新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

5分ルール

2008-02-21 21:08:32 | 医療
こんばんは。

今日は早朝から吹雪の中を5時間ほど頑張っていたので、風邪を引いたようです。
いや、本当にしんどいところもあるのですけど・・・。

それが終わって、実験に行き・・初めてRT-PCRというのをやりました。実はRTはやったことがなかったので、成功しているのか気になるところです。

さて、今日の記事ですがCB(キャリアブレイン)の記事に、最近問題にあがっていた「5分間診療」の話が合ったので紹介します。
5分間診療といっても、今の医療の状況のことを言っているわけではないのですよ。ご存知の方は皆さんご存知だと思いますが、医者の数が少なすぎて「5分間診療」にしなくては患者さんを見切れないのが「今の日本の医療の状況」です。

それを念頭にこの記事をご覧ください

CBです

”5分ルール”で「医療崩壊」加速!?


 今年4月の診療報酬改定で、医師が再診の際にリハビリや処置等をしない医療(医学管理)を行った時に算定している「外来管理加算」の要件について、新たに〝5分ルール〟が導入されたことで、医療現場に波紋が広がっている。「診察・説明には5分の時間を要する」と、厚生労働省は5分という目安を設けて外来管理加算の算定要件にした。しかし、このルールに基づくと、現在より診察時間が延びて、特に200床以下の病院等では少数の医師では多くの患者に対応できなくなる上、算定が減ると医療機関では収益が下がると見込まれる。「5分ルール導入で、地域の医療崩壊は加速する」と、導入前に早くも現場から批判が挙がっている。

開業医や勤務医 労働強化
 外来管理加算をめぐっては現在、「入院中の患者以外の患者(外来患者)に対して、厚生労働大臣が定める検査ならびにリハビリテーション、処置、手術等を行わず、計画的な医学管理を行った場合は、外来管理加算を算定できる」などと定められている。この外来管理加算について、厚労相の諮問機関で診療報酬等を審議する中央社会保険医療協議会(中医協)は今年4月の改定で「診察結果を踏まえ、病状や療養上の注意点を説明し、その要点を診療録に記載するなどの診察・説明には5分の時間を要する」などと、5分ルールを設定することにした。

 新たなルールに対して、東京都内の開業医らは「時間要件を満たして診療時間内に診察を終えようとすれば、一日に診察する患者を削減せざるを得なくなる」と指摘。そうなった場合、病院を受診する患者が増えて病院勤務医の労働強化につながる▽患者を減らした開業医は収入が低下し、経営悪化によって倒産しかねない▽時間要件を満たして、すべての患者を診察しようとすれば診察時間を大幅に延ばさざるを得なくなり、(病院勤務医に加えて)開業医が疲弊し、その診療所に勤務する看護師の労働強化になる-などと危惧している。

2千万超えの減収予想も
このような問題点は、診療所(開業医)に加えて200床以下の公立病院に与える影響が大きいとして、青森県保険医協会が緊急アンケートを実施。県内の200床以下の公的病院18病院のうち11病院が回答した。
 5分ルールについては、11病院のすべてが「反対」と回答。5病院が時間要件の導入後も外来管理加算を算定できる割合は10%未満に過ぎないと答えた。医療崩壊に関しては、「加速する」が7病院に上り、「加速しない」はゼロだった(残りの4病院は「分からない」と回答)。
 また、8病院が1千万円を超える減収を予想し、年間2千万円を超えると答えた病院もあった。
 さらに、現時点では外来管理加算の算定可能割合を10%以上と見込んでいるものの、その割合が10%程度に止まった場合には、減収予測が年間約4千万円になる病院もある。

 このほか、算定人数の上限(1日当たり・1週間当たり)が設けられることになり、毎日の算定患者の氏名・算定開始・終了時刻を記入した記録簿(日報)なども必要になると考えられ、事務的作業量が増えて医師の負担が増加すると予想。同協会は「5分ルールの導入で減収・負担増となり、地域の医療崩壊は加速する。診療報酬改定は、地域医療の現場の声を聞きながら進めるべき」と訴えている。

 東京都内の開業医らも「診療の場においては内科や小児科でも、例えば、インフルエンザや感染性胃腸炎の流行シーズンでは一律に5分の指導をしなくてもパンフレット等を渡し、迅速キットで正確な診断をすることなどで、5分以内でも十分な外来管理となる実例が多い。その方が他の患者への感染を防ぐ観点からも望ましい」と指摘。皮膚科や整形外科の場合にも触れ「多くの患者が受診するため、表面上は1人5分未満となっても、医師以外のスタッフによるケアを受けるため、実質、1人5分以上となる科もある。時間で評価をするのは不合理」と強調している。

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実際、5分間診療では短いだろう・・・と思われる方は多いと思います。
実際のところ風邪の患者であっても、話をきちんと聞いて薬の説明をきちんとして・・ということであれば5分はかかると思います。

しかし、ここで問題点は

日本の医者の数は諸外国と比較して圧倒的に少なく、一人当たりの医者が行っている仕事量が圧倒的に多いに多い

②上記のため、一日が24時間という制約があるため(日本政府が時間さえもコントロールできるのなら勝手にやれといいたいところですが・・・まぁ、無理ですから)患者さんの数が多くて医者の数が少なかったら・・・当たり前ですが一人当たりの診療時間は減ります

③患者さんの中には日本という「国民皆保険制度」が発達した国にいるため「薬をもらう」ことが目的で病院に来る人がいる。この人たちに関しては「薬」がもらえればそれでよく、診察時間が延びるのを望んでいない(診療時間が延びることを望んでいない人がいる。その人の注文に合わせると診療報酬がもらえなくなるという)
④多くの病院、診療所が予想しているように「減収」から医療崩壊が加速し、国民に対する医療保障が低下する。これはひいては安心した暮らしができないことにもつながる

⑤病院に通いにくい・・・という状況から、病気が重くなる前に手をうつことができなくなり、国民の健康レベルが低下する。そうすると最終的に日本の経済レベルも減っていく

などなど、様々な問題が生じると思われるのである。


この5分ルール。当然と思われる方が一般の中には大勢いらっしゃると思います。しかし、日本のいる医者が患者さん全員を見るためにはそうせざるを得ない・・・というところです。

もし「そんなのはどうでもよい。私さえ診てくれればよい」という方がいるようであれば、それはきっと「自由診療」をしている医者にかかり高額な診療を受けるべきでしょう。


日本にいる医者が「患者さん全員」を視野に入れた場合(入院患者も含めると)、こうなってしまわざるを得ないこともあると思います。それを認識した上で、この制度に対する反対票も国民の側から出していければよいのではないかと思っています

さて、明日は風邪をひいてはおりますが患者さんがいる以上休めませんし、頑張るしかないな~と思っております。

いや、まずは治すことか・・・・。なら、Blog書く前に寝たほうが良いのかw

では、また~。
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有意義な時間と感情について

2008-02-20 23:36:30 | Weblog
こんばんは。

今日は少しウェスタンブロットをやって先ほど引き上げてきました。
結果は・・・まぁ、ぼちぼちですが・・・本命ではないので

今日のは前のBlogにも書いたことがある話です。

僕は人生というものを考えるときに、何はともあれ「時間を無駄にしたくない」と思っています。別に人生を急いで生きていたいわけでもなくて、あくせくして周りの美しい景色やいろいろな人の話を聞いたり、そういうのが悪いとは思っていません。いや、むしろ楽しみたいと思っています。

一度きりの人生(かどうかは知りませんが)なので「人の役に立ちたい」「人のために死にたい」とか思いながら、生きています。

人の役に立ちたいと思いながら生きているときに最も邪魔な感情は何か。

前も書いたのですが「怒り」は適切な方向に向かえば物事を成し遂げるエネルギーになります。

「恐怖」という感情も「ネガティブ」ではありますが、状況によって(恐怖を感じるべきときに恐怖を感じる)のは生きるために必要であったりします

感情ではありませんが、「緊張」というのもネガティブなようで・・・適度な緊張(ストレス)は物事を成し遂げる際の重要な力になります

「愛」とか「友情」という感情はとても良い感情でしょうし、人のために尽くそうという心はひいては必ず自分ためになると思います。

しかし、「憎しみ」「うらみ」などという感情は人のためにならないばかりか、時間の無駄なように思うのです。人を憎んだところで何かが変わるわけでもなく、そんなことに時間をかけるくらいであれば、ほかの事に時間をかけたらどれだけ有意義だろう・・・と思うのです。

僕は今、以前と同じで・・まだ少し・・・この「不要な感情」に一部時間を奪われています。こんなことに時間をかけている暇はない。そんなことでは自分を高めるための時間が減ってしまう・・・ひいては人のために使える時間が減ってしまう。そう思うのです。

なかなか悟りの境地・・・という奴に達するのは難しいものだ・・・と思いながら、少しずつ自分の気持ちの整理をしております。

ともかく少しでも人の役に立てるように、自分のやりがいを確立して頑張っていければと思っています。

明日はRT-PCRなどをやりたいな・・・と思っています。
明日も頑張ろう・・・っとw
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臨床と研究と・・

2008-02-19 20:45:50 | 医療
こんばんは。

今日は午前中は外来診療をやっておりました。原因不明の体重減少+T-CHOの低下、肝酵素の上昇などがある方が来ましたが、最大限検索をかけても今のところは原因不明。甲状腺昨日検査が外注なので、その結果などもまたないといけないですけど・・・たぶん身体所見などからは否定的だな・・・。ALPもあがってないし。

エコーでは何もないようだけど、もしかすると来週造影CTやらないといけないかもしれないな・・・

とか、思いながら外来していました。後は典型的(?)な虫垂炎の患者が来ましたけど・・・他は風邪、高脂血症(たぶん、一人FHかな?)、高血圧などで終わりです。

う~ん、血液内科ではないな・・・。やっていることはw

さて、本題に入ります

現在の厚生労働省の政策により、明らかに臨床重視の傾向が出てきています。いや、臨床をやらざるを得ない。大学の力をそぎすぎている

大学の力を削ぎすぎたために「医学部における教育」や「臨床に反映させるべき研究」に注ぐことのできる力・時間がなくなってしまった

このことはどちらも将来の日本を不安にさせる要素だと思います。日本の医療が発展しないことは、ひいては日本という国から安心というものがなくなっていくということだと思います。

今の世の中を見れば「医師不足」というものがはっきりしてきています。偏在ではなく、不足です。この不足を解決するには「新しい医師を増やす」ことになるわけですが、医者を増やそうにも教える「教育者」である大学の医師が足りていない。臨床だけでも精一杯。大学は給料も安いし、仕事も多い。学生の教育もしないといけないが、時間的余裕がない。

しかも、大学と一般病院との大きな違いとして「研究」というものがあると思うが、研究に手を出せる「臨床」系医局はかなり少なくなってしまった。

医師が足りない。そのために医師が増やせない。しかも、研究という分野に手が出せなくなってきている

いや、一部の大学は研究もやっているだろう。しかし、一部の大学だけでやれるというのでは「大学の医局」のスタンスというのはどういったものになっていくのだろう。

教育施設か?しかし、教育も十分に行うには臨床業務が山のようにあるのだ。
信じられないかもしれないが、大学病院の医師の給料は安い。お世話になっている医局の先生に聞くと「20万台」という話である。おそらく手取り・・・ででしょうけど、それでも安い。

だから、家族を養うためにバイトもしている。

去年だったと思うが、ハーバード大学は授業などを行う医師の給料を2倍に引き上げた。そのようなことを外国では行っているのに、独立行政法人化した影響からか給料引き下げの話は良く聞く。

医者の成り手も・・このような状況下ではいないかもしれないが、このような大学の状況では教える人間もいなくなるだろうというのは想像の範囲内である。

いや、普通やめるって

再び研究の話を追記すると、研究というものはもちろん今すぐ患者さんに反映されるものではない。しかし、この基礎研究というものが合って初めて新しい医療ができていくのだ。

このままでは日本は「外国から伝わってきた研究の情報を頼りにする医療後進国」になりかねない。

「日本でこのようなすばらしい研究が行われ、それを元に新薬が開発されました」
ということは、このままではなくなるかもしれません。

今、体制を整えられるとすれば・・・・研究というものの手ほどきができる先生方が残っている今しかなく、30年もすれば・・・・・日本は医療後進国になりかねない。

研究どころではない、国(厚労省)の政策のために目の前の「患者さん」を助けることも難しいのだ。と思われる方は大勢いるかもしれないが、将来の日本。日本に住む子供たちや孫、将来のことを考えるとこのままでよいのかと思ってしまう。


将来の日本のために、そして目の前の医師不足解決のために・・・大学病院などを見直す必要があるのではないかと思う。教育システムは医師を増やす上でも重要でしょう?

医師派遣・・・というものは考えなくても良い。ただ、教育組織としての医局・研究組織としての医局というものを考えていってはどうだろうか?

医局:医師や医学生の教育を行い、研究などを通して日本の医療発展に尽くす組織

というものであればよいのではないかと思う。

気が向いたら・・・今日は時間があるのでもうひとつだけ書くかもしれません。

今日は満月のようです。2月中旬の割には若干暖かい一日でした。受験生の皆さんには風邪など引かぬよう、気をつけて頑張ってください。

では、また
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Blog再開!また、よろしくお願いいたします!

2008-02-18 22:50:07 | 最初に

こんばんは。お久しぶりです

 

Blogを閉鎖してまだ、2ヶ月しかたっておりませんが再び記事を書き始めたいと思います。

 

理由はいくつかあります。

 

当初、Blogを書いていた理由は「このままでは日本の医療はおかしくなってしまう」という危機感があり、それを打ち明けたところ「Blogを書くこと」を奨められ・・・はじめました。

 

その間、アクセス数は徐々に増え・・・最終的に7~8万人以上/月もの方が来てくださるようになりました

 

しかし、Blogを作ることで時間がとられていたのは事実です

 

そこにある事情で英語を勉強する機会を得たこと・・・その時間を確保する時間が必要だったこと。また、「全国医師連盟」発足に当たり・・個人のBlogで頑張るのではなく、全国医師連盟に協力する形をとろうと思ったからです

 

しかし、本日は「福島大野病院事件」からちょうど2年という日でもあり・・・また、英語の勉強時間を含め様々な時間の余裕ができ始めたため・・・Blogを再開することを決めました。

 

この「大野病院」事件に関して、ご遺族の方のお気持ちは・・理解することはできると思っております。

しかし、医者も人であるゆえに完全ではありません。

 

医療をしている人間は・・多くの人は「患者さんを助けられるものなら全員助けたい。笑って帰ってもらいたい」と思ってやっています。

 

今回の事件では多くの産婦人科医の先生が「無理である」とおっしゃっています。助けたいと思って「寝る時間も削って」頑張ってきた人間が「逮捕」されてしまったことで、多くの医師が傷ついています。

そして日本の医療崩壊が進みつつあります。

 

このことで一番不利益をこうむるのは国民です

 

この事件を含め・・・現在、医療は多くの問題を抱えています。

 

その問題解決のためには、多くの人が、一人ひとり「変えなくてはならない。変えていこう」と思う必要があると思います。

 

僕もその一人として・・・これからも頑張って行きたいと思います

前のBlogよりは更新スピードがゆっくりにはなると思いますが、今まで同様どうかよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

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