「ベイビーわるきゅーれ」についての前回のエントリーで、『「世界に通用するレベル」ではなく、「世界レベルで唯一無二のアクションシーン」である。』と書かせてもらった。
でも劇場に行くのは月に一度程度だし、配信系も月に2本程度しか見ていないので、テキトーに「唯一無二」と言ってるように聞こえてもアレなので、それなりの根拠を考察してみようと思う。
とは言え、アクションの専門家ではないので「解説」は出来ない。ミュージックビデオなんかだと、動画を観ながら感想を言うという「リアクション動画」というジャンルがあるので、文章で「アクション」に「リアクション」してみよう。
■CAR System
まず、今回一番書きたかったことから。
終盤でのまひろの銃の構え方。どこかで見た覚えがあるので調べてみたら「CAR System」と言うらしい。
「ジョン・ウィック」のガンアクションにも取り入れられているとのこと。
「近接戦闘に特化した射撃スタイルCAR Systemとは」
https://sabatech.jp/car-system/
「ジョン・ウィック」は「ベイビーわるきゅーれ」を観るまで、続編が一番楽しみな映画であったので、そりゃ、観たはずだわ。
Level 1 CAR - CQ & Combat Positions
C.A.R. SYSTEM | CENTER AXIS RELOCK | ORLANDO-EUA | LADO R FT RODRIGO MULLER | PARTE 3-3
そう言えば伊澤彩織、「ジョン・ウィック4」に出演されているらしい。
「スタントパフォーマー」としての出演であれば、それはそれでモノ凄いことだが、やはり顔出しでキアヌを懲らしめて欲しい。
話が逸れるが、キアヌの走り方って、特徴がある。
ちょっとドタドタしている。多分、脚か腰に不調があるんだと思う。
ちさと「どたっ、どたっ、どたっ」
まひろ「それ何?」
ちさと「ジョンウイックの時のキアヌのモノマネ」
まひろ「それ、怒られるやつだから」
■基本姿勢
リアルなアクションを目指している。
CGやワイヤーアクションによる、人間離れしたアクションに走るのではなく、生身の人間のファイトシーンでありつつ、無暗に壁を走ってみたりなどの大袈裟なものでなく、実践型のリアルな描写にこだわっているようだ。
ちさと「見た?」
まひろ「うん。いるんだね、実戦で側転するやつ。」
ちさと「初めて見たわぁ。ナメられてる?」
まひろ「ビックリさせようと思ったんじゃない?」
ちさと「確かに、驚きましたけどもっ。」
■冒頭1対多での同時の組み合い(近接選)
1対多であっても、通常は相手の攻撃を避けながら、一人ずつ順番にやっつけて行く。
子供の頃にTVで時代劇を見ていた母親が「なんで、皆で一斉に切り付けないのかねぇ」と言っていたのを思い出したが、「そうしなきゃ、成り立たないでしょ?」との長年の課題に対する一つの答えが提示されている。
これをリアルにやろうとすると、一人を盾にしたり押さえつけたりしている間に、別の相手を倒すことになるのだが、同時に2人、あったとしても3人が限度。
にもかかわらず、同時に4人で取り押さえられた小柄な女性1人が、ナイフで切り抜けるという離れ業に、説得力を持たせることに成功している。
■二段階で下がる
相手のパンチを頭を下げて避ける基本動作だが、うっかりすると「敵がワザと頭の上の方に大振りのパンチを繰り出して」いるように見えてしまうことがある。
普通はすぐに元の態勢(頭の位置が)に戻るのだが、序盤の「もう一戦」の時、敵の突きを頭を下げて避けると、すかさず敵がその低い位置目掛けてナイフを繰り出して来るのを、まひろはちゃんと、さらに姿勢を低くして避けている。
■ユニークな攻撃の避け方
突き出された刃を避けながら、相手の体の周りをぐるっと廻る。
股の下を潜って逃れる。
いずれも初めて観たし、これがトリッキーに観えずに、まひろの咄嗟の行動=必死さに感じられるのがすごい。
■主人公が殺し屋であることの利点
ナイフを刺した後で、ちゃんとグリグリと抉る。説得力がある。正義の味方はやらない。
とどめの4発で、ちゃんと順に反応する。それほど高度な演出ではないが、正義の味方はやらないので、初めて観た。
後半序盤で負傷した敵を盾にして進む。相手が現れてから盾にするシーンは良く見るが、初めから計画的に盾にして進むのは初めて観た気がする。
■後半序盤の「お嬢ちゃんたち」のセリフからの、投げと射撃のコンビネーションが見事。
これ、先に「最強殺し屋伝説国岡」を見ていたので、ラスボス感満載の手強い相手といきなり対峙かと思いきや、あっさりと片付ける。ここで2人の実力をアピール。
次の三元雅芸の登場シーンが、姿といい曲といい「こっちが本物のラスボス」感に溢れていて素敵。
■倒れている相手を盾
前述の敵を盾に進むシーンから、倒れている敵の手前に転がって移動して身を隠し、銃声が途絶えた隙に頭を上げて様子を伺うのではなく、バックアップを信頼して果敢に乗り越えて進むまで。とにかく見事なコンビネーション描写が爽快過ぎる。
■基本に忠実
銃の握り方が忠実
「CAR System」なんだと思うが、右から突然現れた相手に、上半身だけ捻って対応
まひろもちさとも「ホールドオープン」視認で弾切れを確認
主人公がガードでちゃんと顔を隠している。これは他でもちゃんとやってると思うけど「ちゃんと、女優さん本人がアクションしてますよ。」アピールで不十分になりがち。
■殺陣が凄い
とにかく全部凄いんだけど、特に印象に残ったものをいくつか。
近距離で何発も撃つも躱されて当たらない。ここが全然嘘っぽくないのが凄い。
蹴りを躱した直後の踵落とし(?)をそのまま回転して躱す所を初め、一連の動作に淀みがない。
首を取られそうになって、すっと抜ける。
壁に押し付けられて攻撃を喰らっている時の、相手の引き剥がし方とか。
お約束の「転がっている銃の取り合い」の時の『頭脳』戦。
■アドリブか凄い
アドリブの部分が多いとのこと。
上手(うわて)を捕ろうとする遣り取りとかがリアル。この辺りは「殺陣を覚えて」では出来ないので、アドリブなんだろうけど、リアルでカッコ良い。それなりの実力がないと出来ない。
敵を壁に押し付けるようとする時、体を反らそうとする反動で足が高く上がったり、後ろ身で押すのがムリだと察知すると、直ぐに体を捻って戻ったりの足掻き方から、リアルな必死さが伝わる。
■アクション演技が凄い
後ろから押される時に、首がのけ反ってガクガクする。
両足を持って引っ張られる時に、手でジャンプして足掻く。
後ろに下がりながら壁に当たった時に、ちゃんと振り返って後方の状況確認。
マシンガン後ろでの身の竦め方が、体全体から発する情感が豊でリアル。
■映画的な演出
ちさとが仲間を救う時、相手が油断し切っている時にいきなりの方が、簡単に銃を奪えるとは思う。だが、そこはまひろとの差別化(身体能力はまひろが上)のためと、ちさとのキャラクターを引き立て、その後のギャップを強調するために、あえてエンターテイメント性を重視したものと思われる。
なにしろ、その後の姿と続くセリフが、ちさと、最高にカッコいい。
しっかりとしたグリップながら、ちょっとギャング撃ちに振ってる感じも、ちさとのちぐはぐな魅力を惹き立てている。
指を咬んだ仕返しに、目つぶしをくらう。直後、敵が死角に廻りこむ様子を上手く描写。
ラスボスにも関わらず、やられて倒れる時に、あえてフレームアウトする。「意識がない状態で倒れる」という演技にはどうしても無理が生じるので、そこを潔く切り捨てることで、逆にリアルを感じる。
連続して蹴りを喰らって転がされた時の、転がり様が見事。
リロードの素早さが素直。「ここ、見所ですよ」との構えた感じがしない。終始、相手を見たままなのもグッド。
ラスボスを倒した後の、ハッと気付いて足掻くような立ち上がり方。
合間合間の掛け声が、相手を威嚇するものではなく、苦痛を振り払うような感じのリアル。
「あー、疲れた、疲れた」の言い方が、いかにも疲れた感じ。
■そして最後に
まひろが劇中で初めて見せた笑顔で「マジで死ぬかと思ったわ」って目をキラキラさせる所が、スゲーカッコいいし、勇気付けられる。
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