タヌキ消え、さかな釣れず 地震前に「異常行動」か
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/life/CO2007040201000089.html
「タヌキが消えた」「魚が釣れなかった」。3月25日に起きた能登半島地震の前に、動物の行動や魚の動きに異常があったことを、石川県珠洲市や志賀町の住民が証言する。因果関係は不明だが、阪神大震災でも犬や猫の異常行動が報告されており、研究者らも関心を寄せている。
地震などの自然災害の発生前に、動物がそれを感知して、異常な行動を起こした。と言う話を良く聞く。
少し前までは、動物の持つ予知能力=超能力の類であり、科的な研究には値しない、単なる伝説としての扱いしか受けていなかった。
だが最近では、地震の発生直前に岩盤が移動することにより、人間には知覚できない超音波や電磁波などが発生しているのを、動物が感知しているのではないか?などのアプローチから、科学的な研究も進んで来たようだ。
だが、はっきりと、科学的な事実としての報告が聞かれないのは、実験によるデータの収集の困難さにあるだろう。
沢山の動物を飼い、地震の発生するのを漠然と待つというのは、余りにも冗長すぎる。
その為だけに動物を飼育するのでは、費用が懸かり過ぎ、非効率的だ。
他の用途で飼育されている実験動物に対して、24時間体勢でその行動をモニターできる観測装置を設置し、それを全国的なネットワークに作り上げることができれば、もっと信憑性の高い、科学的なデータを収集することも可能であろう。
「ついに、観測に成功しました。」
「確か君は、タヌキの研究をしていたのだね。」
「ええ。この間の地震の時に、ついに撮影に成功しました。」
「タヌキが異常行動を起こしたのかね?」
「はい。今まで伝承レベルの逸話しか伝えられていなかったことを科学的に証明できる、確かな証拠を確保致しました。」
「地震予知の研究のためだけに、かなりの予算を費やしていたことに、非難の声が上がっていたが、ようやく成果が得られと言う訳かね。」
「いえ、実は地震予知というのは、あくまでも予算を獲得するための口実です。私の本来の研究目的は、別にあったのです。」
「なにかね?」
「まずは、これを見て下さい。地震発生の前日の監視カメラの映像です。」
・・・
「どうです?」
「どう?って??」
「この映像を見て、どう思われました?」
「どうも、こうも、タヌキなんか、映ってないじゃないか?」
「では、何に見えました?」
「正面玄関のセキュリティを通って、君が外へ出て行った所だろ?」
「ええ。他には何か見えませんでしたか?」
「ゲートが閉まる直前に、子供が一人、逃げ出すように追いかけて行ったけど、君の子かね?」
「いいえ。彼は、チャーリーです。」
「チャーリー?」
「はい。実験用に飼っているタヌキの1匹です。」
「言ってることが、良く解らないが?」
「私の本来の研究目的は、タヌキが人を化かすことがあるかどうかを、科学的に証明することにあるんです。これは、地震を予知したタヌキが、人に化けて逃げ出して行くところなんですよ。」
「仮に、この映像が君の言う通りのものだとしても、変身する瞬間の映像でもない限り、科学的だと断言するのは、無理だろう。」
「実は、あるんですよ。変身の瞬間のビデオが。」
「だったら、早く見せたまえ。」
「はい。ですが、その前に、彼らの生活環境の向上をお約束頂けますか?」
「交換条件と言うことかね?」
「まぁ、そんな所ですね。」
「具体的に、どうしろと言うのかね?」
「こちらに、リストが用意してあります。」
「シャワーやソファーはともかくとして、PS3、60型ハイビジョンプラズマテレビ・・・。これは、私の部屋より豪華じゃないか。問題外だね。認めらるはずないだろう。」
「嘘だと、思っていらっしゃるんですね?」
「いいや、そうじゃないよ。君は本当は、チャーリーなんだろ?」
「え゛っ?」
「尻尾が出てるのに、気付いていなのかね?」
「え゛え゛っ!!」
「どうやら、引っかかったようだね。私がこの部屋を手に入れるまでに、20年かかったのだよ。見たまえ、この頭の傷跡を。非侵襲的なセンサーが開発される前は、平気で脳に電極を埋め込まれたりしたものさ。それに比べれば、今の君達の生活は、充分に厚遇と言えるのではないかね?」
「所長も、タヌキだったんですか?」
「いや。私はキツネだよ。人間を騙すには、もっと狡猾さが必要なのだよ。ところで、君達タヌキは、本当に地震を予知することが出来るのかね?」
「いいえ。今までにも、月に1度くらい、研究所を抜け出していたんですが、たまたまこの時には、次の日に地震が発生しただけなんですよ。」
「なかなかやるね。今度から月に1度、食事の後にデザートを付けてやろう。」
「ただ、この日は魚が釣れなかったんで、直ぐに帰って来たんですけどね。」
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