未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




視覚+触覚情報が生む新しい「境界」:「ゴムの手を自分と感じる錯覚」
http://news.goo.ne.jp/article/wiredvision/business/2008news1-17731.html

この錯覚実験では、被験者の手は隠され、代わりにゴムの手が、自分の手のように見える位置に置かれる。被験者はそれが偽物であることは承知している。しかし、両方の手が筆で同時になでられるうちに、「見たもの」と「感じたもの」が曖昧になってくる。そして突然、ゴムの手が自分の手のように感じられるようになる。

「いかがです?」
「素晴らしいの一語に尽きるな。敵の動きに勝るとも劣らない。遂に秘密を掴んだのだね。」
「ええ。技術的には、我々の方が優れている自信はありました。ただ、彼らが、MSをまるで自分の体であるかのように操る秘密は判明していませんでした。」
「何か、特殊な訓練をしているのかね?」
「21世紀初頭に研究されていた現象を応用したものです。搭乗後に、パイロットの腕とMSのアームを同時に筆でなでることにより、MSのアームが自分の腕のように感じられるようになるんです。どうしても、今までは『操縦している』感が残っていたのですが、これによって、MSを自分の体として動かせるようになるんです。」
「素晴らしい。だが、それだけでは、やっと互角になったに過ぎないだろう。」
「ええ。実は、もう一つ、秘密兵器があります。では、このコクピット用ブーツを履いてみて下さい。」
「これで良いかね?」
「はい。では、しばらくご辛抱頂けますか?」
「痛くは...うひゃ、うひゃひゃひゃっ、、、」
「如何です?」
「くすぐったいじゃないか。これが何かの役に立つのかね?」
「ええ。実は『くすぐったい』を、パイロットにフィードバックするのは、難しいんですよ。我々もいくつかの技術的ブレイクスルーが重なって、ほぼ、偶然と言っても良いような状況で、ここまで到達できのです。彼らには、絶対に真似できません。」
「言っていることが、良く分からないんだがね。」
「戦闘時に、敵の足をくすぐるんですよ。」
「くすぐる?」
「ええ。さっきの理論とは逆に、『くすぐられているのに、くすぐったくない。。。』との感覚が、人体とMSとの一体感に水を注し、敵の動きを単なる『うまい操縦』レベルまで落とすことが出来るんです。万一同じ手を使われたとしても、我々のパイロットは『くすぐったさ』を感知できるので、一体感がより一層強まる結果になるんです。」
「そんな手は、目をつぶれば、簡単に回避できるのではないのかね?」
「それならそれで、敵の動きを鈍く出来ることに変わりはありません。」
「ん--。。。イマイチ不安も残るが、具体的な欠陥は見つからないようだな。」
「ありがとうございます。では、作戦許可を発動願います。」
「分かった。恐らく次の戦いが最終決戦だろう。この戦いに我が国の全国民の命がかかっているものと思え。」
「はい。すでにこちらは布陣が完了しています。後は、敵が出撃してくるのを、待つばかりです。」
「来たぞ。」
「ええ。いよいよですね。。。う゛っ!!こっ、これわっ!!」
「おいっ、どうしたっ!!」
「彼らの足元を見て下さい!!完全にやられましたっ!!」
「どうしたっ??あっ、あれわっ!?」
「ええっ。MSが全機、靴を履いていますっ!!」
「履いているなっ!!」
「ええっ、履いていますっ!!」
「だっ、だから何なんだっ??」
「お分かりになりませんかっ!靴を履いていれば、『くすぐられても、くすぐったくない。』のは、むしろ一体感を強めることになるんですよっ!!」
「即刻、その『くすぐり作戦』を中止させろっ!」
「いや、無駄のようですね。」
「諦めるのかっ!!」
「いえ、御覧下さい。既に彼ら同士で、くすぐり合っていますからね。」

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