないのですが、痛いので心配になって受診される方が結構います(ちなみに、大学病院に直接来た方は・・・ほとんど紹介状なしで、自身で心配が強くなって受診されています)。

 

有名なウイルス感染として「伝染性単核球症」があります。有名なEBウイルスの初感染で起きます。kissing diseaseという通称もありますが、唾液などを介した経口感染です。そのため、思春期や若い方が多いのですが、結婚されている30代とか40代でもいましたので、若い人だけとは限りません。

一般に発熱は95%の方に5〜21日の間生じ、リンパ節腫脹は80%の方に21日ほど生じています。

 

ちなみにこの病気には思い出がありまして、僕が医学生時代にネット小説を読み歩いていた時期がありまして、その作者の方がこれになりました。更新されないので、掲示板を見てみると発熱、リンパ節腫脹、肝機能障害で近くのクリニックにかかっているけど、改善しないと。

で、症状から「伝染性単核球症だと思いますよ」と書いたら、調べたところそうだったということで、「医者ですか?」と聞かれて、「医大生です」と答えたようなことがありました。

 

この方とはその後に実際にお会いするようにもなり、結婚式の二次会に招待していただきました。医療従事者になられていて、働いている施設の代表の方に「年2000万でうちに来ませんか?」と言われましたが、お断りしました。当時は年収900万くらいでしたけど、医師という仕事が面白かったので・・・暇そうな仕事には行きたいと思わなかったです。やりがいの問題ですね。

 

 

他、若年女性で有名な病気として「菊池病(壊死性リンパ節炎)」があります。77%が女性で、発症年齢中央値は30歳、頸部リンパ節腫脹が90%で有痛性のリンパ節が数珠繋ぎになっていることが多いです。3ヶ月くらいで改善しますが、なかなか改善しなければリンパ節生検をすることになります。

 

良性疾患で他に有名なものはCastleman病やIgG4関連疾患、サルコイドーシスなどもリンパ節が腫れます。この3疾患は診断に政権が必要ですし、概ねリンパ腫の鑑別の中に含まれてしまいます。

 

悪性疾患ですが、他の悪性腫瘍の転移という可能性もあります。そういう患者さんも何人もいました。この場合は診察すればわかるのですが、先に細胞診などを出す場合が多いです。悪性腫瘍と思ったらリンパ節結核だったこともありますが・・・。

 

 

一般の患者さんが「リンパ節が腫れてリンパ腫じゃないかと気になる」場合のポイントは次の点だと思います。

1、大きさが1.5cm以上なのかどうか、形と硬さは

リンパ節の正常範囲は1cmまでとされています。僕も1cmほどの大きさのまま変わっていないリンパ節が1つありますが、1.5cm以上の大きさならば、まず受診するべきです。加えて形が丸い印象であれば(丸いのが2つ、3つ繋がっている場合もあります)、やはり生検を検討します

2、痛みがあるのか

痛みがある場合は基本的には悪性腫瘍の可能性は低いと考えます。あまりに急速に大きくなってきているとリンパ腫でも痛みが出ることはありますが、その場合は次の項目に書きますが、大きくなる速度や大きさで引っかかると思います

3、大きくなる速度はどの程度か

一般には週単位で大きくなる「高悪性度」や月単位で大きくなる「中等度」の2つをaggressive lymphomaとして積極的な治療の対象とします。年単位でしか変わらない場合、悪性だとしても低悪制度リンパ腫の可能性が高いです。その場合、治療介入するかどうかも検討の範囲に入りますので、多少の診断の遅れがあったとしても、その後に影響はほとんどないです。高悪性度や中等度悪性度のリンパ腫の場合、初発部位がどんどん大きくなるので、おそらく1ヶ月もすると1.5cmを超えてきているのではないかと思います(高悪性度の場合、1ヶ月後には命に関わるので、すでに症状が出ていて受診しているはずですが)。ぐんぐんお大きくなるようなものは病院に早めに受診した方が良いと思います。

逆にあまり変わらない・・・というのはリンパ腫かどうか迷うところです。

 

多分、この3つを念頭におくのが一番良いのではないかと思います。多くの方の参考になれば幸いです。

 

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貧血と症状について(患者さん用):動機、息切れ、めまいなどに関して

2017-04-23 13:25:45 | 医学系

こんにちは

 

これから少し、患者さん向け「症状シリーズ」みたいなものを書いてみようかと思っています。

 

これは次に書く予定の本とは関係ないのですが、少し自分の考えをまとめるのにも使用しております。と同時に、人に役立つようにするならば「症状」ごとに少しblogに書いてみるのが良いかなと思ったので、このようなものを書いております。

 

最初は「貧血」に関してです。基本的に貧血の症状、それが起きる理屈そう言ったものを書いていきたいと思います。

 

貧血とは?

最初に「貧血とは何か」という話ですが、貧血は「赤血球が不足して、酸素運搬能力が低下した状態」になります。

 

酸素を体に取り込むのは「肺」の役目ですので、肺が悪くなると「赤血球があっても、酸素が足りなく」なります。当たり前と言えば当たり前です。

 

酸素を製品と考えて、肺が工場だと思ってください。酸素生産工場(本当は取り込むんですけど)である肺から酸素を運搬し、各家庭(身体中の細胞)から出たゴミ(二酸化炭素)を肺にある処理工場に運ぶ(ダンプカーみたいなもの)。それが赤血球の主な役割です。

 

この酸素や二酸化炭素を運ぶのは「ヘモグロビン」と言われる赤血球内にある物質が担当します。そのため、貧血の定義は「ヘモグロビン値」によります。

あえて、値を書かなかったのは「正常値」を下回れば貧血なんですが測定する機械によって異なることと、血液疾患における貧血の定義が少し異なるので数値は書きませんでした。

診断についてはこちら(笑

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ただ、機械によって異なることを前提に書きますと、男性はHb<13g/dl、女性<12g/dlくらいではないかと思います。

 

貧血の症状はなぜ生じる?

さて、貧血の症状の有名なところは「めまい」「動悸」「息切れ」などだと思います。

これらはなぜ生じるのでしょうか?

 

ヘモグロビンが少ないから・・・・

 

と、書いたら怒られますので、一つ一つ理屈を書いていきます。

 

順番が変わりますが、最初に動悸から。肺から取り込まれた酸素が各細胞に届けられるには十分な「赤血球(ヘモグロビン)」が必要になります。肺で100の酸素が取り込まれ、今までは100の赤血球が運搬していたところ、様々な理由があり50になったとします。

 

そうするとどう対応したら良いでしょうか?

 

体は2つの方法をとります。

1つ目は100の酸素ではなくて、もう少し利用を減らします。80でいいよ〜という感じにします。そうすると貧血でも十分運搬できるではないか・・・となります。

2つ目は心臓が頑張っちゃいます。心臓は今までは1分あたり70回で動いていたけど、頑張って100回にしちゃおうかな・・・と思います。

 

心臓が頑張ると脈拍が上がり、動悸を感じたりします。

 

息切れを感じる理由はもっと単純で、酸素の運搬能力が低下しています。上のようなメカニズムで、うまく調整をしていますので、「余裕」がほとんどありません。そうすると階段を上るくらいの簡単な作業、運動で息切れしてしまいます。

 

日頃の運動不足というのもある人がいるかもしれませんが、今までは感じていなかったのにこの程度のこと(階段上り下り、軽いジョギング)で息切れするなんて・・・としたら要注意です。

 

笑い話ではないのですが、マラソンの練習に急についていけなくなった・・・と言っていた方が急性白血病だったことがありました。ちなみに主訴が嘔気(カルシウムが上がっていました。危なかった)だったので、このマラソンの練習の話は採血をして診断のめどが立った後に聞いた話です(汗

 

めまいに関しては「立ちくらみ」のような「ふわっ」としためまいは「脳への血流不足」「脳への酸素不足」「脳への糖分不足」によります。貧血のめまいは「酸素」を最も使う「脳」が酸素不足を感じて起きる「めまい」になります。

 

これが貧血でよく起きる3つの症状の原因になります。

 

他の症状

さて、貧血の原因によって他の症状がいろいろあります。

 

例えば鉄欠乏性貧血では異食症が有名です。氷などを無性に食べたくなったりします。ちなみに鉄欠乏性貧血は若年女性が中心です。20歳から49歳までの女性の20%は鉄欠乏性貧血と言われています。

貧血(鉄欠乏性貧血)の患者さんに対する説明(患者さん向け)

 

他にたまにあるのですが「ビタミンB12欠乏性貧血」などもあります。

胃切除後や胃の内因子と言われるビタミンB12を吸収するときに使われる物質が何らかの理由で出なくなった時に起きます。LDHと呼ばれる値が正常値の10倍くらいに上がる他、神経の材料でもあるため神経系の症状が出ます。

30%の患者さんにしびれなどの症状が出る他、ご飯が美味しくなくなったとか、まっすぐ立てない(Romberg徴候)などがでます。白髪が増えるとも言います。ちなみに年齢は60歳以上に多いとされています。

 

再生不良性貧血と言われる「白血球」や「血小板」も減るようなものはそれに伴う感染症(熱が出るなど)や出血があります。

僕の再生不良性貧血の説明(患者さん向け)

 

他に骨髄異形成症候群では白血球や血小板が減る症状以外にも、様々な症状が出ることがあります。異常な白血球などがそいつら自体が発熱(腫瘍熱)したり、肺などに入って行ったり(器質化肺炎)、肺で除去するべきものを除去できなくなったり(肺胞蛋白症)・・・。

骨髄異形成症候群の説明(患者さん向き)

 

当然、急性白血病や貧血を伴うことの多い、他の腫瘍性疾患もあります。

 

さて、今まで書いてきた病気は主に「赤血球が作れなくなる病気」ですが、他に壊される病気もあります。まぁ、出血もありますが・・・赤血球が体内で壊される病気を「溶血性貧血」と言います。

 

溶血性貧血は体の中で赤血球が壊される病気です。壊された赤血球の残骸は回収しきれない場合、腎臓に悪さをします。その結果、腎臓の機能が低下します。他に尿の色が濃くなる(ビリルビン尿:どちらかというと茶色に近い色)があります。

溶血性貧血の話(患者さん向け)

 

医師は貧血の症状に加えて、どんなものがあるか、年齢は何歳か・・・など様々な状況から「診断」を推測し、確定します。

 

貧血がらみで参考になれば幸いです。

 

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僕流の紹介状(主に返信)の書き方:血液疾患を例に

2017-04-20 05:35:47 | 医学系

おはようございます。

 

二日前に風邪をひいて、仕事をしながら体調を回復させておりました。急な天候変化に体がついていかなかったようです。

 

4月18日に出張先から帰ってきたら、20cmくらいの積雪があり・・・びっくりしました。出張先でもみぞれになっていましたが・・・。

 

先ほどコメントで「家庭医」の先生が「紹介状の返信(カルテの画面1枚)」を見て、「最近の若い医師はこんなもん」と言っていたという話を見て、僕なりの書き方を紹介して見たいと思います。全員がそんなカルテや紹介状を書くとは思いませんが、僕が今までに受け取った紹介状でも「どうするのか?」と思うものも多いので(若い医師も、それなりの年齢の医師も。むしろ細かすぎてわからないのもありますが笑)。

 

ちなみに紹介状の返信として・・・例えば、血小板減少で紹介されてきたAさん、Bさん、Cさんがいたとします。

Aさんは特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(ITP)だったとします。血小板数は9万です。そうすると例えば

「平素よりお世話になっております。血小板減少のためご紹介いただきました患者です。精査の結果、特発性血小板減少性紫斑病と診断いたしました。ピロリ菌の検査は陰性で、現時点では出血症状もありませんので経過観察の方針になります。

ITPの治療介入は出血症状の有無にもよりますが、血小板数3万、もしくは2万未満となります。急激に低下する可能性もないとは言えませんが、精査中の期間では大きな変化はありませんでした。

今後の方針としまして、血小板数が5万を下回る程度まで先生のクリニックで経過を見ていただけませんでしょうか。経過観察の要領としては2〜3ヶ月に1回の採血検査で、大きな数値変動がないかをご確認いただければと存じます。血小板数が5万を下回った場合や、急激に5万前後まで低下した場合は再度ご紹介いただければと存じます。

この度はご紹介ありがとうございました」

 

だいたいこのくらいになるかと思います。返信をもらったクリニックの先生が読んで困らない。自分は言われた通りにやっているよ。責任は専門家である大学病院の医師にあるよ・・・と言われてもいいくらいでは書いています。そういう指示が出せないのであれば、自分で見ます。自分で診た上で少し時間をかけて返せるかどうかも判断します。

 

例えば同じITPでもこんな方がいました。

心疾患で他院通院中に出血症状が出現し、内服中のワーファリンの影響が疑われましたが、血小板数も15万から5万に下がっていたので、紹介されたような方です。

先ほども書きましたが、出血症状があること、血小板数が5万程度まで急激に下がっていることから「自分で様子を見る」ことにしました。そのため返信は簡潔です。

「(初回返信)・・・・・(前置き省略)。現時点ではITPなどが疑われます。ワーファリン内服中ですがAPTTも伸びておりますので、抗リン脂質抗体症候群(APS、時に手術などをきっかけに急激に血小板数が下がることがあります)なども可能性はあります。播種性血管内凝固についてはFDPなどのデータからは否定的です。診断確定後にご連絡いたします」

「(第二報)血小板減少のために精査中の方ですが、血液検査の結果からはAPSは否定的でITPの可能性が高いと考えます。骨髄穿刺の結果を確認し、ご報告いたします」

「(第3報)血小板減少の精査中の方ですが、骨髄穿刺を含めた各種検査の結果、ITPと診断しました。ピロリ菌の検査も陰性で、現時点では治療適応はありませんが、出血リスクが高いため当科で経過観察いたします。貴院受診時に血小板数低下や出血症状などがある際にはご連絡いただけますと嬉しく存じます。」

その後しばらくして血小板数が回復します。一般に薬剤性やウイルス性の血小板減少では、投薬後2週間程度で低下し、内服中止後3週間以内に回復することが多いです。この方はそのパターンには当てはまりませんでしたが、肺炎球菌性肺炎ワクチン接種後に血小板が低下しておりました。ワクチンが原因かどうかは不明ですが、何か働きかけがあった可能性はあります。ちょうど半年程度経過したところでもあり、急性型でも説明はつきました。

「(第4報)・・・。ITPで当院でも経過を見ている患者です。血小板数ですが現在正常値まで改善してまいりました。念のため、次回診察まで経過を見たいと思いますが、半年以内の改善であり急性型ITPの可能性があります。また、ワクチン接種後に生じたもののようなので、ワクチンが原因の可能性もあります。2ヶ月ほど経過観察し、もし血小板数が正常値のままであれば先生のもとで経過観察していただいてよろしいでしょうか。その際には血液検査結果の経過を含めて報告いたします。経過観察中に再び血小板数が5万前後まで低下することがございましたら、再びご紹介いただけますと嬉しく存じます」

 

こんな感じになると思います(というか、したと思います)。

 

 

他に例えば骨髄異形成症候群や急性白血病などであれば

「血小板減少の精査のため、ご紹介いただいた患者です。末梢血液中に芽球を●%認め、骨髄穿刺では芽球を●●%認め、急性白血病と診断しました。以後の治療は当院で行ってまいります。この度はご紹介ありがとうございました」

と、簡潔にですが、診断名と診断根拠は記載するようにしています。もし、開業医の先生でこれを見ると良いと思いますというものがあれば、それも記載します。

 

他院に紹介するのであれば「紹介状」を受け取った医師が困らないような文面にします。

必須項目は「診断名」「診断根拠」「病期・病気の状態」「病気の経過」「治療方針」「治療の結果」「現在の状況」「今後の方針と依頼内容」くらいだと思います。

このくらいは最低限必要だと思いますし、僕らが紹介状をもらう時によくわからないと思うこともあると思います。

 

まぁ、昔数年間の治療経過を3〜4枚に書かれた時は「ポイントだけ書いてくれ」と思いましたが(笑

 

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成書が読まれない時代:いや、インターネットが変えたんだよ(ハリソン内科学)

2017-04-17 05:46:45 | 医学系

おはようございます

 

今日は出張で、防疫的なことを色々見て回ったり、医学教育(健康指導、健康相談)をしてまいります。

 

ちょっと位になる記事が2つありましたのでご紹介します。

 

1つ目はこちら

 

権威ある医学書がダジャレ? 背景に「難しい本が売れない」現状

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170416-00010004-bfj-soci

BuzzFeed Japan 4/16(日) 19:00配信

 

「ハリソン内科学」は医療関係者ならほとんどの人が名前を聞いたことがある、権威ある教科書だ。その「ハリソン内科学」がダジャレを使ったPRをしたことが話題になっている。担当者への取材で、医師や医学生向けであっても「難しい本が売れない」現状が明らかになった。【朽木誠一郎 / BuzzFeed Japan】

 
突然のダジャレ広告、その真意は?

話題になったのが、14日付の朝日新聞朝刊の一面広告。“5版(ごはん)ですよ! ハリソン内科学”というキャッチコピーが、大々的に掲載されている。また、“第114回日本内科学会「書籍展示場・大しゃもじ前」”とある。

「ひょっとして、あの有名なご飯のお供とかけている?」と思っても、権威ある本だけに、誰もがその真意を測りかねていただろう。

「広告のセンスがよくわからない」「スベってる感じもある」などの意見もあったが、ネットユーザーには概ね好意的に受け止められていた。

ハリソン内科学の第5版が発売されたのは2017年3月。第4版が発売されたのが2013年なので、4年振りの改訂になる。

このタイミングで、どうしてこのようなプロモーションに踏み切ったのか。BuzzFeed Newsは先述の告知を行ったTwitterアカウント「ハリソン内科学【公式】5版ですよ」の“中の人”を取材した。

 
難しい本よりは読みやすい本を選ぶ現状

--あえてお聞きします。なぜ、「ごはん」「しゃもじ」だったのでしょうか。

「5版」と「ごはん」をかけています。

--ダジャレでしょうか。

はい、ダジャレです。「ハリソン内科学 第5版」ということで、改版のアピールと短く伝わりやすいキャッチーさを検討した結果、「5版ですよ」というコピーになりました。

ハリソン内科学は世界的に最もメジャーな教科書ですが、国内では敷居の高いイメージがあります。それゆえに「ご飯のように、日本人医師、医学生にとって当たり前の存在になってほしい」という意図をコンセプトに含めています。

その結果、サブコピーや関連書籍の販促などでも「食欲」を喚起するような言い回しを使用しています。

--これだけ権威ある本が、なぜダジャレを?

医師や医学生には意外と知られていないのですが、現在国内ではハリソンなどのいわゆる「成書」と呼ばれる教科書の需要が、とても落ち込んでいます

著名な先生方や指導医がどれだけ「読みなさい」と言っても、多くの医学生、若手医師は簡便な医学書に流れてしまう傾向にあり、弊社だけでなく教科書を出している版元にとっては大きな課題となっていました。

--医師や医学生も、難しい本よりは読みやすい本を選ぶ現状があるのですね。

はい。普通の販促で行き詰まっていたこともあり、第3版の頃から、発行元のメディカル・サイエンス・インターナショナル(MEDSi)では、医学生さんたちへの直接営業をスタートしました。

最初は純粋に営業として医学生さんたちと知り合っていったのですが、接点を増やすにつれて、彼らにとっての「ハリソン内科学」のイメージが具体的に見えてきました。

結論からいうと、ハリソンと読者との距離が遠かったんですね。それがわかってから、当時はまだ医学書業界では珍しかったTwitterを活用した販促を始めました。

--なるほど。「ハリソン内科学【公式】5版ですよ」さんは、確かにとっつきにくくないですね。

ギリギリのラインでハリソンの権威を落とさない「ユルさ」をコンセプトに運用しています。

--とはいえ、権威のある教科書です。怒られたりしませんか?

それは、もっとも気を使っている部分です。実際、そうした声もいただいておりますし、「ハリソン内科学」のアカデミック感というのは、ブランディングをする上でも重要なところですので。

一方で、ハリソンのような「成書」が使われていない現状があることも事実です。怒られる方の多くは、こうしたPRをされなくても能動的に勉強をされてきた方々なんです。

まずは「ハリソン内科学」は学生の時分から読みはじめても良い本であり、生涯手元に置いておくべき本でもある、そういう「存在」そのものに気づいていただくにはどうすればよいか、ということを考えています。
(以下略)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まず、書かれているように「滑っている」と僕も思いましたw

 

ちらっと見て・・・思わず首をひねって「ネタかしら?」と思った次第です。

 

で、次に医大生や医師が成書から離れているというもののうち、医大生が離れているのは確かだと思います。理由は簡単で「書いている内容が国家試験に出ないところが多い」「細かい字がいっぱい書かれていて、読みにくい」から。

 

読みやすい、読みにくいもありますが・・・持ち歩きにくいですよね。あんな太い本を手元に置くには厳しいし、すぐに調べたくても調べにくい。基本的に使いにくい。時間がない人は読まないです。

 

ちなみに僕は「ハリソン内科学」「中山内科学」を端から端まで医学生時代は読んでいました(だからどこに何が書かれていたか、当時すぐ出てきましたw)。ただ、朝倉内科学までは到達しませんでした(2冊でお腹いっぱいになりましたw)

 

で、次に医師が読まないのは理由があります。まず、日本語版に翻訳する時点で数年の遅れがあります。そうすると必要な知識は大体別の場所で仕入れています。

2つ目に論文の「review」を見て勉強しています。インターネットで様々な情報が入りますし、up to dateなどでも最新の知識は入ります。論文のreviewをいくつか読めば、最新の知識は概ね入りますので、わかりにくければ日本語でそれを確認する。

そうすると日本語の「成書」がほとんど不要です。

 

僕の書いた本は「診断に必要な情報」を集中的に集め(reviewなどを読み漁り)、それらと症例経験を駆使して「指導医と研修医」の会話から診断過程を学ぶようにしました。

 

出版社さんもわかっているからだと思いますが、成書と違い「見やすさ」「読みやすさ」が追求されているので、同じ情報を得るなら簡単な本を手に取ると僕も思います。持ち歩きやすいし、どこに書かれているかすぐわかる。

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最新の知識はインターネットの論文から得て、オピニオンリーダーの講演会から得て・・・実際に現場で使う知識や国家試験で使う知識はあんちょこのような本から得る・・・。

 

そんな感じだと思います。

 

一方で、僕は嫌いなんですが・・・あの国家試験の辞書みたいな本(名前が出てこない)・・・。あれが内科専門医試験対策に・・・と書かれて置いてあったのに衝撃を受けました。僕らが学生時代って、あれは学生(各大学の国家試験対策委員)が書いたのを医師が監修した本で、結構間違いがあったのだけどな(と、成書と読み比べて、間違いをいくつか見つけて・・・当時付き合っていた彼女にあげちゃいました:欲しいと言われたからですよ)

確かに総合内科専門医試験を受験した際にみんながその本を読んでいたので、びっくりしました

 

この本は分厚い割に売れているのですよね。僕は嫌いなんですけど(笑

 

最近、どうなったか確認していないから、今度手にとってみようかしら

 

 

ということで、医学生が成書から離れた・・・という話でした。

 

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インフルエンザウイルスの細胞表面移動の話:新しい発見は素晴らしい

2017-03-29 22:28:35 | 医学系

こんばんは

 

今日は体調不良で、一日仕事になりませんでした(仕事してますけど)。朝から帰宅してしばらくするまでずっと下痢していて、7〜8回くらい(汗

 

医者なので「まぁ、そのうち治るか」と思って、水分を多めにとりながら様子を見ていましたが、ようやく落ち着いてきました。

 

さて、今日は少しネットを見ていたら、「ヘェ〜」と思った記事があったので、紹介します。時間があったら論文そのものも見たいのですが、週末にでも・・・。

 

インフルウイルスに運動能力 岡山・川崎医科大グループが発見

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170328-00010000-sanyo-sctch

山陽新聞デジタル 3/27(月) 23:51配信

 

 川崎医科大(倉敷市松島)の堺立也講師、齊藤峰輝教授(ともにウイルス学)らのグループは、インフルエンザウイルスが細胞の表面で運動する能力を持つことを発見し、その仕組みを明らかにした。今後、運動パターンを解析することで流行の予測や新しい予防・治療法の開発につながると期待される。27日付の英電子科学誌サイエンティフィック・リポーツに論文が掲載された。

 

 

 インフルエンザウイルスは細胞表面にある突起(受容体)に結合し細胞内に侵入。細胞に寄生することで増殖する。ウイルスは細菌よりも小さく単純な構造をしており、自ら運動することはないとされていた。

 グループは、A型インフルエンザウイルスの表面にあるヘマグルチニン、ノイラミニダーゼという2種類のタンパク質に着目。ヘマグルチニンは受容体に結合する性質があり、ノイラミニダーゼは結合を切り離す役割を持ち、2種類が同時に働いていることを突き止めた。ノイラミニダーゼが結合を切ることで、ヘマグルチニンと受容体の組み合わせが次々と変わり、細胞の表面を動いていた

 ウイルスが動くことで細胞内に侵入しやすくなっていると考えられ、ノイラミニダーゼの働きを阻害すると運動できなくなり、細胞のウイルス感染率は4分の1程度に低下した。

 インフルエンザはA型だけでも100種類以上あり、動物からヒトへの感染も懸念される。堺講師は「それぞれのタイプの運動パターンが分かれば、ヒトへの感染しやすさを調べる指標にできる可能性もある」と話している。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最初に一言

 

「インフルウイルス」って勝手に略さないように(笑

 

さて、ノイラミニダーゼと言われてもピンとこないと思いますが、インフルエンザの薬が阻害しているものになります。今まではノイラミニダーゼをタミフルなどが抑えることで、インフルエンザウイルスが「細胞内」から外に出て行くことができなくなり、感染する細胞が少なくなり「早く治る」と言われています。

 

確かに内服した場合は「細胞内」に入ったインフルエンザウイルス以外は効果がないはずなのでその通りだと思います。

吸入薬の場合はどうなのだろうか?

 

予防効果があるのだろうか?

 

タミフルの予防内服は血液疾患などでは行います。この場合も狙いは感染した細胞を減らすことで発症を抑えるという考え方ですが、ウイルスそのものに感染する前に作用させれば「感染率」もへるのであればいいですよね。

 

もっとも、そういう「抵抗力が弱っている」人を除けば・・・予防のためにタミフルなどの内服をするよりは「手洗い」や「うがい」をきちんと行い、人ごみではマスクをする・・・。この方が費用対効果がよほど良いとは思いますが。

 

ただ、記事にもありますが「ウイルスが移動」するというのは誰も考えていなかったことだと思いますので、それを示せたのは素晴らしいです。新しいことを発見するというのは素晴らしいと思います。

 

僕もアカデミックなところに戻りたいものです。

 

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STAP Conditionなんだけどなぁ:話している内容が違うと思う

2016-05-15 16:44:43 | 医学系

こんにちは

 

GW明けからは毎日病院にいるので休んでいる気はしない(まぁ、休んでいると違和感を感じるところもありますが)日々が続いております。

 

今日はバックアップだったのですが、娘や嫁さんがいないときは書き仕事をやっております。少し落ち着いて来たら、いろいろなものを書いていきますので、よろしくお願いいたします。

 

さて、たぶん気になった人は気になったと思うのですが、こんな記事が出ていました。

 

STAP現象の確認に成功、独有力大学が…責任逃れした理研と早稲田大学の責任、問われる

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160514-00010004-bjournal-soci

Business Journal 5月14日(土)6時1分配信

 今年3月10日、ドイツの名門大学、ハイデルベルク大学の研究グループがSTAP関連の論文を発表した。論文タイトルは『Modified STAP conditions facilitate bivalent fate decision between pluripotency and apoptosis in Jurkat T-lymphocytes(邦訳:修正STAP条件によって、JurkatT細胞の運命が多能性と細胞死の間で二極分化する)』である。

 海外の一流大学が、いわゆる「STAP現象」の再現実験を行ったということで話題となっている。以下に同論文の概要を紹介する。

<(1)序論:STAP論文は撤回されたが、低pHの刺激による万能性獲得の可能性は、がん、または、がん幹細胞の分野においては魅力的な課題である。

(2)実験:そこで、理化学研究所と米ハーバード大学から発表されたプロトコルを改変して、セルライン化されたT細胞に刺激を与える実験を行った。

(3)結果:当グループが見つけたpH3.3の条件では、酸処理後、多能性マーカーの一種であるAP染色陽性細胞の割合が増加した。AP陽性の多能性細胞は酸処理ストレス下を生き延びて優位に増加

(4)考察:小保方晴子氏【編注:一連のSTAP細胞論文問題をめぐり2014年12月に理研を退職】が英科学誌「ネイチャー」で発表したプロトコルでは成功しなかった。それは、使用している緩衝液の緩衝能が適していないことが理由として考えられたので、それも変更した。

 一番の発見は、このような瀕死のストレス条件では、Acute T-cell leukemia(ヒト急性T細胞白血病)の細胞株である JurkatT細胞が、万能性を獲得するか、もしくは死ぬかの間で揺らいでいることである。何がそれを左右するのかを探るのが今後の課題だ>

 わかりやすく解説すると、以下のようになる。

<小保方氏が発見したSTAP現象を、がん細胞の一種であるJurkatT細胞を用いて再現実験を試みた。同細胞に対しては、小保方氏がネイチャーで発表した細胞に酸性ストレスをかける方法ではうまくいかなかったため、独自に修正した酸性ストレスをかける方法を試してみたところ、細胞が多能性(体のどんな細胞になれる能力)を示す反応を確認した。それと同時に細胞が死んでしまう現象も確認されたので、何が細胞の運命を分けているのかを探っていきたい>

●がん細胞の分野で研究の価値大

(中略)


 日本国内では、マスコミによる異常な偏向報道によって、完全に葬り去られたように印象づけられたSTAP現象だが、そのような先入観もない海外の大学によって再現実験が試みられた事実は大きい。

●日本の専門家たちの間違い

 一部の専門家は、小保方氏がSTAP細胞のレシピ(詳細な作製手順)を公表するサイト「STAP HOPE PAGE」を開設した際にも、「STAPを今さら研究する研究者は世界にどこにもいない」と批判していたが、それが完全な間違いであったことが証明された。

 ネイチャーのSTAP論文が撤回された理由は、小保方氏が発見した「STAP現象」の否定ではなかったことは前回記事で述べた通りである。

 小保方氏の人権を蹂躙するかのようなマスコミがつくり上げた世論に同調し、常識を逸脱した禁じ手まで使って論文をなきものとして責任逃れをした理研や早稲田大学と比べ、真摯に生物学的現象を追究するハイデルベルク大学のニュートラルな姿勢は、科学に向き合う本来のあり方を教えてくれる。

 ハイデルベルク大学が発表した今回の論文によって、STAP現象に対する世界的な関心が再び高まっていくかもしれない。
(文=大宅健一郎/ジャーナリスト)

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論文そのもの(自宅では引けませんでした)を確認していませんので、あまり書きませんが書かれていることだけで判断できることを。

 

(1)STAPとは話が違う

これはただ同じような酸性環境を用いたというだけで分化した細胞が多能性幹細胞を持つようになったという話ではないと思われる

(2)どちらかというと「がん幹細胞」を見つけるのに役立つかもしれないということ

「がん幹細胞」を見つけ出すことができれば、それをターゲットに様々な研究ができるかもしれないので非常に面白いような気がする。

 

ですので、記事の終わりあたりの書き方はわざわざこんな書き方をしなくてもよさそうだけど・・・と思ったりしております。

 

個人的に思っただけですが。

 

今から夕食の買い物に行くので(書いてる途中にも病棟から電話があったので、近場にしかいけませんが)、この辺で。

 

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3つの医療系記事:あなたはどう思われますか?

2014-11-03 20:49:17 | 医学系

こんばんは

 

今、妻の実家から帰ってきました。妻の実家の前が車一台しか入れない道なのですが、妻の実家には車が二台おけます。と、言うことで車で行っておりますが、少しドキドキしながら車を入れたり、出したりしています。

 

さて、少しネットで気になったので3つ記事を紹介します。最初は軽いものから。

 

講演医師へ謝礼、昨年度110億円…製薬10社

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141102-00050108-yom-soci

読売新聞 11月3日(月)17時29分配信

 製薬企業の売り上げ上位10社が昨年度、医師らを対象に開いた薬などに関する講演会は計約7万回で、講師の医師らに支払った謝金の総額は約110億円になることが、読売新聞の集計でわかった。

 年50回以上講演を行い、1000万円を超える謝金を受け取った医師も10人以上いた

 国内の主要な製薬企業は昨年から、日本製薬工業協会の指針に基づき、医師・医療機関に提供した資金の情報を公開している。個人に支払った講師謝金などは今年初めて対象となった。

 各社が謝金を年200万円以上支払った医師はのべ226人。糖尿病や高血圧など生活習慣病分野が約4割と目立った。10社の医薬品売り上げは全体の約半分を占める。10月末までに公開した65社では講演会は16万回超、講師謝金は約236億円。

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講演会の演者や座長に払われる金額はそれ相応のものだと思いますが、50回以上はすごいですね。毎週末何かやっているということでしょうか?

 

ただ、多くの医師に情報を提供してくださっている(意外と薬とは関係のない情報が多い)演者の先生方には、準備なども含めてそれ相応の謝金は出ていてほしいと(聞いているこちらとしては、そのくらい出ているからと思い、安心して聞いているので)思ったりしております

 

続きまして、中国の救急車の運転手さんの素晴らしい話です。素晴らしいと思いますが、万一運転中に意識を失ったら、大きな事故になる可能性があったとも言えます。

 

救急車の運転手、患者の命優先し亡くなる―中国

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141102-00000028-rcdc-cn&pos=1

Record China 11月2日(日)22時12分配信

28日、黒竜江省ジャムス市の救急センターでこのほど、救急車の運転を担当していた賈海波さんが運転中に突然脳幹出血を発症。痛みに耐えながら患者を無事病院に搬送した後、亡くなった。

2014年10月28日、新華社によると、黒竜江省佳木斯(ジャムス)市の救急センターで、救急車の運転を担当していた賈海波(グー・ハイボー)さん(38)が24日、運転中に突然脳幹出血を発症。痛みに耐えながら患者を無事病院に搬送した後、亡くなった。ネット上では、若い命がこの世を去ったことを惜しむと同時に、「患者優先」の賈さんの行動を称賛する声が上がっている。

【その他の写真】

ジャムス市対外宣伝弁公室によると、同センターは同日午前8時55分、重症の糖尿病患者からの通報を受け、賈さんが救急隊員らと共に患者の家に急行。患者を救急車に乗せた後、賈さんは体の異常を感じたという。しかし、救急隊員の問いに、賈さんは「救急車に患者が乗っているから、先に病院に送ろう」と任務遂行を優先させた。

病院に向かう途中、助手席に座っていた救急隊員は顔面蒼白になっている賈さんを見て、運転を変わるよう勧めたものの、賈さんは「緊急の患者。もう少し我慢すれば到着する」と拒否。5分後にジャムス市中病院に到着した。しかし、賈さんはハンドルに覆いかぶさったまま動かず、懸命の応急手当が施されたものの、そのまま亡くなった。

ネットユーザーらは賈さんを「最も素晴らしい救急車の運転手」と称えている。また、あるネットユーザーは「患者か自分の命という選択で、患者の命を優先させた。最も美しい人間性が示されている」と称賛した。(提供/人民網日本語版・翻訳/KN・編集/TF)

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まず、この運転手さんのご冥福をお祈りします。また、自己犠牲の精神は素晴らしいと思います。

 

しかし、今回に関しては事故に合わなかったので、自己犠牲の精神として称賛されておりますが、脳幹出血であればいつ意識がなくなってもおかしくなかったと思います。もちろん、この中国人の方が職務への強い思いでそこまで意識を保ったのだと思いますが、本来は運転を交代するべきだったのだろうと思います。1分よりは長くならないのではないかと思うので。

 

万一、途中で大きな事故に合えば患者さんはもちろん、同乗していた多くの方の命を危険にさらしていたことでしょう。これは結果論としてよかっただけで、Bestの方法ではなかっただろうと思います。

 

しかし、それでも人間性としては素晴らしい方だったのだと思いますが・・・。

 

尊厳死予告の米女性が自殺 「さようなら、世界」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141103-00000014-jij_afp-int

AFP=時事 11月3日(月)12時19分配信

【AFP=時事】(一部更新)末期の脳腫瘍を患いインターネット上で尊厳死を予告する動画を公開して話題を呼んでいた米国人女性、ブリタニー・メイナード(Brittany Maynard)さん(29)が、自殺したことが分かった。

尊厳死予告の米女性、新動画で実行日延期を示唆

 メイナードさんはソーシャルメディアに「さようなら、親愛なる全ての友人たちと愛する家族のみんな。今日、私は尊厳死を選びます。この恐ろしい末期の脳腫瘍は、私からたくさんのものを奪っていきました。このままでは、さらに多くのものが奪われてしまったことでしょう」「この世界は美しい場所です。旅は、私にとって最も偉大な教師でした。最も偉大な支援者は、近しい友人や仲間たちです。こうしてメッセージを書く間にも、私のベッドのそばで応援してくれています。さようなら、世界。良いエネルギーを広めてください。次へつなげましょう」とのメッセージを投稿した。

 メイナードさんを支援してきた尊厳死支援団体「コンパッション・アンド・チョイセズ(Compassion & Choices)」のショーン・クロウリー(Sean Crowley)氏によると、メイナードさんは11月1日、自宅で安らかに息を引き取ったという。

 結婚して間もない頃に激しい頭痛に襲われるようになったメイナードさんは、今年1月に余命6か月の宣告を受け、進行性のがんで苦痛を伴う死になると告げられた。その後、米国内で「死ぬ権利」が認められている数少ない州の一つ、オレゴン(Oregon)州に夫と共に移り住むと、先月に自らの命を絶つと宣言する動画を公開。これが何百万人ものネットユーザーに視聴され、話題となっていた。【翻訳編集】 AFPBB News

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尊厳死、安楽死の問題はいつでも問題になると思います。

 

僕はこういう診療科にいるので、多くの患者さんが亡くなるところに立ち会いました。死なせてほしいという患者さんもいらっしゃいました。前向きになること、その時間を与えられないことも血液疾患では多くあります

 

それでも僕はやはり患者さんを「故意に死なせる」ということはできません。患者さんができるだけ家で家族と過ごしたいので、飲み薬の抗癌剤と痛み止めと、様々な症状を抑える薬でと言われれば、できることをします。患者さんによっては急性白血病でも飲み薬で1年以上引っ張った人も思い出すだけで3名(緩和ケアになってからですよ)、数か月の時間であれば多くの患者さんで時間を作ることができました(ちなみに何もしなければ1ヵ月は持ちません)。

 

ただ、死なせてほしいといわれてしまった場合は「延命」のための処置は全くしないと思います。苦痛をとる処置だけを行い(時間を稼げればよいのですが、本人が抗癌剤などを飲みたくないといっているのに、飲ませることはできません)、できるだけ安らかな死をと思います。

 

自分で生きることができる範囲、頑張って生きていける範囲で生きてほしいと思っています。何もしなくてもこのくらいは生きていけるだろう…と思う時間を、医師が勝手に余命などを言って勝手に患者の生きる気力を奪って、その結果が患者の自殺というのではやっていられません。

 

患者さんに…血液疾患であっても、もはや使える抗癌剤がない、使える治療手段がないということは多々あります。他の癌ではもっとそういうことは多いと思います。それでも時間があれば受け入れて、自分の時間を有意義に使っていくこともできるようになると思います(血液疾患はできることがなくなってからが早いので、できるだけその前にいろいろやっていただくようにしたいと思っていますが)。

 

この患者さんに関しても医師が余命半年と告知をして、半年以上生きている。苦痛を伴った死になるって、それをとるのも医師の仕事であってそういう告知が正しいかはわからない。死ぬ時期も死に方もだれもわからないわけだから。

 

ですので、そういう告知はしていません。戦う気力を失った患者さんに「無理やりでも戦え」というつもりはありませんが、どうしてよいかわからなくなったのであればともにできることをしましょうというのが重要ではないかと思ってしまうところではあります。

 

僕も若いので、この考え方が正しいかはわかりませんが、そういう風に思いました。

 

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ちょっとした抗癌剤治療の話・・・その2

2013-11-20 23:21:38 | 医学系

書きだしたら止まらなくなってきました。

 

研究を続けるというのはある意味結果がすぐに出ないからしんどいですよね。将来、必ず患者さんたちの役に立って見せようとは思いますが、今は限られた時間しか診療もしていませんし、患者さんたちの役に立っているという実感が少ないのですよ。

僕は研究は自己満足で終わるのではなくて、必ず患者さんに還元できなくては意味がないと思っています。それができるかどうかで、今後の人生も決まるだろうな~。

 

さて、それでは少し書き加えていきます。近藤誠氏の話から書き始めた「ちょっとした抗癌剤の話」シリーズですが、僕は血液内科医ですから白血病や悪性リンパ腫など「抗癌剤だけで治りうる」疾患を対象にしています。そう、僕はもともと「がんを薬で治したい」「がんを撲滅するために、免疫を学びたい」「手術はしたくない(ネガティブw)」で血液内科医になりました。

 

ちなみに一般的に言われている話ですが、癌というのはがん細胞が1~2㎝、重さでは約1g(10^9なので、10億個)を超えると臨床的ながんということになります。白血病の倍化時間は非常に早いですが、一般的な腫瘍(転移性肺がんに関するネット上の記載は3ヶ月でした)の速度を考えると1→2→4・・・・・とすると30回くらい経たないとこの大きさになりません。90か月以上の経過ということになります。転移した癌は基本的に増殖速度は速いですので、実際は10年以上前にできた腫瘍が悪さをしてきているという話だと思います。ただ、ここから10回の分裂(増殖)する時間を経過するとあっという間に1kgまで大きくなるといわれています。

 

何が言いたいかというと、今いる癌はずいぶん昔にできたやつなんだという話です。

 

で、その癌に対して抗癌剤を一般的に使用するか・・・という話ですが、YesでもありNoでもあると思います。

 

まず、白血病などは抗癌剤がよく効きますし、手術で取りきるなんてできません。ワシントンではないですけど…全身の血を抜くつもりか(笑)

 

それでTotal cell killという話が出てきます。これは

1個の白血病幹細胞を移植すれば全身に広がり致死的になる

癌細胞の増殖は指数関数的で一定(対数グラフで直線)

抗癌剤の効果はがん細胞の数が多かろうと少なかろうと一定

という話から、すべてのがん細胞をつぶさないとダメ(1個残ればまた増えてくる)という話になりました。癌細胞の増殖速度よりも早く、多くのがん細胞をつぶしていこう…となったわけです。

 

癌細胞というやつらは・・本当は正常な細胞が「修正しなさい」という命令をしたら、自分を治して元通りになるのですけど・・その命令を聞くことができずに悪くなってしまったので。癌細胞は修復能力は普通の細胞よりも弱いわけです。それ故同じダメージを受けた後の回復は正常な細胞の方が早いと考えられています。白血病やリンパ腫の治療が抗癌剤を一定レベルで繰り返すのはそういう理由があるからです。癌細胞に大ダメージを与えれば、正常細胞の方が先に回復してくる(はず)。たとえ、増殖速度が「やつら」の方が早くても、回復速度はこっちの方が早いのだ・・・。

 

白血病では「増殖速度が常に早い」ということで・・・(専門的には違うことが書けますが・・・・難しいので、白血病などは増殖が速いので上の理屈が成り立つということにしてください)

一般のがん腫はどうか…という話になります。

 

固形がんの場合・・・専門家ではないので完璧な説明にはなっていないかもしれませんが、抗癌剤をよく使うグループで癌の研究をしている人間からのコメントだと思ってください。

 

固形がんの場合、上の「一定速度で増え続ける」という過程が間違いであるといわれています。一般的に小さい時にはよく癌は増えるが、大きくなると増えにくくなる(増殖が遅くなる)といわれています(Simonの仮説、Compertzian増殖モデル)

増殖速度が落ちる…という個とは理屈上「抗癌剤は効きにくくなる」ということになります。

 

よく、術後化学療法の話がありますが、僕は理屈的にはよくわかる話だと思います。一つ目の理屈はある程度の大きさの腫瘍を手術すると、血液中に癌細胞が流れているのが確認できるという話からです。別にどこかに定着できるかどうかは(要するに転移するという話)、その環境によるとされていますが0ではないと思います。

2つ目に統計学的に再発のリスクがある群、ない群で抗癌剤投与の有無で生存を比較をして差が出ていること。

3つ目は上の仮説を考えると癌細胞が少ない時の方が抗癌剤は効きやすいことになります。

 

以上から、術後抗癌剤治療というのは理にかなっているのだと思います。

 

もちろん、将来的にはさらに研究が進んでこういう人にはやったほうが良い、この人はやらなくてよいというのがわかってくるのだと思いますが、今はある程度「こういった患者さんたちにはやったほうが良い」としか言えないのでしょう。

 

治療をいつまで継続するか・・・に関しては、治療効果があって副作用が許容範囲であることが絶対条件だと思います。先日読んだ「悪医」という小説にも書かれていましたが、引きどころは難しい。

 

どのタイミングでも引く可能性は考える必要があると思いますが、個人個人によると思います。医師は常に患者さんのメリットとデメリットを考えながら治療の計画を立てています。患者さんによっては自由に動く時間が必要な方もいるでしょうし、患者さん個々に合わせるしかないのですよね。

 

そうすると将来の医師数が本当に心配だ・・・・。

 

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ちょっとした抗癌剤治療の話…その1

2013-11-19 21:49:30 | 医学系

こんばんは

 

先週は風邪でダウンして(インフルエンザの流行の兆しもあるようですが)大変でした。

実際、風邪でダウンした状態で外来と当直をしておりました。周りにうつすなよ・・・・という声が聞こえそうですが、まぁ仕方がないです。

 

さて、昨日コメントを返したのですが近藤誠医師の関連記事のところでは、いろいろご意見をいただきます。賛成反対いろいろあるのですが、僕は基本的に「時代が違うのではないか?」ということから、少なくとも・・もろ手を挙げて賛成する気にならないというところです。

 

というわけで、若造が書く内容ではないかもしれませんが抗癌剤の話を少しだけ。一応、血液専門医でもありますので。

抗癌剤治療と聞くとどう思われるでしょうか。

 

抗癌剤には大きく分けると今の時点では2種類あります。

 

従来の抗癌剤分子標的薬です。

従来の抗癌剤というのは代謝拮抗薬、アルキル化薬、抗癌性抗生物質など基本的には細胞毒性(一言でいえば毒物です)を持った薬剤です。ほとんどは難しい言葉で書くと「核酸合成」「蛋白質合成」「微小管」「DNA」などをターゲットにしていますが、基本的に「よく増えるもの」に対する毒性が高いものです。

基本的には「増殖しない」脳などにはあまり影響がないものが多いです。脳にも影響するのは血液脳関門を越えるMTX(メソトレキサート)が若干ある(白質脳症とか)かしら。神経系に関しては微小管が関連するビンカアルカロイド(ビンクリスチンなど)やタキサン系が有名です。

 

すなわち、普通の細胞よりも「増殖が速いはず」の「悪性腫瘍」に対して使用して、そちらを中心につぶそうというものです。そのため、正常であってもよく増えるところはダメージを受けやすいという欠点があります。有名な脱毛ですとか、消化管障害(消化器は菌と接していますので、常に新しいものが増え続けています)、そして僕たちが専門としている血液系があります。

 

その一方で分子標的薬というものも出てきました。

最初の分子標的薬は1997年にでてきた「リツキシマブ」になります。これは悪性リンパ腫などでCD20という標的を表面に出していたら、それに引っ付いて壊すという薬です(簡単に書きすぎかもしれませんが)。そうするとCD20というものが出ていない他のところには副作用がない。すなわちメリット(抗癌作用)がデメリット(副作用)を大きく上回るわけです。このメリットがデメリットを大きく上回る可能性があるのが、分子標的薬の特徴だと思います。

次に有名なものは慢性骨髄性白血病で標準治療となったbcr-abl阻害薬「イマチニブ」です。慢性骨髄性白血病は診断基準としてbcr-ablという複合遺伝子を持っていることが条件ですが、この腫瘍細胞は増殖にほぼ完全な「bcr-abl依存性」を示します。専門用語的にはoncogene addictionというらしいですが、要するに100%依存しているため、ここを何とかしたら病気の細胞が増えなくなっていきます。

 

では、他の癌細胞ではどうかといいますと、どちらかというと、この依存性が100%まで高くないものが多いというところだと思います。例えば肺癌の治療薬として有名なゲフェチニブ(イレッサ)では普通のEGFR遺伝子ではあまり効かないといわれています。逆に東洋人に多い「遺伝子変異」があるとよく効くので、それが使用基準となっていると思いますが、この異常がいいのかというと腫瘍細胞の増殖を強く刺激(腫瘍の増殖がこの遺伝子に依存している)しているから効いているといえます。

 

分子標的薬は「できるだけ癌細胞だけに効かせる」ことを狙いとしていますが、やはり多少なりとも副作用があります。ただ、患者さんのがんによってはとてもよく効く可能性を秘めているわけです。

 

普通の抗癌剤の効果は「がんの増える速度依存性」となりますし、分子標的薬は「がんがそれにどの程度依存しているかに効果が依存する」わけです

分子標的薬がわかりにくい気がするので、もう少し書きます。

 

例えばリツキシマブの効果はCD20という分子を発現している量に依存します。あまり強く表面いだしていなければ、リツキサンは引っ付きにくいですし効きにくいことになります。慢性リンパ性白血病ではCD20の発現は一般に弱いのですが、それに対してリツキシマブよりもよく引っ付く薬としてオファツムマブができたわけですが。

 

他にも同じキナーゼ系の阻害薬といっても、慢性骨髄性白血病におけるイマチニブ(含めたチロシンキナーゼ阻害薬)ほど絶対的なものはほとんどないと思います。これはその経路だけに依存していないということを示しています

 

慢性骨髄性白血病ではある池から別の池につながる川は1本しかありません。それ故、そこをふさいで染めば切り離すことができます。他の病気では2本も3本も出ているので、たまたま使用する薬が塞ぐ河が「本流」であるかどうかに依存してきます。

 

それを見極めることができるように、さまざまな研究がされている状況であると思います。

 

そういうわけで、僕たちはどういう患者さんにこの抗癌剤が効くのかを考えながら研究していたりしています。可能であれば日常診療で分かるものが、最終的に何かのシグナルを刺激していて、この抗癌剤が必ず効果を発揮する・・・というような発見をしたいものです。患者さんにいい意味で還元できますので。

 

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すごく簡単な治療関連MDSの話:簡単に書きすぎか・・・(汗

2013-10-28 21:55:47 | 医学系

こんばんは

 

先日、骨髄腫の研究会に参加した後、東京に異動してきた知人と飲みに行っておりました。その飲み会が激しくなり、大変でした。飲んでいた店に某有名人がやってきていたみたいです。その知人は知り合いらしく、すぐ気が付いたみたいですが、全然わかりませんでした。

 

ちなみに今職場では「内科学会総会」の演題締切が近づいているので、一生懸命データ解析にいそしんでいます。それが終わったら基礎実験に戻るつもりです。いろいろ試薬も購入しましたので。

 

先程、治療関連骨髄異形成症候群(MDS)に関する質問をいただきました。細かく書けば細かく書けます(染色体異常がどうのとか)が、難しいだけですので・・・簡単に書いていきたいと思います

 

基本的に骨髄異形成症候群に関しては「骨髄異形成症候群の説明(患者さん向き)」をご覧ください。

 

さて、治療関連MDSというのは何かといわれると、抗癌剤治療や放射線治療の後に発症する骨髄異形成症候群のことを言います。特に抗癌剤治療後で有名なものが「アルキル化剤」関連と、「トポイソメラーゼⅡ関連」があります。細かい特徴はいろいろありますが、アルキル化剤関連は血球減少が来やすいといわれ(それ故、先程コメントでアルキル化剤のことを書いてしまいました)発症時期は暴露後5~6年、後者は白血病への進行が多いのが特徴といわれ、発症時期は暴露から3年後くらいといわれています。

治療法は白血病へ進行した場合は抗癌剤治療を行うことになりますが、そうでなければ骨髄移植が基本です。

 

ちなみにほとんどの人は抗癌剤治療を受けたからといってMDSになるわけではないです

 

簡単に書きすぎましたが、こんな感じだと思います。

 

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