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ようこそ里山へ 茨城笠間・青葉って永遠

茨城県笠間市。観光と陶芸の町の知られざる宝。穏やかな里山と田園は心の原風景。庭と山川草木、体感する旬の言の葉たち。

梅雨明け里山、耐火煉瓦を運ぶ

2011-07-10 03:46:23 | 今日の一歩
 笠間の里も梅雨が明けました。強い日差しと震災に負けじと励む、里山復興陶芸家の躍動に共感しました。可憐に見守るヒメコウゾさん。今日は村総出の草刈もあり、先人の初心忘れず構想を練る、日曜の早朝であります。

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 昨日は笠間も暑かったですね。
いよいよ梅雨明けです。
昨日の夕暮れ時は、陶芸家の佐藤泰正さんの復興作業を、少しだけお手伝いさせて頂きました。
窯の再建に向けての、耐火断熱レンガの運搬作業です。

ここは、ご同業の作家さんのお宅。
集落のはずれ、緑に包まれた工房脇の置き場に、そのレンガはあります。
仲間同士で材料をやりくりし合ってこそ、復興の道も確かになりますね。

泰正さんは今、まず手始めとして、ガス窯づくりに取り組んでいます。
友人の鉄の作家さんとの協働でフレームも作成し、いよいよレンガの取り付けがはじまるというわけです。

 半ズボン姿で現場に現れた泰正さんの姿には、躍動感がありました。
人間誰しも、やる気が出てくる時というものは、全身がばねになるような趣がありますね。
いよいよ、いよいよなんだという、心が弾んでいる様子が伝わります。
それが、男の子というものでしょう。

赤い実をつけたやさしいヒメコウゾさん(写真)が、二人の作業、兼・漫才を見守っています。
和紙の原料として、青森県以南、全国的に栽培されてきた各種の栽培品種。
その野生種のヒメコウゾは、笠間の里山のいたるところに見られます。

実は、甘くて食べられます。
泰正さんもこの実のファンで、作業の合間に、工房の傍らで里山の味覚に親しむそうです。
小鳥さんのように。
ズッコケていると日が暮れてしまいますから、作業作業、ゆっくり早くクレーン操作再開です。

 こうした山の麓というものは、高度成長とともに、すっかり様変わりしました。
ヒメコウゾの背景には、ヤブが広がっています。
一面のシノダケはアズマネザサで、ウグイスの楽園を提供しますが、ヤブ山の代名詞にもなっています。
そして、谷津田は休耕田に。

 そういうヤブを再び切り開きながら、笠間の陶芸家は営々と工房を築いてきました。
泰正さんは、自宅をセルフビルドしました。
こちらの作家さんのお宅も、遠くから拝見するだけでも、少しづつ仕事場を充実させてきた歩みを感じます。

笠間には、ゼロからスタートした陶芸家がたくさんいます。
また、作家が自ら成形から本焼きまで一貫して制作するスタイルが多く、工房もそこかしこにあります。
そういう人たちが、辛うじて里山の道を守ってきたという一面があります。
人が住み、通えばこその里山。
この置き場の脇に小さなため池がありましたが、えん堤の土塁は、作家さんのアプローチになっています。
作家さんの日ごろの管理作業のお陰もあってか、しっかりと手堅く水を湛えていました。

 今日は、私の住む飯田の里も、村総出の草刈作業です。
朝8時から、まずは神社を手始めに各地区のお堂など、100人軒が一人づつ参加しての一斉作業。
いわゆる宮薙(みやなぎ)です。
その1時間前から、農業用貯水池の草刈もあります。
その他、共同墓地や河川の土手など、夏場の日曜は、月に一度は草刈です。
「草分け」という言葉の意味、先人の汗の意味をつくづく噛み締めます。

 肥料や灯油の高騰もあり、ここ数年の間に流れが変わった感もあります。
震災で一層、陶芸家さん以外にも、薪や落ち葉の活用が少しづつ見直されてきた笠間。
これからは、いろいろな人が、この可憐で甘いヒメコウゾさんに語りかける日が来るかも。
そうなれば、笠間はもっと面白くなります。

泰正さんは、里山の中にいます。
佐藤泰正=さとうやすまさ・・・お名前の中にさ・と・や・まがあるという、稀有な陶芸家であるかもしれない。

梅雨明けの夕暮れ、緑の中の紅一点を前に、元気一杯の漫才師たちでした。


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